最強勇者の物語2

しまうま弁当

文字の大きさ
上 下
155 / 265
第4章 ホルムス共和国

すごい娘

しおりを挟む
ここラクリファ宮殿の謁見の間でタキール子爵が、娘であるアミラに言った。

「アミラ何を言っているんだ?」

だがアミラはタキール子爵には構わず、ジール大公に再び言った。

「もし私がお役目を失敗してしまったら、我が父ターキル子爵がしっかり責任を取ります。未成年が働く事に関しては職務体験という形なら問題ないのでありませか?如何でしょうか大公様?」

ジール大公がアミラに答えた。

「確かにそれならば余としては構わんが、お主の父が代わりに処罰されてしまうのだぞ。それでも良いのか?」

アミラがジール大公に答えた。

「お父様は私をとても大切にしてくれています。そして私の為ならどんな事でもできると常々言っております。私の為ならば喜んで処罰を受けてくれるはずです。」

これを隣で聞いていたタキール子爵は顔が青ざめていた。

するとジール大公がアミラに言った。

「今回の役目は、舞台の上で劇を演じるのとは訳が違うぞ。アミラはっきり言っておくがこれは汚れ仕事だ。下手をすれば勇者に辱しめを受けた揚げ句に殺されてしまうぞ。それほど勇者というのは、浅はかで卑猥で卑しい存在なのだ。」

アミラがジール大公に答えた。

「もちろん、覚悟はできております。ですのでどうか私にやらせて頂けないでしょうか?私以上の適任がおりましょうか?」

ジール大公は少し考えた後でアミラに言った。

「あい、分かった。では村娘の役目はアミラお主に任せる。」

するとパストーレ伯爵がジール大公に進言した。

「大公様、アミラ様がここまで覚悟を決めておられるのですから、例え失敗した場合でもタキール子爵への処罰は不要かと思いますが?」

ジール大公がパストーレ伯爵に言った。

「ふむ、そうだな。」

するとアミラがジール大公に言った。

「いえ、もし私が失敗してしまったら、お父様に断固たる処罰をお願いします。後になって他の者達から色気で処罰を免れたなどと言われるのは我慢がなりません。」

ジール大公は少し笑いながらアミラに答えた。

「そうか、あい分かった。お主が失敗した場合はタキール子爵にしっかり責任を取らせる事を約束しよう。」

アミラがジール大公に言った。

「はい、大公様ありがとうございます。」

するとジール大公がアミラに言った。

「ではアミラよ。お主にはこれからソルト村に向かってもらう。準備をしてまいれ。」

アミラはジール大公に答えた。

「はっ。では大公様失礼致します。」

そう言うとアミラは出立の準備の為謁見の間から出ていった。

ジール大公がタキール子爵に言った。

「タキール子爵、そちの娘はすごい娘よな。」

タキール子爵は顔を青くしながら、ジール大公に答えた。

「は、はあ、ありがとうございます。」

するとジール大公が皆に指示を出した。

「ではすぐに出立の準備を始めよ。セッジ男爵、タキール子爵は余と共について参れ!」

セッジ男爵とタキール子爵がジール大公に答えた。

「はっ、承知致しました。」

その後ジール大公がパストーレ伯爵に言った。

「パストーレ、留守は任せたぞ。」

パストーレ伯爵がジール大公に答えた。

「はっ、お任せを!」

その後すぐに出立の準備を済ませると、ジール大公とジール公国正騎士団はソルト村へと向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

完)まあ!これが噂の婚約破棄ですのね!

オリハルコン陸
ファンタジー
王子が公衆の面前で婚約破棄をしました。しかし、その場に居合わせた他国の皇女に主導権を奪われてしまいました。 さあ、どうなる?

伯爵夫人のお気に入り

つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。 数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。 喜ぶ伯爵夫人。 伯爵夫人を慕う少女。 静観する伯爵。 三者三様の想いが交差する。 歪な家族の形。 「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」 「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」 「家族?いいえ、貴方は他所の子です」 ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。 「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。

処理中です...