最強勇者の物語2

しまうま弁当

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第4章 ホルムス共和国

投獄

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パルゲア歴752年6月28日午後10時、ここは首都アグトリアにある果てなき絶望のアジトである。

街中を出歩く者もほとんどおらず、アジトの周囲は静寂に包まれていた。

そしてアジトの中には仕事を成功させたスリラの姿があった。

壁越しにスリラが話した。

「要望通り、アホ勇者から金を巻き上げてきた。ほら3億トリムだ。」

スリラはそう言うと、3億トリムが入った麻袋を持ち上げた。

するとガチャガチャという音の後に閉まっていた扉が空いた。

そして奥の部屋の中から声が聞こえてきた。

「どうぞ、中に入ってきて。」

スリラは扉をくぐり奥の部屋へと入った。

奥の部屋は手前の部屋よりも広く、ベッドや机なども置かれていた。

奥の部屋は魔導灯がついており、かなり明るかった。

そしてスリラは部屋に立っていた人物を見た。

長い黒髪の長身の女性だった。

年齢は25才くらいで黒い服装だった。

「私はモニカ・アンジェル、果てなき絶望のリーダーよ。」

スリラはモニカに言った。

「俺はスリラだ。」

するとモニカがスリラに言った。

「スリラよくやったわ。見事アホ勇者からお金を騙し取ったわ。」

するとスリラがモニカに言った。

「見事ね?俺の他にもたくさんアホ勇者から金を騙し取ってた奴がいたがな?あれはそんなに難しい仕事なのか?」

するとモニカがスリラに言った。

「確かにアホ勇者から金を騙し取るのは簡単よ。うその不幸話をするだけで大金をくれるからね。でも貴方は足がつかないように、すぐに着替えて巡礼用の服を処分した。そしてそのお金を入れてる麻袋もちゃんと変えてるでしょ?」

するとスリラがモニカに言った。

「確かに巡礼服は処分して、この麻袋も変えた。足がついたら困るからな。それにしても、果てなき絶望なんて大層な名前の割に詐欺なんてせこい事やってるんだな?」

モニカはスリラに言った。

「別に詐欺しかしてない訳じゃないけど。だけどスリラ、貴方は詐欺を勘違いしてるわ。盗賊なんて血生臭い事ばっかりやらなければならないのに、そこまで実入りは良くない。その点、詐欺は素晴らしいわ。弁舌だけで大金が転がり込んでくる。それに詐欺には技術もいるわ。盗賊なんかよりははるかに高尚よ。」

さらにモニカはスリラに熱弁を続けた。

「いかに楽をして大金を手に入れるか?大事なのはそこでしょう?難しい相手だからって、大金が手に入る訳じゃない。楽な相手から稼いだ方が効率がいいわ。ましてや相手はあのアホ勇者。アホ勇者から巻き上げるのは当然の流れでしょう?」

するとスリラは諦めてモニカに謝った。

「すまない、詐欺について思い違いをしていたようだ。」

モニカがスリラに言った。

「ようやく詐欺の良さを分かってくれたようね。」

スリラがモニカに尋ねた。

「ところでレイドスはどうしたんだ?外にいなかったからこの中にいると思ったんだが?レイドスも詐欺を成功させていたはずだが?」

するとモニカがスリラに答えた。

「ああ、レイドスは捕まったわよ。ドレスタル枢機卿にね。そりゃ50億トリムなんて大金担いで、酒場で豪遊してればすぐに見つかるわよ。貴方みたいに搾り取る金額は抑えないとね。騙し取られた方からすれば大金を盗んでいった奴から探すでしょうし。」

スリラがモニカに尋ねた。

「レイドスは捕まったのか?」

モニカがスリラに言った。

「ええアグトリア大神殿の地下牢に捕まってるわ。」

スリラはモニカに尋ねた。

「なぜそこまで詳しく知ってるんだ?」

モニカがスリラに言った。

「ああそれはずっと貴方達を観察していたからよ。ここを出た時からずっとね。それと拘束場所を知ってるのは僧兵修道会に協力者がいるからよ。」

モニカがスリラに続けて言った。

「それでスリラ、さっそくだけど仕事よ。レイドスを助けに行って欲しいの。」
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