最強勇者の物語2

第４章 ホルムス共和国

茶番劇

俺(影橋陸夜)はアミラと共に男爵屋敷の敷地の中を進んで行った。

そして俺達は赤いレンガ造りで大きな三階建ての建物の中に入っていった。

入った所は正面玄関だったらしく三階まで吹き抜けになっており各階へ続く大きな階段と、奥の部屋へ続く廊下がいくつもあった。

屋敷内は綺麗に装飾されており、とてもきらびやかだった。

するとアミラが俺に尋ねた。

「ビード男爵はどこにいるんでしょうか？」

俺はアミラに答えた。

「さっき門番の騎士に聞いたら大広間にいるって言ってた。」

するとアミラは俺に言った。

「大広間だったら正面の廊下を進んだ先にあります。」

廊下も天井までが非常に高く廊下の横幅も広かった。

俺はアミラを気遣いながらゆっくり進んでいった。

屋敷内の各所で男爵の部下の騎士と村人達との戦いが繰り広げられていた。

途中でいくつも扉があったが、アミラに聞いたら関係ないという事だったので無視して先に進んでいった。

しばらく進むと、大きな金属製の扉に突き当たった。

俺はアミラに尋ねた。

「この中が大広間なの？」

アミラが俺に言った。

「はい、そうです。この扉の中が大広間です。」

俺はアミラに言った。

「じゃあ入ろうか？」

アミラが俺に言った。

「はい。」

俺達は大広間の扉をゆっくり開けた。

大広間というだけあり、部屋の中はとても広かった。

天井から照明が吊るされており、部屋の中は白で統一されておりとても綺麗だった。

大広間には人がほとんどいなかった。

大広間の奥の方に玉座があった。

その玉座に座っている男がいた。

この男が恐らくビード男爵だろう。

俺はアミラと共に玉座に近づいた。

ビード男爵は赤い礼服で身を固めており、赤いマントを羽織っていた。

するとビード男爵は立ち上がりこちらに声をかけた。

「おお！待っておったぞアミラ！遅かったではないか？はよこちらに参れ！」

俺はアミラを見た。

するとアミラはビード男爵に怯えた様子だった。

俺がビード男爵に大きな声で言った。

「おいビード男爵！アミラはお前の顔なんか見たくないとさ。」

するとビード男爵が俺に気づいて大きな声で言った。

「なんだ貴様は？無礼であろう！余は男爵であるぞ！」

すると大広間の扉が開いて村人達が中に入ってきた。

入ってくるなり村人の一人が俺に言った。

「ビード男爵の部下共は全員捕まえた。あとはビード男爵だけだ。」

村の人達はすごいな。

もう騎士達を全員捕まえてしまったとは。

するとビード男爵が大きな声で言った。

「村人ふぜいが何をしておるのだ？図にのりおって！この男爵である余に逆らうとどうなるか、もちろん分かっておるのだろうな！」

これを聞いたアミラを含めた村人達が怯えていた。

ビード男爵がさらに続けて言った。

「知っておろう、余は剣の達人だ。お前らが束になっても勝てる相手ではないぞ。余に逆らった者は誰一人として許さんぞ！全員でなぶり殺しにしてやる！」

俺はアミラに言った。

「大丈夫だから、アミラは下がって見てて。」

するとアミラが俺に言った。

「はい。信じています、勇者様。」

アミラはそう言うと大広間の扉の手前まで下がった。

ビード男爵が俺に大声で言った。

「よいか？余は男爵であるぞ！この地を治める領主なのだぞ！貴様ら村人ふぜいが貴族である余に逆らっていいはずがなかろう！余の命令は絶対なのだ！貴様ら村人は余の命令にさえ従っておればよいのだ。分かったか村人ふぜいが？」

俺は大きな声でビード男爵に言った。

「そんな命令俺は聞かない！そして俺はお前に絶対に屈しない！」

するとビード男爵が俺に言った。

「さっきの話を聞いておらなんだのか。まあいい余としてもお前らをこの手で裁いてやるつもりゆえな。まずは貴様から血祭りにしてやろう。余の剣を直に味わえるのだ。光栄に思え！」

だが俺はビード男爵に怯まずに大きな声で言った。

「ビード男爵。言い忘れていたが俺は勇者だ！異世界よりやって来た。」

するとビード男爵が少し慌てて答えた。

「勇者だと？たわけた事を言うな。あんな物はただの伝承に過ぎん。」

俺はメニュー画面を呼び出した。

そして俺は大きな声でビード男爵に言った。

「これでも疑うか？俺は本当に勇者なんだよ。残念だったな！」

ビード男爵がメニュー画面を見て少し慌てていた。

そしてビード男爵が俺に言った。

「光の鍵盤だと！まさか！貴様が勇者だと？？！」

俺はビード男爵に大きな声で言った。

「どうだ？これで分かったろ！形勢逆転だな！」

するとビード男爵が慌てながら俺に言った。

「黙れ黙れ！そんなもの認めぬ！勇者など認めてたまるか！この剣の錆びにしてくれる！」

俺は再度大きな声で男爵に言った。

「お前はこの村の人達とアミラの笑顔を奪った。俺はこの村の人達の未来、そしてアミラの未来を必ずお前から取り戻してみせる。だから俺はお前には絶対に負けられないんだ！」

この戦いは絶対に負けられない。

俺は剣を抜いて構えた。