最強勇者の物語2

しまうま弁当

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第4章 ホルムス共和国

勇者狩り作戦会議

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今日はパルゲア歴752年6月12日である。
 
ここはジール公国の首都ラクリファにあるラクリファ宮殿の謁見の間だ。

ジール大公は通信魔法による首脳会談を終えて謁見の間の玉座に座っていた。

ジール大公は赤い礼服で身をかためており、赤いマントをはおっていた。

ジール大公が座る玉座の前には、青い礼服を着たジール公国の貴族達が整列をしていた。

ジール大公は大きな声で整列している貴族達に言った。

「間もなく我が国に勇者がやってくる。此度は我らが勇者を始末する事になった。現在勇者はレグナス王国領のグリース荒野を東に進んでおり、本日中には越境して我が国に侵入するだろう。このまま進めば、ソルト村にやってくると思われる。」

側近の一人であるクマール・セッジ男爵が一歩前に出た。

クマール・セッジ男爵は大柄で体格の良い男性だった。

セッジ男爵がジール大公に尋ねた。

「大公様、それでは勇者をソルト村周辺で迎え撃つという事ですか?」

ジール大公がセッジ男爵に答えた。

「いや強大な力を持つ勇者を倒すのに正面から戦いを挑むのは愚策だ。正面から殴りあいをしても大損害を出すだけよ。だが此度の勇者はこの世界にやって来たばかりだ。そこにつけいる隙がある。パストーレ!」

ジール大公がパストーレ伯爵に合図をした。

するとパストーレ伯爵が謁見の間の端に置かれていた、可動式の大きな机を玉座の前まで持ってきた。

そしてパストーレ伯爵が大きな机の上に大きな地図を広げた。

その地図はソルト村周辺の地図だった。

そしてパストーレ伯爵が大きな声で説明を始めた。

「そこでまずソルト村の全住民を、ソルト村の北にあるマルディーヤに避難させます。住民の避難完了後、カルヤーン街道を封鎖します。その後ジール公国正騎士団をソルト村とその周辺に展開させる。ただし甲冑や剣は装備せずに私服でです。つまり村人に成り済まして勇者を油断させようという事です。」

するとジール大公が続けて言った。

「勇者狩りの取り決めでは勇者に光の鍵盤を開かせて、レベルを部隊責任者複数名で確認する事になっておる。故に余自身がこれを行うつもりだ。」

するとジャイード・ローシャン男爵が一歩前に出た。

ジャイード・ローシャン男爵は長身で細身の男性だった。

ローシャン男爵はジール大公に尋ねた。

「大公様、自ら動かれるのですか?」

ジール大公はローシャン男爵に答えた。

「その方が色々と都合が良い故な。」

ローシャン男爵はジール大公に答えた。

「はっ!承知致しました。具体的には何をなさるおつもりなのですか?」

ジール大公がローシャン男爵に答えた。

「勇者を騙す為に一芝居うとうと思っておる。勇者様とおだてて油断している間に光の鍵盤を確認し、その後に勇者を始末する。終焉の魔女の策と基本は一緒よ。」

ジール大公が続けてローシャン男爵に命じた。

「ローシャン男爵に命ずる。配下の騎士を使いソルト村住民全員をマルディーヤまで避難させよ。時間がないゆえすぐに取りかかれ。」

ローシャン男爵がジール大公に答えた。

「はっ!承知致しました。では直ちに取りかかります。」

ローシャン男爵はそう言うと、ジール大公に一礼をして謁見の間から出ていった。

するとジール大公がうーんと考えて始めた。

パストーレ伯爵がジール大公に尋ねた。

「どうかなさいましたか大公様?」

ジール大公がパストーレ伯爵に答えた。

「一芝居うつとすると、勇者を騙すにはとある人物が必要だ。それを忘れていたのだ。」

パストーレ伯爵はジール大公に尋ねた。

「その必要な人物というのは?」

ジール大公がパストーレ伯爵に答えた。

「村娘よ。勇者を騙すには絶対に必要よ。それを誰にやらすかという話よ。」

すると謁見の間の外から大きな声が聞こえてきた。

「それではその役目、私にやらせて頂けませんか?」

すると謁見の間にきらびやかな服を着た少女が入ってきた。
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