最強勇者の物語2

第４章 ホルムス共和国

真相

笹岡警部が犯人を指差して言った。

「広正(ひろまさ)社長殺害の犯人はあなたです。総務部長の吉崎敏弘(よしざきとしひろ)さん！」

吉崎部長は顔を青くして答えた。

「なっ？？」

笹岡警部が吉崎部長に続けて言った。

「吉崎部長、あなたは午前８時から午前9時までのおよそ一時間保管倉庫にいました。あなたなら、広正社長を殺す事も自殺に見せかけた偽装工作も可能です。違いますか？」


だがすぐに吉崎部長は笹岡警部に反論した。

「馬鹿な事を言わないでくれ！あなたにも言ったはずだ。今日は広正社長には会っていないと。それに広正社長は隣町にあるマルテールチョコレートの本社に行って、遠藤社長と打ち合わせをしてたんだろう？どうやったら殺せるって言うんだ？」

これに富城課長が笹岡警部に尋ねた。

「どういう事ですか？笹岡警部？」

笹岡警部が皆に言った。

「実は今日の午前７時10分頃に保管倉庫近くのコンビニで広正社長が目撃されているんです。」

すると富城課長が笹岡警部尋ねた。

「広正社長はわざわざあっちのコンビニに行ったんですか？それでその後隣町に向かったんですか？」

すると笹岡警部が富城課長に答えた。

「いえ、コンビニ店員の証言と防犯カメラの映像を調べた所、午前7時12分に広正社長がコンビニで買い物を終えて保管倉庫に向かって歩いて行ったのを確認しました。その後広正社長が保管倉庫側から戻ってくる所はカメラに映っていませんでした。コンビニから先には保管倉庫以外何もありません。つまり広正社長は今日の朝保管倉庫に行った考える方が自然です。」

すると吉崎部長が笹岡警部に言った。

「ああそう言えば、広正社長が事務所にいたかもしれないな？会ってないから気づかなかっただけかも。」

すると黒岩刑事が大きな声で吉崎部長に言った。

「吉崎部長、あなたさっき広正社長は倉庫にいなかったと断言してたじゃないですか？」

吉崎部長が黒岩刑事に反論した。

「ああ、ただ勘違いしてただけですよ。まさかただの勘違いで犯人呼ばわりする気ですか？それにどう説明する気なんです？午前11時30分まで生きていた広正社長を午前9時に保管倉庫から出てきた俺にどうやって殺せるって言うんです？午前10時に本社棟事務所に戻った。それから俺はずっと本社棟事務所にいたんですよ？どうやったって無理でしょ？」

すると笹岡警部は吉崎部長に尋ねた。

「そう言えば、広正社長はなぜ打ち合わせに出かけると嘘をついていたのでしょうな？」

吉崎部長が笹岡警部に言った。

「そんな事知らないですよ？休みたかったじゃないんですか？」

富城課長が笹岡警部に言った。

「広正社長は遠藤社長の所に打ち合わせに行くと言っていたのに、実際は保管倉庫に向かった。確かにおかしいですが。」

笹岡警部が富城課長に答えた。

「広正社長は騙す必要があったんですよ。あなた方をね。」

富城課長が笹岡警部に尋ねた。

「我々を騙す必要があった？」

笹岡警部が富城課長に答えた。

「そうです。広正社長は内密に調査をしようとしていたんですよ。」

富城課長が笹岡警部に尋ねた。

「調査というのは？」

笹岡警部が富城課長に答えた。

「吉崎部長の素行調査ですよ。セクハラについてのね。」

富城課長が笹岡警部に言った。

「セ、セクハラ？」

笹岡警部が富城課長に答えた。

「そうです。この吉崎部長は自分の立場を利用して、女子社員達にセクハラしていたんですよ。」