最強勇者の物語2

第４章 ホルムス共和国

蒸気バス

さて外貨両替は完了したけど、次はどうするべきだろうか？

商店街の時計を見ると、もうすぐ午後九時になろうという所だった。

今日は体力を温存して、先ほど見かけたフォルンの宿屋に泊まるべきか？

それとも少しでも先に進んでおいた方がいいかな？

そんな事を考えながら、僕は商店街を進んで、フォルンの北側出口付近にやって来た。

すると十人程の男女が並んでいるのを見つけた。

僕はそこに並んでいた最後尾の男性に尋ねた。

「すいません。これは何の行列ですか？」

男性はきょとんとした顔で、僕に答えてくれた。

「何って、あれだよ。」

そう言うと男性は道の少し先を指さした。

僕は男性が、指さした方を見てみた。

するとバス停の看板のような物が、置いてあった。

「なるほど、バス停に並んでたのか。」

僕は男性に礼を言った。

自動車の次はバスか。

蒸気トラックや蒸気自動車がある世界だ。

僕は蒸気バスが、この世界にあってもおかしくないと考えた。

ここにバス停があるって事は、蒸気バスが走っているという事だ。今日中にもう少し先に進んでみようかな？

そんな事を考えていると、蒸気バスと思われる乗り物が、バス停の前で停車した。

蒸気バスには、側面の左側前方と左側後方に一つづつ扉があった。

その後方の扉が開いた。

蒸気バスの中にいる運転手の声が外に響いた。

「お待たせ致しました。このバスは第三系統レイン行きです。順番にお乗りください。」

並んでいた人達が、後方の扉から順番にバスに乗り込んでいった。

このバスに乗ってレインという町まで行くのもいい手かもしれないな。

そんな事を考えていたら、運転手に声をかけられた。

「お客さん乗られるんですか？乗られるなら早く乗ってください。」

僕は、慌てて運転手に答えた。

「すいません、すぐに乗ります。」

そして僕は、後方の扉からバスに乗り込んだ。

後方扉付近に整理券を出す装置が置かれていた。

僕はその装置から一枚整理券を取った。

僕がバスに乗り込んだ直後に、運転手が大きな声で言った。

「第三系統レイン行き発車致します。扉を閉めますので扉付近の方はご注意下さい。」

運転手がそう言うと、後方の扉が閉められた。

そしてゆっくりと、バスが進み出した。

フォルンの町の灯りが、ゆっくり遠ざかって行く。

蒸気バスの走行音は、かなり静かだった。

僕はバスの中を見渡して、空席があるのを見つけた。

そして僕は、座席に腰をおろした。

外は街灯以外の灯りは、見えなくなっていた。

その後僕は睡魔に襲われ、知らない間に眠ってしまっていた。