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5.異世界婚姻方法
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アルが嬉しそうに羽をむしっている。食べるのがすごく楽しみな人みたいで、鳥が物凄く美味しそうに見えてきた。
「この鳥なんていうの?」
「ヒクイドリ。美味しいんだ。・・・食べさせたくて。狩れて良かった」
キレッキレのストレート!いきなりデレで殴られた!なんてこった、こいつはデレか。
「・・・いいな、こういう・・妻が隣に居る」
渾身のアッパーーーー!めっちゃ盛り上がってるぅぅ。攻撃力が高過ぎるぅ。なんなの?ラブラブモードなの?隣に居ればいいの?じゃあ、くっついて歩いて金魚のフンになろうかな。
羽をむしり終わって家に戻る。アルの手に手桶で水をかけると蕩けそうに笑った。こんな笑顔を見せられると、好きになっちゃいそうだな。好きになっても良いのか。そうか。
中に入るとアルが大股でベルの横に急いだ。
「ベル、俺達に妻が出来た」
「あ、あ、そうなの。良かったね、アル」
「そういうことで、よろしく」
「よろしく。じゃあ、鳥を焼こう」
ベルが動揺してる。そうよね、鳥の羽むしったら結婚が決まるとか。
焼けるのを待つ間、道具を手入れするアルの横に座って綻ぶ口元を眺めた。食器を運ぶベルを手伝って並べていると、アルが眩しそうに見てくるので落ち着かない気持ちになる。
「鳥食べなよ。アルがユウの為に狩ったんだ」
「いただきます。・・・フォークはないの?」
「ふぉーく?何?指はこれで洗って」
「・・・そうなんだ。鳥いただきます。・・・・・あ、美味しい!ありがとう、アル。焼き加減もいいね!ベルはお料理上手なんだ」
はにかんだアルとよくわからない顔をしたベル。胡散臭い笑顔より、こっちのほうがずっと良い。
「・・ベルは今の顔の方がいいね」
「なにそれ」
眉を寄せてぶすっとしたベルは自然だ。アルがベルを覗き込んで笑った。
「珍しいな。その顔、久しぶりに見た」
「・・・なんだよ、アルまで」
「子供の頃、お菓子を分けて食べる時そういう顔をしていた」
「お、ほのぼのエピソード。味わい深いわ」
ベルはぶすっとしたまま顔を赤くして、食事を続けた。
食事の後、三人でお茶を飲む。
「ところで、結婚て、何したら結婚なの?契約書とか交わすの?」
「婚姻の儀式をするんだ。神殿に行って神官に儀式をしてもらうと、妻の指に夫の、夫の指に妻の魔力紋が刻まれる。それで妻と夫が結ばれたことになる」
「ユウ、俺達にどの指をくれる?」
「え、どういう意味?」
「左手の薬指で結ばれた夫が優先されるんだよ。だから、一番重要な夫を薬指に選ぶ」
「ふーん。アルとベルの好きな指選んでよ。それでいい」
「・・・俺は、薬指が欲しい」
「俺は中指にする」
「はいよー」
「ユウは気にしないというか興味ないというか、そういう人なの?」
「わかんないからね。あ、余ってる服ない?着替えが欲しいんだけど」
「布があるから作るよ。取りあえず俺達と同じ布で。街に行った時に仕立てようか」
「・・ベルは何でもできて凄いねぇ。お願いします」
なんだかんだ話すと、かなりの不便さに衝撃が続き過ぎて、全部流した。もぅムリぃ。私は家電生活に甘やかされた家畜なの。精神的な疲れからくる欠伸をしたら、ベルが笑顔でこっちを見た。
「もう寝ようか。結婚するんだし、今日からベッドで寝なよ」
「え、それは、もしかして、もしかすると、交尾するってことかな?」
「まあ、それはユウの同意の上で」
「・・・嫌か?」
だからああああ、アルはそのシュンとした顔を禁止してよおおおお。なんなの、その仏頂面からの豹変はさーああああ。なんで、私が罪悪感を煽られなきゃいけないんだ。なんなんだ、勘弁しろよ。その、その、乞う顔はもうダメだ。私の負けです。そうだ、結婚するんだし、障害は何もない。くそっ、いいようにやられてんな。はああああ、確認だ確認をしよう。
「・・・三人で?」
「そうだよ。俺達双子なんだし、同じように仲良くしてよ」
なんか、違うな。ベルは怪しい。なんか腹に一物隠してる感じ。また、胡散臭い笑顔だし。・・・・様子見か。取りあえずベルは要観察。アルは、可愛がるだけで良さそうだ。
「二人は経験者かな?」
「俺もアルもないよ。でも豚の交尾みたことあるし、突っ込んでガンガン腰動かしたら喜ぶって聞いたし大丈夫だよ」
はい、アウトー。ものすごいアウト。レクチャーから始めるのか。心理的負担が凄い。素面じゃむりぃ。
この人達は双子ってだけでコミュニティから排除されてきたんだろうか。コミュニティで教えて貰えなかったのかな。二人きりで。あ、ちょっと悲しくなってきた。まて、それは違う。悲しみはダメ。頭を抱えながら、頼んだ。
「お酒ある?あったら頂戴。飲まないと対応できない」
「えっ、ああ。待って」
ベルが持って来てくれたお酒をちびりと味見して、大丈夫そうなので、ゴクリと飲んで大きく息を吐いた。
「えー、私の知ってることとは大分食い違うようなので、今日は、説明をします。いいですね?」
「・・・わかった」
「交尾する前に、まずは、体をキレイにします。私は石鹸を持っています。まずはこれで洗いましょう」
「この鳥なんていうの?」
「ヒクイドリ。美味しいんだ。・・・食べさせたくて。狩れて良かった」
キレッキレのストレート!いきなりデレで殴られた!なんてこった、こいつはデレか。
「・・・いいな、こういう・・妻が隣に居る」
渾身のアッパーーーー!めっちゃ盛り上がってるぅぅ。攻撃力が高過ぎるぅ。なんなの?ラブラブモードなの?隣に居ればいいの?じゃあ、くっついて歩いて金魚のフンになろうかな。
羽をむしり終わって家に戻る。アルの手に手桶で水をかけると蕩けそうに笑った。こんな笑顔を見せられると、好きになっちゃいそうだな。好きになっても良いのか。そうか。
中に入るとアルが大股でベルの横に急いだ。
「ベル、俺達に妻が出来た」
「あ、あ、そうなの。良かったね、アル」
「そういうことで、よろしく」
「よろしく。じゃあ、鳥を焼こう」
ベルが動揺してる。そうよね、鳥の羽むしったら結婚が決まるとか。
焼けるのを待つ間、道具を手入れするアルの横に座って綻ぶ口元を眺めた。食器を運ぶベルを手伝って並べていると、アルが眩しそうに見てくるので落ち着かない気持ちになる。
「鳥食べなよ。アルがユウの為に狩ったんだ」
「いただきます。・・・フォークはないの?」
「ふぉーく?何?指はこれで洗って」
「・・・そうなんだ。鳥いただきます。・・・・・あ、美味しい!ありがとう、アル。焼き加減もいいね!ベルはお料理上手なんだ」
はにかんだアルとよくわからない顔をしたベル。胡散臭い笑顔より、こっちのほうがずっと良い。
「・・ベルは今の顔の方がいいね」
「なにそれ」
眉を寄せてぶすっとしたベルは自然だ。アルがベルを覗き込んで笑った。
「珍しいな。その顔、久しぶりに見た」
「・・・なんだよ、アルまで」
「子供の頃、お菓子を分けて食べる時そういう顔をしていた」
「お、ほのぼのエピソード。味わい深いわ」
ベルはぶすっとしたまま顔を赤くして、食事を続けた。
食事の後、三人でお茶を飲む。
「ところで、結婚て、何したら結婚なの?契約書とか交わすの?」
「婚姻の儀式をするんだ。神殿に行って神官に儀式をしてもらうと、妻の指に夫の、夫の指に妻の魔力紋が刻まれる。それで妻と夫が結ばれたことになる」
「ユウ、俺達にどの指をくれる?」
「え、どういう意味?」
「左手の薬指で結ばれた夫が優先されるんだよ。だから、一番重要な夫を薬指に選ぶ」
「ふーん。アルとベルの好きな指選んでよ。それでいい」
「・・・俺は、薬指が欲しい」
「俺は中指にする」
「はいよー」
「ユウは気にしないというか興味ないというか、そういう人なの?」
「わかんないからね。あ、余ってる服ない?着替えが欲しいんだけど」
「布があるから作るよ。取りあえず俺達と同じ布で。街に行った時に仕立てようか」
「・・ベルは何でもできて凄いねぇ。お願いします」
なんだかんだ話すと、かなりの不便さに衝撃が続き過ぎて、全部流した。もぅムリぃ。私は家電生活に甘やかされた家畜なの。精神的な疲れからくる欠伸をしたら、ベルが笑顔でこっちを見た。
「もう寝ようか。結婚するんだし、今日からベッドで寝なよ」
「え、それは、もしかして、もしかすると、交尾するってことかな?」
「まあ、それはユウの同意の上で」
「・・・嫌か?」
だからああああ、アルはそのシュンとした顔を禁止してよおおおお。なんなの、その仏頂面からの豹変はさーああああ。なんで、私が罪悪感を煽られなきゃいけないんだ。なんなんだ、勘弁しろよ。その、その、乞う顔はもうダメだ。私の負けです。そうだ、結婚するんだし、障害は何もない。くそっ、いいようにやられてんな。はああああ、確認だ確認をしよう。
「・・・三人で?」
「そうだよ。俺達双子なんだし、同じように仲良くしてよ」
なんか、違うな。ベルは怪しい。なんか腹に一物隠してる感じ。また、胡散臭い笑顔だし。・・・・様子見か。取りあえずベルは要観察。アルは、可愛がるだけで良さそうだ。
「二人は経験者かな?」
「俺もアルもないよ。でも豚の交尾みたことあるし、突っ込んでガンガン腰動かしたら喜ぶって聞いたし大丈夫だよ」
はい、アウトー。ものすごいアウト。レクチャーから始めるのか。心理的負担が凄い。素面じゃむりぃ。
この人達は双子ってだけでコミュニティから排除されてきたんだろうか。コミュニティで教えて貰えなかったのかな。二人きりで。あ、ちょっと悲しくなってきた。まて、それは違う。悲しみはダメ。頭を抱えながら、頼んだ。
「お酒ある?あったら頂戴。飲まないと対応できない」
「えっ、ああ。待って」
ベルが持って来てくれたお酒をちびりと味見して、大丈夫そうなので、ゴクリと飲んで大きく息を吐いた。
「えー、私の知ってることとは大分食い違うようなので、今日は、説明をします。いいですね?」
「・・・わかった」
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