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2.森番の家にて
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そうして、前後を挟まれ森番の家まで歩くわけだけども、前にいる方がチラチラこっちを振り返ってくる。そうです、足手まといは私です。座りっぱなしの事務仕事職に体力は期待しないでください。ごめんなさい。
「大丈夫?俺、運ぼうか?」
「・・大、丈夫」
「・・・休憩するか」
フゥフゥ息をはきながら地面に座り込んで水を飲む。この二人まったく息切れもしてないし。さすが森番。あとどんくらい歩けばいいのかなぁ。悲しい。
「もうすぐだよ。さっきのとこからここまでで半分だから。あと同じくらい歩けばつくよ」
「わかった。ありがとう」
すごい、気遣いの人か。じゃあ、私も気遣いを。カバンからチョコを出して聞く。
「チョコ食べる?カカオ70だから苦いけど」
「ちょこ?って何?苦いの?」
「・・・苦いけど甘さもあるよ。口に合わないかも。試してみる?」
「うーん、少し。・・これは、焦げてるの?」
苦いときて、この色なら焦げにも思えるか。チョコを半分にして渡すと、また半分に割って相方にあげてる。巻き込むスタイルなのね。そして、二人とも微妙な顔。初めてでカカオ70はきついかー。そうだよね、ごめん。異世界無双は無理らしい。
「・・・苦いのに甘い焦げ。不思議な食べ物だね」
「・・・合わなかったね。ごめん。私の国でも皆が好きなわけじゃないから」
「うん。あ、名前。俺、ベル。この目つき悪いのがアル」
「私は、ユウ。よろしく」
おしゃべりがベルで、無愛想がアルか。
そんで、また歩いて歩いて、着いた。家に着いた。もうヘロヘロ。
しかし、森の中の家とか雰囲気ある~。ハロウィンにカブのお化けが来そう。
「どうぞ~座って座って」
「お邪魔します」
わー竈で薪の生活!1LDKかな。トイレってどうなってんだ?
しめされた椅子に座って、カバンを降ろし大きく息を吐く。疲れた。滅茶苦茶だ。酒かっくらって寝たい。しかし、汗まみれの埃まみれ。ぐちゃぐちゃだ。お湯もらえるかなあ。
「トイレを貸してください」
「トイレはこっち。葉っぱ持って」
葉っぱで拭くのかあああ!!
心の絶叫は届かずに籠の中にある葉っぱを持って外へ出ていくベルを追いかける。家の裏手に小枝でできた小さな囲いがあって、中に穴と土山にささった小さな板。
「この穴にした後、葉っぱと土を入れて」
「・・・はい」
わ、ワイルド~。そこらへんにコロコロするより、土で埋めるだけいいか。遠い目になりながら用を足して家に戻った。
「あのー手を洗いたいんだけど、どうしたら?」
「話し忘れた。ごめん、こっちこっち」
ベルが玄関わきにある、葉っぱが浮かんでる水瓶から小さい手桶で水を汲んで、水をかけてくれた。葉っぱのことを聞いたら、きれいにする葉っぱだそうな。殺菌作用があるのかな?石鹸がなくて代わりに葉っぱなのか。
中に戻るとアルが机に木皿を並べていた。
「先に食事にする。食べてから話をしよう」
「あーホントお腹減ったー」
「ご飯、ありがとう。いただきます」
スープと黒パン。ドキドキする。マズ過ぎたらどうしよう。まず、スープは、うん、なんかハーブがいっぱいだけどいける!よし!パンは、パン硬っっっっ!あ、スープに浸して食べるわけね。うーん、顎が疲れる。ごめん、美味しいって言えない。ご馳走になって申し訳ないけど言えない。悲しい・・・。
「どう?大丈夫?ユウの国は変わった味がいいみたいだから」
「大丈夫。ありがとう。・・・パンはこの一切れで十分みたい」
「あんまり食べないんだね。じゃあ、残りもらうよ」
カカオ70%が味覚基準になってしまったか。残念味覚の国と思われてるんだろうな。味覚の違いが強調できていいのかも。
しかし、このパンは食べ応えがあり過ぎる。ベルもアルもワシワシ食べれるのね。顎が丈夫だわ。噛むのが大変で喋んないのかな。カニ食べる時は無言だって言うし。カニは剥くのが大変だった。じゃあ、ホルモンかな。
食べ終わって、皿洗いの見学をした。桶に水を張って、食器を入れて、手で擦り洗いしたら、水から出して空中で水切り。わ、ワイルド。
「大丈夫?俺、運ぼうか?」
「・・大、丈夫」
「・・・休憩するか」
フゥフゥ息をはきながら地面に座り込んで水を飲む。この二人まったく息切れもしてないし。さすが森番。あとどんくらい歩けばいいのかなぁ。悲しい。
「もうすぐだよ。さっきのとこからここまでで半分だから。あと同じくらい歩けばつくよ」
「わかった。ありがとう」
すごい、気遣いの人か。じゃあ、私も気遣いを。カバンからチョコを出して聞く。
「チョコ食べる?カカオ70だから苦いけど」
「ちょこ?って何?苦いの?」
「・・・苦いけど甘さもあるよ。口に合わないかも。試してみる?」
「うーん、少し。・・これは、焦げてるの?」
苦いときて、この色なら焦げにも思えるか。チョコを半分にして渡すと、また半分に割って相方にあげてる。巻き込むスタイルなのね。そして、二人とも微妙な顔。初めてでカカオ70はきついかー。そうだよね、ごめん。異世界無双は無理らしい。
「・・・苦いのに甘い焦げ。不思議な食べ物だね」
「・・・合わなかったね。ごめん。私の国でも皆が好きなわけじゃないから」
「うん。あ、名前。俺、ベル。この目つき悪いのがアル」
「私は、ユウ。よろしく」
おしゃべりがベルで、無愛想がアルか。
そんで、また歩いて歩いて、着いた。家に着いた。もうヘロヘロ。
しかし、森の中の家とか雰囲気ある~。ハロウィンにカブのお化けが来そう。
「どうぞ~座って座って」
「お邪魔します」
わー竈で薪の生活!1LDKかな。トイレってどうなってんだ?
しめされた椅子に座って、カバンを降ろし大きく息を吐く。疲れた。滅茶苦茶だ。酒かっくらって寝たい。しかし、汗まみれの埃まみれ。ぐちゃぐちゃだ。お湯もらえるかなあ。
「トイレを貸してください」
「トイレはこっち。葉っぱ持って」
葉っぱで拭くのかあああ!!
心の絶叫は届かずに籠の中にある葉っぱを持って外へ出ていくベルを追いかける。家の裏手に小枝でできた小さな囲いがあって、中に穴と土山にささった小さな板。
「この穴にした後、葉っぱと土を入れて」
「・・・はい」
わ、ワイルド~。そこらへんにコロコロするより、土で埋めるだけいいか。遠い目になりながら用を足して家に戻った。
「あのー手を洗いたいんだけど、どうしたら?」
「話し忘れた。ごめん、こっちこっち」
ベルが玄関わきにある、葉っぱが浮かんでる水瓶から小さい手桶で水を汲んで、水をかけてくれた。葉っぱのことを聞いたら、きれいにする葉っぱだそうな。殺菌作用があるのかな?石鹸がなくて代わりに葉っぱなのか。
中に戻るとアルが机に木皿を並べていた。
「先に食事にする。食べてから話をしよう」
「あーホントお腹減ったー」
「ご飯、ありがとう。いただきます」
スープと黒パン。ドキドキする。マズ過ぎたらどうしよう。まず、スープは、うん、なんかハーブがいっぱいだけどいける!よし!パンは、パン硬っっっっ!あ、スープに浸して食べるわけね。うーん、顎が疲れる。ごめん、美味しいって言えない。ご馳走になって申し訳ないけど言えない。悲しい・・・。
「どう?大丈夫?ユウの国は変わった味がいいみたいだから」
「大丈夫。ありがとう。・・・パンはこの一切れで十分みたい」
「あんまり食べないんだね。じゃあ、残りもらうよ」
カカオ70%が味覚基準になってしまったか。残念味覚の国と思われてるんだろうな。味覚の違いが強調できていいのかも。
しかし、このパンは食べ応えがあり過ぎる。ベルもアルもワシワシ食べれるのね。顎が丈夫だわ。噛むのが大変で喋んないのかな。カニ食べる時は無言だって言うし。カニは剥くのが大変だった。じゃあ、ホルモンかな。
食べ終わって、皿洗いの見学をした。桶に水を張って、食器を入れて、手で擦り洗いしたら、水から出して空中で水切り。わ、ワイルド。
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