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王宮の中にある謁見の間ではパルタス国王とリリス王妃が喧嘩をしているのだった。

リリス王妃がパルタス国王に詰め寄っていた。

「あなた私というものがありながら、エリザベスの所に通ってたというのは本当なのかしら??」

パルタス国王がリリス王妃に言った。

「誤解だ。リリス!!余はエリザベス殿と浮気などしていない!!リリスそち一筋なのだ!!そちが王家に嫁いできてくれてから余はずっとリリスにメロメロなのだ!!!」

リリス王妃がパルタス国王に言った。

「それが本当だと言うのならエリザベスがあなたと浮気していたと宣言したのはどういう事なの??」

パルタス国王がリリス王妃の目を見ながら必死に訴えていた。

「エリザベス殿がなぜそんな宣言をしたかはわからないが、余には全く身に覚えのない事なんだ。信じてくれ!!この通りだ!!!」

そして謁見の間にはもう一人がいた。

その人はチャールズの父であるアルドラス公爵であった。

アルドラス公爵がリリス王妃に言った。

「リリス王妃様。どうか落ち着いてくださいませ。このセバスチャンいつも国王様と王妃様との中むずましい所を見てきました。王妃様が国王様を愛し国王様もリリス様への愛を貫いております。これはおそらく根も葉もない噂話に過ぎないのではないでしょうか?」

パルタス国王がリリス王妃に言った。

「セバスチャンのいう通りだ。きっと根も葉もない噂話だろう!!余はリリスを愛している!!信じてくれ!!」

リリス王妃はしばらく無言で考えた後でこうパルタス国王に言った。

「どうやら私の早とちりだったみたいね。ごめんなさい。あなた。」

パルタス国王がリリス王妃に言った。

「いや分かってくれて良かったよ。リリスこれからも仲良くしていこう。」

リリス王妃が笑顔でパルタス国王に答えた。

「ええ。」

リリス王妃がアルドラス公爵に言った。

「セバスチャン、見苦しい所を見せてしまったわね。」

アルドラス公爵がリリス王妃に言った。

「とんでもございません。ケルディス王家に尽くすのは貴族の務めにございます。」

パルタス国王がアルドラス公爵に言った。

「セバスチャンすまぬがリリスと二人きりにしてくれぬか。」

アルドラス公爵がパルタス国王に言った。

「承知いたしました。では国王様、王妃様、失礼致します。」

アルドラス公爵は謁見の間の外に出た。

すると後ろから女性の声が聞こえてきた。

「アルドラス公爵様!!」

すると魔導士風の女性がそこにいた。

「おおミーレウス殿、騒ぎの方はおさまりましたかな?」

この女性はセシルの母親でケルディス王家で宮廷魔導士長を務めているミーレウスであった。

ミーレウスがアルドラス公爵に言いました。

「はい、王宮内のいざこざはなんとか治める事ができました。国王様と王妃様の方はお諫めする事はできましたか?」

アルドラス公爵がミーレウス魔導士長に言った。

「ええリリス王妃様にはちゃんと耳を傾けて頂く事ができました。納得していただけたようです。」

ミーレウスが安堵した様子でアルドラス公爵に言った。

「それは良かった。」

アルドラス公爵がミーレウスに言った。

「王宮に来た時は大混乱になっておりましたからな。」

ミーレウスがアルドラス公爵に言った。

「一体何があったんでしょうか??」

するとそこにチャールズとセシルがやってきた。

「おーい、親父!!」

「お母様!!」

アルドラス公爵とミーレウス宮廷魔導士長が後ろを振り向いた。

「チャールズじゃないか。」

「ああ二日前に王都に来たんだ。」

「セシル??あなた王都に来てたの??」

「はいチャールズ様と二日前から来てました。」

するとアルドラス公爵とミーレウス宮廷魔導士長が一気に険しい顔になった。

アルドラス公爵が険しい顔でチャールズに尋ねた。

「チャールズ??お前王都で何か悪さをしてたんじゃないだろうな??」

「何にもしてねえよ。」

「本当に本当だな。」

「本当に本当だよ、親父。俺は親父がいない間アルドラス公爵家の名に恥じないように誇り高い日々を過ごしていたんだ。」

「ならいいが。」

一方のミーレウス宮廷魔導士長も険しい顔でセシルに尋ねたのだった。

「セシル??あなた王都で何か悪さをしてたんじゃないでしょうね?」

「えっ??」

「王都に来てから何か悪さをしてないかって聞いてるの?」

「まったくしてません。お母様のいない間も子爵家の子女として慎ましく善良に過ごしてました。」

「ならいいわ。」

するとアルドラス公爵がチャールズに尋ねたのだった。

「それでチャールズ私に何の用だ??私を探していたようだが?」

ミーレウスもセシルに尋ねたのだった。

「セシル、あなたもなんでチャールズ様と一緒にいるの??」

チャールズがアルドラス公爵に言った。

「実はな親父!!ゴブリンイカ女とは別れたんだ。」

アルドラス公爵がチャールズに聞き返した。

「チャールズ??何の事を言っているんだ?」

チャールズがアルドラス公爵に言った。

「だからゴブリンイカ女を追い出したんだよ!!ゴブリンイカ女がいたらアルドラス公爵家は破滅してしまう所だったんだ。それを俺様のナイスな判断であの価値のないゴブリンイカ女を追い出してやったんだよ。」

セシルがチャールズに言った。

「そうです、私もチャールズ様と一緒にあのゴブリンイカ女を追い出したんですよ。ねえチャールズ様!!!」

ミーレウスもセシルに聞き返した。

「セシル??何を言っているのあなたは??」

セシルがミーレウスに言った。

「だからお母様、チャールズ様と一緒にあのゴブリンイカ女を追い出したんです。チャールズ様は私と結婚するんですよ。そして私が公爵夫人となるんです。」

セシルがチャールズに言った。

「ねえチャールズ様??」

チャールズが嬉しそうに答える。

「ああ。」

アルドラス公爵がチャールズに言った。

「おいチャールズ!!!まさかリンゼ様を追い出したんじゃないだろうな!!」

チャールズが大声で言った。

「リンゼ様なんて呼ばなくていいよ親父。あの女は公爵家にはまったくふさわしくない女だった。ゴブリンイカの存在だからゴブリンイカ女って呼ぶ事にしたんだよ。あんな地味な女はゴブリン以下の存在だからなピッタリだろう!!ぎゃはっはっ!!」

セシルが大声で言った。

「ゴブリンイカ女って呼び方は私が考えたんですよ。なかなか痛快でセンスがあると思うでしょうお母様?あんな地味で価値のない女にはゴブリンイカ女と呼んで当然ですから。そうそうあのゴブリンイカ女泣きながら屋敷を出ていった時は本当に最高でした。あのゴブリンイカ女が泣きながら出てった時の顔がもう忘れられません!!」

するとチャールズの顔には鉄拳が、セシルには強烈なビンタがお見舞いされたのだった。

「チャールズ!!貴様は何てことをしてくれたんだ!!」

「セシル!!なんてことをしてくれたのあなたは!!」

アルドラス公爵がチャールズを怒鳴りつけた。

「リンゼ様はあれだけ公爵家の事を考えてくれておったのに、貴様という奴は!!」

チャールズがアルドラス公爵に言った。

「なんの役にも立ってなっかただろうあの女は!!」

アルドラス公爵がチャールズに言った。

「貴様の目がフシ穴なだけだ!!」

一方のセシルもミーレウス魔導士長に怒鳴られていた。

「セシル!!なんであなたはいつも人を泣かせるような事を平気でやるの!!!」

「だってお母様!!楽しいんですもの。」

「やられた人の気持ちをちゃんと考えなさい!!」

「お母様??どうせ価値のない連中なんですからそんな連中の気持ちなんて考えなくていいでしょ?」

バシーン!!

再びセシルの頬にビンタがさく裂した。

「お母様いたい!!」

「なんであなたはいつも人を見下したような態度しかとれないの。」

「実際に私以外は無価値な連中なんですもの。あのゴブリンイカ女がいい例でしょ。」

バシーン!!

またセシルには強烈なビンタがミーレウスからお見舞いされたのだった。

「お母様、痛い!!」

「あなたの言動でどれだけの人達が傷ついているか分からないの??」

「セシル!!あなたは魔導士としても貴族としてもとても大事な物が欠如しているわ。まずそれをちゃんと認識なさい!!」

「お母様、それは違います。私は完璧なんです。女としても魔導士としても貴族としてもどの点で見てもね。あんなゴブリンイカ女と違って!!」

再びセシルの頬に強烈なビンタがお見舞いされた。

「お母様、だから痛い!!」

ミーレウスがセシルに怒鳴りつけます。

「まずその言い方を止めなさい!!ちゃんとリンゼさんと言いなさい!!」

「嫌です。お母様、あんなゴブリンイカ女をさんづけなんて。」

再びセシルの頬に強烈なビンタがさく裂した。

セシルがふらつきながら言った。

「お母様、だから痛い。」

するとアルドラス公爵がチャールズに言った。

「チャールズ!!すぐにリンゼ様の所に行って土下座をして謝ってこい!!」

チャールズがアルドラス公爵に言った。

「はあ??なんで俺様が土下座してまで謝らなきゃならないんだよ??」

アルドラス公爵がチャールズに言った。

「これだけ無礼な事をしたのだから土下座してリンゼ様に謝るのは当然だろうが!!いいか!!今週中にリンゼ様に土下座して謝ってこい!!もしリンゼ様に土下座をして謝ってこなければチャールズお前を後継者から外してアルドラス公爵家から追放する!!分かったな!!」

ミーレウスがセシルに言った。

「セシル!!!あなたもよ!!今週中に土下座してリンゼさんに謝ってきなさい!!!」

セシルがミーレウスに言った。

「なんで私が謝らなきゃならないの。私は全然悪くないし、悪いのは全部あのゴブリンイカ女よ。」

ミーレウスの強烈なビンタがセシルの頬にさくれつした。

「何を言ってるの!!どこをどう見たって悪いのはセシル!!!あなたでしょうが!!!いいセシル!!今週中にリンゼさんに土下座をして謝らなければあなたをリネアス子爵家から追い出します。いいわね??」

アルドラス公爵とミーレウスはそう言うとチャールズとセシルを置いて立ち去っていった。

「待ってくれ!!親父!!!」

「お母さま、待って!!」

だがアルドラス公爵もミーレウス宮廷魔導士長も二人の言葉に振り返りもせずにその場を去っていった。

チャールズとセシルは大きく落胆していた。

「なんて事だ。まさか親父があのゴブリンイカ女の肩を持つとは。どうしよう。このままじゃ公爵になれなくなっちまう。」

するとセシルがチャールズに言った。

「チャールズ様??お母様もそうだけど、公爵様もおかしくないですか?だってチャールズ様も私も誰よりも貴族らしい行いをしてるじゃないですか。」

チャールズがセシルに言った。

「そうだな俺もセシルも誰よりも下民をいたぶっている。そんな俺達が貴族にふさわしくないはずがない。」

「そうです。貴族の責務は下民をたくさんいたぶる事のはずです。そこらのエセ貴族よりよっぽど私達は貴族として適任なはずです。」

「じゃあ親父はなんであんな事を言ったんだ??」

二人はなぜか考え込んでしまうのだった。

そしてしばらくしてセシルがこうチャールズに言ったのでした。

「そうか分かりました!!!アルドラス公爵様はこう言いたかったんですよ。あのゴブリンイカ女をどんな手を使っても土下座させてこいと!!そうしないとアルドラス公爵家を継がせられないと。」

「そうかなるほど!!それなら納得だ。親父があんなゴブリンイカ女の肩を持つはずがないからな。」

「うん、きっとお母様もそう言いたかったんだわ。あのゴブリンイカ女を土下座させなければ子爵家に置いておけないと。」

「そうか俺達は試されているんだな。貴族の家の跡取りにふさわしいかどうかを。」

「そうです。公爵様やお母様の期待に応える為にもあのゴブリンイカ女を誘拐して私達の前で土下座させてやりましょう!!」

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