上 下
6 / 9

06

しおりを挟む
それから数日後王都近郊から少し離れた町クリスタの冒険者ギルドにレイラの姿があった。

ギルドの中を掃除しながらレイラは長身で金髪で容姿の整った男性に話しかけたのでした。

「勇者マロイ様、本当にありがとうございました。」

私はマロイ様へのお礼を言いました。

「いえいえ、レイラ様には何度も助けて頂いておりますからね。ようやく恩返しができるというものです。」

マロイ様が私にそう答えてくれました。

そるとソフィアがマロイに言うのでした。

「私たちまで押しかけてすいませんでした。」

私がリーゼとソフィアに言った。

「リーゼとソフィアもありがとね。」

二人が私に言いました。

「別にいいって、親友の一大事だからね。」

「こういう時こそ頼ってほしいもんだよ。」

リーゼが私に言いました。

「冒険者ギルドに匿ってもらうのは案外有効かもしれないわね。」

ソフィアが続けて私に言いました。

「実家に戻るとアイツが公爵家の影響力を使って無理矢理レイラを連れ戻される可能性も十分に考えられたからね。」

リーゼが私に言いました。

「冒険者ギルドは中立組織だから王家ですら簡単に手出しはできないからね。」

私はマロイ様に言いました。

「冒険者ギルドのみなさんにはご迷惑をおかけしてしまいますが。」

するとマロイ様が私に言いました。

「レイラ様お気になさらずに。レイラ様には前に手を貸して頂きましたので、そのご恩返しができて我々としても嬉しいのですよ。」

ソフィアが私に尋ねました。

「そういえばレイラ?この前手紙を書いてたよね?誰に出したの?」

私がソフィアに言いました。

「フライド国王様に公爵家を出ましたって伝えておいたんだ。セリスの首飾りも返しておかないといけなかったし。」

ソフィアが頷きながら言いました。

「なるほどね。」

リーゼが私に尋ねた。

「ていうかさレイラ?マロイ様と知り合いだったんだね?」

私はリーゼに言いました。

「うん前にマロイ様と一緒に魔物と戦った事があるのよ。」

そるとソフィアがりーぜに尋ねた。

「ねえこのマロイ様ってそんなにすごい人なの?」

リーゼがソフィアに言った。

「ちょっとソフィア失礼だよ??マロイ様はこの世界の脅威になっていた魔王ギールを倒してこの世界を救った大英雄様なんだよ。」

マロイ様がリーゼに言った。

「大英雄様などと言われると恥ずかしい限りですが。確かに魔王ギールを倒しております。」

するとリーゼが私に尋ねてきました。

「それでどういう経緯でレイラはマロイ様と知り合ったわけ?」

私はリーゼに言いました。

「うーんそれが最初の経緯は私もよく知らないのよ。」

すると後ろから声が聞こえてきました。

「それは俺から話そう。」

後ろを振り向くと体格の良いいかつい顔の冒険者の男性が立っていた。

「戻ったのかアイザック??」

マロイ様がその冒険者の男性に言いました。

「ああ新鮮な情報をたっぷり仕入れてきたぜ。」

私はアイザックさんに尋ねました。

「アイザックさんはあの人が依頼に行った時の事をご存じなんですか?」

アイザックさんが私に言いました。

「ああ実はユーゲルス公爵がこの冒険者ギルドに依頼を出しに来た時に対応たのは俺でな。」

そういうとアイザックは当時の状況を踏まえて話し始めました。

冒険者ギルドの応接室にユーゲルスがやってきて、魔物退治の依頼をしにきていたのだった。

「ありがとうございます。報酬は確かに受け取りました。」

ユーゲルスが席から立ちあがると外に出ようとした。

「では討伐の方はよろしく頼むぞ。」

ギルド長を任されているアイザックがユーゲルスに答えた。

「はいお任せください。」

するとユーゲルスが思い出したようにアイザックに言ったのだった。

「そうだ、言い忘れていたが冒険者達がハーレイドに入る事は許さんぞ??」

アイザックがユーゲルスに聞き返した。

「へっ??」

ユーゲルスがアイザックに言った。

「実は昨日の晩に夢を見てな。よそ者をハーレイドに入れてはならないという内容だった。だからハーレイドには入るな。分かったな。」

アイザックがユーゲルスに言った。

「ちょっと待ってください?」

ユーゲルスがアイザックに聞き返す。

「なんだ?」

アイザックがユーゲルスに尋ねた。

「あのう、今回の魔物討伐して欲しい場所というのはハーレイド領内にあるトリエス鉱山とバイス峠の魔物討伐ですよね?」

ユーゲルスがアイザックに言った。

「そうだ、同じ事を二度言わすな。」

「領地内に入らずにどうやって魔物討伐をしろと?」

「冒険者なのだから離れた場所からでもこう腕を振ってボボーンババーンで魔物を倒せるだろう。なにせ冒険者は魔物討伐の専門家なのだからな。」

「あのういくら冒険者が魔物討伐の専門家といっても領地内に入らずに魔物討伐をするのは不可能です。それにボボーンババーンとかいう魔法も特技も存在しません。私はその言葉を聞いた事はございません。」

ギルド長の言う通りであった。ボボーンババーンという魔法も特技もこの世界には存在しなかった。

ユーゲルスは冒険者という存在をよく知らないために、冒険者という存在を大きく勘違いしていたのだった。

だがユーゲルスは怒り始めたのだった。

「なんだと??なぜそんな嘘をつくのだ??」

アイザックが必死に弁明をしたのだった。

「嘘ではございません。事実を申し上げております。」

ユーゲルスがアイザックに言った。

「冒険者なんだからボボーンババーンができて当然だろう?それとも貴様このルイホルム公爵の頼みは聞けぬと言いたいのか?」

アイザックが必死に弁明をした。

「そういう事ではございません。ルイホルム公爵様に含む所はございません。是非とも公爵様の依頼を受けたいと思っております。」

ユーゲルスがアイザックに言った。

「ならばボボーンババーンを使って魔物を討伐すればいいだろう。冒険者達にはハーレイドの外からボボーンババーンを使って魔物討伐を行うのだ。いいな?」

「そういってルイホルム公爵様は去っていったのです。」

アイザックは説明を終えたのだった。

この話を聞いていたリーゼがアイザックに尋ねた。

「なにそれ??」

アイザックがみなに言いました。

「ルイホルム公爵様との交渉は本当に骨が折れます。」

ソフィアがアイザックに尋ねた。

「それどうなったんですか?」

アイザックがソフィアに言った。

「どうするかみなで話し合い、レイラ様にご協力を仰ぐ事にしたのです。」

私がみなに言いました。

「私がまずマロイ様達をこっそりとトリエス鉱山にお招きして魔物討伐を一緒に行ってもらったのです。そして一通りの討伐が終わった後でマロイ様達を領内の外にお送りしました。」

マロイがソフィアに言いました。

「その後でルイホルム公爵様の前で冒険者達が爆発魔法のファイアーボールをトリエス鉱山に向けて放ったのです。それで何とか事なきをえました。」

リーゼが呆れた様子で言った。

「めんどくさ。」

アイザックがリーゼに言った。

「ルイホルム公爵様はその後も無茶苦茶な依頼をされてきたので、その都度レイラ様のご協力してもらっているのです。」

ソフィアがレイラに言った。

「レイラ、本当に苦労してるわね。」

するとマロイがアイザックに尋ねた。

「それでアイザック何か新しい情報は手に入ったか??」

アイザックがマロイに言った。

「ああそれがな?いろいろとおかしな事になってるみたいだぞ?」

マロイがアイザックに聞き返した。

「おかしな事?」

アイザックがマロイに言った。

「それがなルイホルム公爵が葬式を執り行ったらしいんだ。レイラさんの葬式を。」

私はアイザックさんに尋ねました。

「私の葬式ってどういう事ですか?」

アイザックが私に言いました。

「うーん?分からない??」

マロイがアイザックに尋ねました。

「他には?」

アイザックがマロイに言った。

「ミルテイン王国の騎士達が聖水を集めてるそうだ。」

マロイがアイザックに尋ねた。

「聖水を集めている。アンデッド対策のためか?」

アイザックがマロイに答えた。

「たぶんそうだろうが、アンデッド対策をする理由が分からん。」

マロイがアイザックに尋ねた。

「アイザックどう思う?」

アイザックがマロイに言った。

「さあな?全然見当がつかない。ただ嫌な予感しかしないな。」

マロイがアイザックに言った。

「同感だ。これは備えておいた方がいいかもしれないな。」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

玉砕するつもりで、憧れの公爵令息さまに告白したところ、承諾どころかそのまま求婚されてしまいました。

石河 翠
恋愛
人一倍真面目でありながら、片付け下手で悩んでいるノーマ。彼女は思い出のあるものを捨てることができない性格だ。 ある時彼女は、寮の部屋の抜き打ち検査に訪れた公爵令息に、散らかり放題の自室を見られてしまう。恥ずかしさのあまり焦った彼女は、ながれで告白することに。 ところが公爵令息はノーマからの告白を受け入れたばかりか、求婚してくる始末。実は物への執着が乏しい彼には、物を捨てられない彼女こそ人間らしく思えていて……。 生真面目なくせになぜかダメ人間一歩手前なヒロインと、そんなヒロインを溺愛するようになる変わり者ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID3944887)をお借りしております。

【完結】伯爵の愛は狂い咲く

白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。 実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。 だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。 仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ! そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。 両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。 「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、 その渦に巻き込んでいくのだった… アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。 異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点) 《完結しました》

【完結】強制力なんて怖くない!

櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のエラリアは、十歳の時に唐突に前世の記憶を取り戻した。 どうやら自分は以前読んだ小説の、第三王子と結婚するも浮気され、妻の座を奪われた挙句、幽閉される「エラリア」に転生してしまったらしい。 そんな人生は真っ平だと、なんとか未来を変えようとするエラリアだが、物語の強制力が邪魔をして思うように行かず……? 強制力がエグい……と思っていたら、実は強制力では無かったお話。 短編です。 完結しました。 なんだか最後が長くなりましたが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

愛するひとの幸せのためなら、涙を隠して身を引いてみせる。それが女というものでございます。殿下、後生ですから私のことを忘れないでくださいませ。

石河 翠
恋愛
プリムローズは、卒業を控えた第二王子ジョシュアに学園の七不思議について尋ねられた。 七不思議には恋愛成就のお呪い的なものも含まれている。きっと好きなひとに告白するつもりなのだ。そう推測したプリムローズは、涙を隠し調査への協力を申し出た。 しかし彼が本当に調べたかったのは、卒業パーティーで王族が婚約を破棄する理由だった。断罪劇はやり返され必ず元サヤにおさまるのに、繰り返される茶番。 実は恒例の断罪劇には、とある真実が隠されていて……。 愛するひとの幸せを望み生贄になることを笑って受け入れたヒロインと、ヒロインのために途絶えた魔術を復活させた一途なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID25663244)をお借りしております。

【完結】昨日までの愛は虚像でした

鬼ヶ咲あちたん
恋愛
公爵令息レアンドロに体を暴かれてしまった侯爵令嬢ファティマは、純潔でなくなったことを理由に、レアンドロの双子の兄イグナシオとの婚約を解消されてしまう。その結果、元凶のレアンドロと結婚する羽目になったが、そこで知らされた元婚約者イグナシオの真の姿に慄然とする。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

姉の代わりでしかない私

下菊みこと
恋愛
クソ野郎な旦那様も最終的に幸せになりますので閲覧ご注意を。 リリアーヌは、夫から姉の名前で呼ばれる。姉の代わりにされているのだ。それでも夫との子供が欲しいリリアーヌ。結果的に、子宝には恵まれるが…。 アルファポリス様でも投稿しています。

死んで巻き戻りましたが、婚約者の王太子が追いかけて来ます。

拓海のり
恋愛
侯爵令嬢のアリゼは夜会の時に血を吐いて死んだ。しかし、朝起きると時間が巻き戻っていた。二度目は自分に冷たかった婚約者の王太子フランソワや、王太子にべったりだった侯爵令嬢ジャニーヌのいない隣国に留学したが──。 一万字ちょいの短編です。他サイトにも投稿しています。 残酷表現がありますのでR15にいたしました。タイトル変更しました。

処理中です...