最強勇者の物語2

しまうま弁当

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第3章 逃亡生活

アホ勇者4

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そう言うとアホ勇者は地面を指先した。指先した先には地面しかなく、それ以外何も無かった。

ここにいるアホ勇者以外の全員が、首をかしげた。

するとアホ勇者は、群衆の一人の首を掴むとその人の顔を地面に押し付けた。

アホ勇者が大きな声で言い放つ。

「そう土ならこんなにいっぱいある!土を食べればいいんだよ!なあ!土はうまいだろう?」

顔を地面に押し付けられた人がもがきながら、アホ勇者に答えた。

「あがあが!ぐは!」

アホ勇者は、先ほどの人の顔面を地面に押し付けながら大声で言った。

「どうした?もっと食っていいぞ!」

見かねた群衆の一人が、機転をきかせてアホ勇者に言った。

「偉大なる勇者様、この者はさっきご飯を腹一杯食べたので、お腹が空いていないのです。」

するとアホ勇者は、地面に押し付けていた手を放した。

そして大声で言った。

「そうか、またいつでも土を食わせてやるぞ!ありがたく思え。」

地面に押しつけられた人が、ゴホゴホしていた。

そしてアホ勇者は大声で叫んだ。

「明日からお前ら暇人に仕事をやる!偉大で素晴らしい勇者様の俺様の一万倍大きい新しい城を作らせてやる!明日の朝王宮前に来い!嬉しいだろう?ありがたく思え!」

これを聞いた群衆は、絶望に包まれた。

だがさらにアホ勇者は、とんでない事を言った。

「そうそう、ちゃんと着てる服も出せよ。」

群衆の一人がアホ勇者に尋ねた。

「偉大なる勇者様、あの?着てる服というのは一体?」

アホ勇者が、笑顔で答える。

「全員の服を明日取り上げる。お前らのような下劣な民に服なんて要らない!パンツ一枚で充分だ。衣服はこの勇者様が上手く使ってやる!ありがたく思え!」

そう言い終わると、アホ勇者は他の村へと向かった。

ここにいる者達全てが、絶望のどん底に落ちた。

その後アホ勇者は王国の各地を周り、王国全てを絶望に染め上げた。

その夜、バングル王国のとある村の村長宅で会合が行われていた。

そこには王国の騎士や城の関係者、商人や農民など色々な人々が集まっていた。

内容は、もちろんあのアホ勇者についてである。

「何なんだ!あのアホ勇者?」

「まあ勇者がアホはいつもの事だが、今回のはヤバすぎるだろう。」

「一万倍大きい城なんてあり得ない。今ある城ですらかなりの人数で、作業して完成するのに五年かかってるんだぞ!バングル王国の者が全員で作業したって、五千年はかかるぞ!」

「明日からパンツ一枚で、あのアホ勇者のいいなりだぞ!」

「俺の娘達にパンツ一枚で、外を歩かせろと言うのか!あのアホ勇者め!」

「もう我慢ならねえ!あのアホ勇者!目に物見せてやる!」

そして数人が、立ち上がり外に出ようとした。

すぐに他の者達が、止めに入った。

「止めろ!あんた達が行った所で、あのアホ勇者に殺されるだけだ!」

「ではどうすんだ?あのアホ勇者のいいなりになれとでも言うのか!」

なかなか結論が出ない中、一人の騎士が挙手をした。

「一つ宜しいでしょうか?」


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