最強勇者の物語2

しまうま弁当

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第4章 ホルムス共和国

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キングスレー巡査部長が倉庫の扉を開けて、中に入ってきた。

するとサランジ社長が大きな声で言った。

「なんでお前がここにおるんじゃ!まいたはずじゃぞ。」

するとキングスレー巡査部長がサランジ社長に言った。

「ああ、それはあのトラックとぶつかった交差点の少し奥の所に覆面パトカーが待機しててだな。お前の妨害で俺らが進めなくなったから、覆面パトカーに後をつけさせたんだよ。うまく逃げおおせたとでも思ってたのか?残念だったな。」

するともう一人の刑事と思われる男が中に入ってきた。

そして大きな声で僕達に言った。

「すでにこの倉庫は警官隊が包囲している。お前達はもう逃げられない。観念するんだな。そうそう私はこういう者だ。」

そういい終わるともう一人の刑事が警察手帳を出した。

ホルムス共和国警察

ギデオン・エルバ警部補

と名前欄に書かれていた。

やっぱり刑事か。

するとキングスレー巡査部長がエルバ警部補に尋ねた。

「エルバ警部補、サーキス巡査部長達はどうなりましたか?」

するとエルバ警部補がキングスレー巡査部長に言った。

「安心しろ、一命はとりとめたぞ。」

キングスレー巡査部長がエルバ警部補に答えた。

「そうですか、よかった。」

キングスレー巡査部長は振り向きサランジ社長に言った。

「派手にやってくれたもんだな勇者め!」

サランジ社長はキングスレー巡査部長に言った。

「何訳分からん事を言っとるじゃ、わしが勇者なわけなかろう。こんなじじいが。」

キングスレー巡査部長がサランジ社長に答えた。

「うまく変装したつもりだろうが、残念だったな。こっちにはプロファイリングという捜査手法があるのさ。これまでの犯罪捜査で蓄積した情報を元に、敏腕の捜査官が今の犯人の行動や変装を予想する。この手法で何度も犯人逮捕に繋がっているんだ。このプロファイリングで変装を予想した似顔絵がお前そっくりなんだよ。」

サランジ社長が大きな声で訴えた。

「わしは勇者じゃない、誤解じゃ。」

キングスレー巡査部長は笑いながらサランジ社長に言った。

「誤解?何言ってんだ?だったらなんで逃げたんだ!やましい事があったからだろう。やましい事というのはお前が勇者という事で、それがお前が勇者だという証になるんだよ。」

うーん、どうやらこの刑事達はサランジ社長を勇者と勘違いしているようだ。

するとエルバ警部補がサランジ社長に言った。

「お前がずっとあの赤い車を運転していたのは分かっているんだ。」

サランジ社長がエルバ警部補に小さな声で言った。

「確かに運転しておったのはわしじゃ。」

エルバ警部補がサランジ社長に言った。

「そら見ろ、やはりお前が勇者だ。やましい事が無いのなら、逃げる必要なんてないからな。」

するとキングスレー巡査長がエルバ警部補に尋ねた。

「もういいよ、こいつが勇者で間違いない。ところでこいつはどうする?」

キングスレー巡査部長は僕を指さしながら言った。

エルバ警部補は少し考えてからキングスレー巡査部長に答えた。

「運転していたのもこのじじいに扮した勇者みたいだし、解放するか。勇者捜査は極秘でやる決まりだからな。通常の刑事事件の扱いにはならず、かなり特殊な事例だ。おいあんた今日あった事は絶対に口外するな。忘れるんだ。いいな!」

キングスレー巡査部長もエルバ警部補に歩調を合わせて僕に言った。

「そういう事だ。世の中には忘れた方がいい事もあるのさ。じゃあな。」

二人はそう言うと、サランジ社長に手錠をかけた。

そしてサランジ社長を外に連れだそうとした。

どうすればいい?

サランジ社長がこのまま勇者として誤認逮捕されれば、結果として僕は安全になる。

でもサランジ社長が僕に何かした訳じゃない。

むしろ僕のせいで処刑されてしまうだろう。

このままサランジ社長を見捨てれば、僕は安全に暮らしていけるだろう。

でも果たしてそれでいいのか?


うーーーん。いいわけがない!

僕は大きな声で叫んだ。

「待ってくれ!」

キングスレー巡査部長とエルバ警部補がこちらを振り返った。

キングスレー巡査部長が僕に言った。

「なんだ?忘れろって言っただろ!」

だが僕は構わずメニュー画面を呼び出した。
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