最強勇者の物語2

第４章 ホルムス共和国

勇者の始末

パルゲア歴752年6月12日。

ここはジール公国の首都ラクリファにあるラクリファ宮殿である。

このラクリファ宮殿は首都ラクリファのほぼ中央に位置している。

このラクリファ宮殿がジール公国の中心部であり、ジール大公の住まいでもあった。

ラクリファ宮殿の敷地のほぼ中央に正殿と呼ばれる大きな建物があった。

およそ縦横三百メートルの石造りの建物だった。

四階建ての美しい白色の建物でコの字に建てられていた。本殿の中心部には大きな中庭があり、そこには噴水やたくさんの木々が植えられていた。

この本殿の中に政務が行われる謁見の間があった。

謁見の間はとても広い空間だった。

天井も高く天井や壁には美しい白色で統一されていた。

また壁や天井にはガラス装飾が施されており、外からの光がガラス装飾に反射してとてもきらびやかな場所だった。

謁見の間の最奥は、謁見の間の他の場所より数段高くなっていた。

そして最奥には玉座が置かれており、ジール大公はそこに座っていた。

ジール大公は赤い礼服で身を固めており、赤いマントをはおっていた。

そして青い礼服を着たジール公国貴族達がジール大公が座っている玉座の前で整列していた。

その中にジール大公に仕えている通信魔導師がいた。

その通信魔導師がジール大公のために通信魔法を発動させていた。

そして玉座の上の方に青い光源があり、その光によって謁見の間は一時的に青い幻想的な雰囲気になっていた。

ジール大公は通信魔法で誰かと話しているようだった。

ジール大公が大きな声で言った。

「いやー、グランド大統領殿。大英断をして頂き、感謝致しますぞ。」

すると今度は女性の声が響いた。

「はい、レグナス王家からも御礼申し上げます。勇者を始末して頂き感謝致します。」

実は現在通信魔法での臨時首脳会談が行われていたのだ。

するとグランド大統領がジール大公に通信魔法で言った。

「我が国と致しましては、各国との協調を優先したまでです。ですが今回は国内的にはとても難しい問題でした。是非ともそこの所はご理解頂きたい。」

するとジール大公がグランド大統領に答えた。

「もちろん、承知しておりますぞ。グランド大統領殿。勇者の暴走を止める為に、勇者を始末する決断をした貴国の努力を我ら充分理解しております。ご安心くだされ。」

するとクロエがグランド大統領に言った。

「貴国から頂いた勇者の毛髪を鑑定いたしました。我が王家の魔導研究所で鑑定をしたところ、ヤード村で採取した毛髪と同一人物の物であることが証明されました。」

ジール大公がクロエに通信魔法で言った。

「おお魔女殿、それは素晴らしい知らせよ。さすればこれで勇者狩りは完了よな。」

するとクロエが大きな声が響いた。

「ガウス！今は首脳会談中です！決して入室してはならないと伝えていたはずですよ！」

当然ながら通信魔法中の会話なので、各国首脳達にも筒抜けだった。

クロエの部下のガウスの声が響いた。

「申し訳ありません。クロエ様、ですが緊急事態が発生しまして。」

クロエが少しトーンを下げてガウスに尋ねているようだった。

「それで何かあったのですか？」

クロエの部下のガウスの声が響いた。

「新たな勇者が現れました！」