102 / 265
第4章 ホルムス共和国
ジール大公の思惑
しおりを挟む
一つ疑問が湧いたので、僕はウルエル次長に尋ねた。
「避難民認定というのは、もっと厳しい物かと思ってたんですが?」
ウルエル次長は僕に答えた。
「そうですね、通常ならとても難しいです。ですが今はモンテリーノ国境ゲートが封鎖状態です。そして恐らく一番大きいのは、ジール公国でアグトリアからの避難民を、たくさん雇っているからですね。結果としてホルムス共和国を目指すアグトリアの避難民の人数が激減しています。」
更にウルエル次長が続けた。
「しかもジール公国はアグトリアの人々に、かなり高い給料を払っているようで、うち(ホルムス共和国)に来るメリットが小さくなっているからだと思います。」
僕はウルエル次長に尋ねた。
「でもなぜジール公国では、アグトリアからの避難民の人達に高い給料を払っているんですか?」
ウルエル次長は僕に答えた。
「そこが我々にも分からないのです。労働力確保で受け入れるにしても、避難民へ支払う給料は普通なら安くなるはずです。魔法のスキルや特別な技術を持っているなら、当然支払われる給料は高くなりますが、アグトリアからの避難民の人達は、魔法のスキルや技能を持っていない人達がほとんどです。」
ウルエル次長は僕に話を続けた。
「ですがアグトリアからの避難民の人達には仕事をすれば、どの仕事でも高給が支払われているらしいのです。どうやらジール大公の指示のようですが。」
僕はウルエル次長に尋ねた。
「つまりジール大公が、意図的にアグトリアからの避難民達を遇していると?ジール大公には何か目的があるんでしょうか?」
ウルエル次長が僕に答えた。
「さあ?我々にもジール大公の思惑までは分かりません。ただジール大公には何か考えがあるのかもしれません。彼はなかなかのやり手ですから。」
ジール大公か。
勇者狩りの発案者でジール公国のトップだ。
まあ普通に考えるなら、ジール公国の人口を増やして国力の増強を図っているって所だろう。
まあどうでもいいか。別にそれ自体は悪い事では無いし。
僕自身もジール公国では、臨時の配達人の仕事をやって給金が貰えて助かった。
まだジール公国にいるバルガス達には、むしろ嬉しい事だろう。
さてとでは用事も済んだし、そろそろ帰ろうかな。
僕はウルエル次長に言った。
「今日はありがとうございました。」
ウルエル次長は、僕に言った。
「いえ、是非ともこの国で頑張ってください。」
僕はウルエル次長にお辞儀をして、出入国管理部を後にした。
「避難民認定というのは、もっと厳しい物かと思ってたんですが?」
ウルエル次長は僕に答えた。
「そうですね、通常ならとても難しいです。ですが今はモンテリーノ国境ゲートが封鎖状態です。そして恐らく一番大きいのは、ジール公国でアグトリアからの避難民を、たくさん雇っているからですね。結果としてホルムス共和国を目指すアグトリアの避難民の人数が激減しています。」
更にウルエル次長が続けた。
「しかもジール公国はアグトリアの人々に、かなり高い給料を払っているようで、うち(ホルムス共和国)に来るメリットが小さくなっているからだと思います。」
僕はウルエル次長に尋ねた。
「でもなぜジール公国では、アグトリアからの避難民の人達に高い給料を払っているんですか?」
ウルエル次長は僕に答えた。
「そこが我々にも分からないのです。労働力確保で受け入れるにしても、避難民へ支払う給料は普通なら安くなるはずです。魔法のスキルや特別な技術を持っているなら、当然支払われる給料は高くなりますが、アグトリアからの避難民の人達は、魔法のスキルや技能を持っていない人達がほとんどです。」
ウルエル次長は僕に話を続けた。
「ですがアグトリアからの避難民の人達には仕事をすれば、どの仕事でも高給が支払われているらしいのです。どうやらジール大公の指示のようですが。」
僕はウルエル次長に尋ねた。
「つまりジール大公が、意図的にアグトリアからの避難民達を遇していると?ジール大公には何か目的があるんでしょうか?」
ウルエル次長が僕に答えた。
「さあ?我々にもジール大公の思惑までは分かりません。ただジール大公には何か考えがあるのかもしれません。彼はなかなかのやり手ですから。」
ジール大公か。
勇者狩りの発案者でジール公国のトップだ。
まあ普通に考えるなら、ジール公国の人口を増やして国力の増強を図っているって所だろう。
まあどうでもいいか。別にそれ自体は悪い事では無いし。
僕自身もジール公国では、臨時の配達人の仕事をやって給金が貰えて助かった。
まだジール公国にいるバルガス達には、むしろ嬉しい事だろう。
さてとでは用事も済んだし、そろそろ帰ろうかな。
僕はウルエル次長に言った。
「今日はありがとうございました。」
ウルエル次長は、僕に言った。
「いえ、是非ともこの国で頑張ってください。」
僕はウルエル次長にお辞儀をして、出入国管理部を後にした。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
私が公爵の本当の娘ではないことを知った婚約者は、騙されたと激怒し婚約破棄を告げました。
Mayoi
恋愛
ウェスリーは婚約者のオリビアの出自を調べ、公爵の実の娘ではないことを知った。
そのようなことは婚約前に伝えられておらず、騙されたと激怒しオリビアに婚約破棄を告げた。
二人の婚約は大公が認めたものであり、一方的に非難し婚約破棄したウェスリーが無事でいられるはずがない。
自分の正しさを信じて疑わないウェスリーは自滅の道を歩む。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
婚約者に犯されて身籠り、妹に陥れられて婚約破棄後に国外追放されました。“神人”であるお腹の子が復讐しますが、いいですね?
サイコちゃん
ファンタジー
公爵令嬢アリアは不義の子を身籠った事を切欠に、ヴント国を追放される。しかも、それが冤罪だったと判明した後も、加害者である第一王子イェールと妹ウィリアは不誠実な謝罪を繰り返し、果てはアリアを罵倒する。その行為が、ヴント国を破滅に導くとも知らずに――
※昨年、別アカウントにて削除した『お腹の子「後になってから謝っても遅いよ?」』を手直しして再投稿したものです。
【完結】忌み子と呼ばれた公爵令嬢
美原風香
恋愛
「ティアフレア・ローズ・フィーン嬢に使節団への同行を命じる」
かつて、忌み子と呼ばれた公爵令嬢がいた。
誰からも嫌われ、疎まれ、生まれてきたことすら祝福されなかった1人の令嬢が、王国から追放され帝国に行った。
そこで彼女はある1人の人物と出会う。
彼のおかげで冷え切った心は温められて、彼女は生まれて初めて心の底から笑みを浮かべた。
ーー蜂蜜みたい。
これは金色の瞳に魅せられた令嬢が幸せになる、そんなお話。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる