上 下
7 / 16

07

しおりを挟む
到着した私のもとに赤いショートヘアの女子が慌てて駆けつけてきました。

「ちょっとリンゼ??この仰々しい行列は何??ドルチェス王子様までいらっしゃるじゃない??」

この赤い髪ショートヘアーの女子が今回お茶会へ招待してくれたエミリアです。

彼女とは貴族学院時代からとても仲良くしています。

私はすぐにティルモール伯爵邸の中の客間へと通されてエミリアに事情を話しました。

私の話を聞き終わったエミリアが私に言いました。

「いやードルチェス王子様や公爵であられるカーバルド様に護衛してもらってるなんかすごいじゃない!!」

私がエミリアに言いました。

「言わないで、結構アタフタしてるんだから。」

エミリアが私に言いました。

「普通に喜べばいいじゃん。ドルチェス王子様に護衛してもらってるんだからさ。」

私がエミリアに言いました。

「もう他人事だと思って。」

エミリアが私に言いました。

「ゴメン、ゴメン。でもチャールズの方は本当に災難だったね。」

私はエミリアに頷きます。

「うん。」

エミリアが私に尋ねました。

「リンゼ??よかったらそっちの話も詳しく聞かせてくれる??」

私はエミリアにチャールズに婚約破棄された詳しい経緯を話しました。

話を聞き終わったエミリアが私に言いました。

「あのクズ男のチャールズめ!!!婚約破棄するんだったら最初からリンゼに婚約を申し込んでくるなっつうの!!」

私がエミリアに尋ねました。

「エミリアも私の事を庇ってくれるの?」

エミリアが私に言いました。

「そりゃ庇うよ!!!話を聞いた限りじゃリンゼ全然悪くないじゃない。あのクズ男のチャールズがリンゼに無茶苦茶な事を言ってきて追い出されたんじゃん!!!」

「にしても浮気相手がセシルか??チャールズとセシルって最悪の組み合わせね。」

「そうかな?」

「チャールズにしてもセシルにしても貴族学院の時も二人の周りではトラブルが多発してたでしょ?」

「そういえばもめ事が多かったよね。」

「もめ事っていうかチャールズやセシルがほぼ一方的にイジメや嫌がらせをしてただけだからね!!!チャールズやセシルに絡まれた子達が本当にかわいそうだったわ。私たちは一度も同じクラスにならなかったから本当に良かったって女神様に感謝してたんだけど。リンゼがあのクズ男と婚約するって聞いた時は本当に驚いたわよ。」

「そういえばエミリアは婚約を止めるように何度も説得しに来てくれたね。」

「だってあんな男と結婚したら将来に破滅するのが約束されてるようなもんでしょ。エルカリア伯爵様は何も言われなかったの?」

「うんお父様は気が進まなければ断っていいぞって言われたんだけど、お父様の役に立ちたかったしその時はチャールズももっといい人だと思ってたから。」

「全然いい人じゃなかったでしょ?」

「うん、全然いい人じゃなかった。」

すると客間に一人の男性が入ってきました。

「エミリア、失礼するよ。」

気の弱そうな長身で黒髪の男性が客間に入ってきたのでした。

この方はエミリアの夫であるティルモール伯爵様です。

エミリアがそのティルモール伯爵様に尋ねます。

「あっ!!モンテニオ様?」

ティルモール伯爵様がエミリアに言いました。

「すまないエミリア、リンゼ殿もいらっしゃるとは思ってなかった、また後で出直すよ。」

私がティルモール伯爵に言いました。

「ティルモール伯爵様??私の事はお気になさらずに。」

エミリアもティルモール伯爵様に言いました。

「どうされたんですか??モンテニオ様??」

ティルモール伯爵様は言いにくそうにエミリアに言いました。

「実はさきほど王都の騎士隊からとある情報が届いたんだが。」

そう言うとティルモール伯爵様がエミリアに尋ねました。

「エミリアにとってはきっと不快な情報になってしまうがいいかい?」

エミリアがティルモール伯爵様に言いました。

「はい構いません、モンテニオ様。」

「実は王都でチャールズ殿とエミリアが密会をしていたという情報が届いたんだ。」

「はあ?私とあのクズ男が王都で密会??」

「仲良く手をつないで歩いていたという話なんだ。さらに通行人からルーテスの首飾りと黄金の指輪を強奪して老人に暴力を振るったとも書状には書いてある。」

「全く身に覚えがありません。」

「そんなの絶対に間違いです。私がモンテニオ様を裏切るような事はしません!!きっと何かの間違いだです!!」

私はティルモール伯爵様に言いました。

「エミリアはモンテニオ様を裏切ったりする人ではありません。ましてや強奪したり暴力を振るうなんてエミリアに限って絶対にありえません。」

ティルモール伯爵様は少し考えてから私とエミリアに言いました。

「確かにリンゼ殿のおっしゃる通りだ。冷静になって考えてみればエミリアが私を裏切るはずがない事など分かり切っているのに。すまないエミリア、この知らせを聞いて気が動転していたようだ。」

エミリアは私とティルモール伯爵様に言いました。

「モンテニオ様ありがとうございます!!リンゼもありがとね。」

するとティルモール伯爵様が言いました。

「しかしそうなるとあの知らせはどういう事だ王都の騎士隊がデタラメを送ってきたとも思えないし??」

私がティルモール伯爵様に尋ねます。

「ティルモール伯爵様??それ以外に何か書いてありませんか?」

ティルモール伯爵様が私に言いました。

「そうだな?ああここに二人の特徴が書いてある。チャールズが黒髪のショートヘアの男でエミリアが青い髪でロングヘアーの女子だったらしい。」

私が二人に言いました。

「青い髪でロングヘアーの女子??それってセシルじゃないですか?」

エミリアが私に言いました。

「そうだね、黒髪のシュートヘアはチャールズっぽいけど、青い髪でロングヘアーの女子ってセシルの可能性が高いわね。チャールズとセシルは今一緒にいるみたいだしね。」

「あいつら私に何の恨みがあるっていうの??本当にロクな事をしないんだから!!」

すると客間の外から声が響いてきた。

「ティルモール伯爵様??ドア越しに失礼致します。ご報告よろしいでしょうか??」

するとティルモール伯爵様が客間の外に向けて言いました。

「昨日マイタニス村が謎の二人組によって襲撃を受けたとの事です。」

「なんだと??被害は?」

「ケガ人が十名ほど出ております。ただ警戒に当たってくれていた冒険者達がすぐに駆けつけたため死者はでなかったようです。」

「そうか、分かった。」

「エミリアすまないがマイタニス村に行ってくる。留守を頼めるかい?」

「はい、お任せください、モンテニオ様。」

「リンゼ殿、バタバタして申し訳ない!!どうかお茶会を楽しんでいってください。ではこれで??」

ティルモール伯爵はそう言うと客間から出て行った。

私はエミリアに尋ねた。

「ねえ??どういう事??」

エミリアが私に言いました。

「うん、最近うちのティルモール伯爵家の領地内の村々で襲撃事件が多発してるのよ。二人組の襲撃者らしいんだけど。強力な魔法をバンバンぶっぱなして村々を襲ってるらしいの。」

私がエミリアに聞き返しました。

「強力な魔法をバンバン??」

エミリアが私に言いました。

「たぶん二人組の襲撃者のどっちかが優秀な魔導士なんでしょうね。」

エミリアが私に言いました。

「証拠はないんだけど、この二人組の襲撃犯ってチャールズとセシルだと思ってるんだよね??ほらセシルって人しても貴族としてもダメだけど魔導士としては優秀でしょ。」

私がエミリアに言いました。

「リネアス子爵家は代々宮廷魔導士長を務める家だしね。」

エミリアが私に言いました。

「うん、さっきまではそこまでの確信はなかったけど、さっきのモンテニオ様の話を聞いて確信したわ!!あいつらならやりかねないわ!!」

するとエミリアが真剣な顔で私に言いました。

「リンゼ??ドルチェス王子様の言われる通り、これは用心しといた方がいいかもしれないわよ。」

私はエミリアに頷きました。

「うん。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

いつの間にかの王太子妃候補

しろねこ。
恋愛
婚約者のいる王太子に恋をしてしまった。 遠くから見つめるだけ――それだけで良かったのに。 王太子の従者から渡されたのは、彼とのやり取りを行うための通信石。 「エリック様があなたとの意見交換をしたいそうです。誤解なさらずに、これは成績上位者だけと渡されるものです。ですがこの事は内密に……」 話す内容は他国の情勢や文化についてなど勉強についてだ。 話せるだけで十分幸せだった。 それなのに、いつの間にか王太子妃候補に上がってる。 あれ? わたくしが王太子妃候補? 婚約者は? こちらで書かれているキャラは他作品でも出ています(*´ω`*) アナザーワールド的に見てもらえれば嬉しいです。 短編です、ハピエンです(強調) 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿してます。

泣き虫令嬢は自称商人(本当は公爵)に愛される

琴葉悠
恋愛
 エステル・アッシュベリーは泣き虫令嬢と一部から呼ばれていた。  そんな彼女に婚約者がいた。  彼女は婚約者が熱を出して寝込んでいると聞き、彼の屋敷に見舞いにいった時、彼と幼なじみの令嬢との不貞行為を目撃してしまう。  エステルは見舞い品を投げつけて、馬車にも乗らずに泣きながら夜道を走った。  冷静になった途端、ごろつきに囲まれるが謎の商人に助けられ──

「股ゆる令嬢」の幸せな白い結婚

ウサギテイマーTK
恋愛
公爵令嬢のフェミニム・インテラは、保持する特異能力のために、第一王子のアージノスと婚約していた。だが王子はフェミニムの行動を誤解し、別の少女と付き合うようになり、最終的にフェミニムとの婚約を破棄する。そしてフェミニムを、子どもを作ることが出来ない男性の元へと嫁がせるのである。それが王子とその周囲の者たちの、破滅への序章となることも知らずに。 ※タイトルは下品ですが、R15範囲だと思います。完結保証。

[完結]本当にバカね

シマ
恋愛
私には幼い頃から婚約者がいる。 この国の子供は貴族、平民問わず試験に合格すれば通えるサラタル学園がある。 貴族は落ちたら恥とまで言われる学園で出会った平民と恋に落ちた婚約者。 入婿の貴方が私を見下すとは良い度胸ね。 私を敵に回したら、どうなるか分からせてあげる。

婚約破棄をしてくれた王太子殿下、ありがとうございました

hikari
恋愛
オイフィア王国の王太子グラニオン4世に婚約破棄された公爵令嬢アーデルヘイトは王国の聖女の任務も解かれる。 家に戻るも、父であり、オルウェン公爵家当主のカリオンに勘当され家から追い出される。行き場の無い中、豪商に助けられ、聖女として平民の生活を送る。 ざまぁ要素あり。

いつか彼女を手に入れる日まで

月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?

傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。

石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。 そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。 新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。 初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、別サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。

こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。 彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。 皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。 だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。 何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。 どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。 絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。 聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──…… ※在り来りなご都合主義設定です ※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です ※つまりは行き当たりばったり ※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください 4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!

処理中です...