最強勇者の物語2

第３章 逃亡生活

捜索開始

その後僕も騎士に願い出て、バルガスと一緒に降りる事になった。

僕もオーエンが心配だった。

バルガスが騎士に直訴した後、騎士から非常用の魔導灯を二つ借りた。

ランプの灯りよりもかなり明るく、しかも持ち運びが出来る小型タイプだった。

ただし継続使用できるのは、四時間が限度らしい。

バルガスが僕に話しかけた。

「すまないな、クラーク巻き込んじまって。」

僕は答えた。

「そんな水臭いよ。バルガスには世話になっているし、オーエンも心配だしね。」

話ている間に、城奥の階段の所に来た。

そして僕達は城奥の階段から、地下迷宮へと降りて行った。

地下一階へ到着した。

地下迷宮には灯りは無く、通路は真っ暗闇だった。

僕達は大声でオーエンを呼んだ。

「おーい、オーエン！聞こえたら返事をしろ！」

だが声がこだまするだけで、オーエンの返事は無かった。

魔導灯で周りを照らしてみた。

壁や天井は石造りのようだった。

通路の幅は四メートル、高さが四メートルぐらいだった。

通路は奥へと伸びており、その途中にも部屋の入口がいくつもあった。

さてどうしたものか？

僕はバルガスに尋ねた。

「さてどうしようか？奥まで行ってみる？」

するとバルガスが僕に答えた。

「いや奥に行くよりも、まず下を見た方がいいだろう。」

僕はバルガスに答えた。

「了解、じゃあ更に下の階に行かなきゃね。」

僕は降りてきた階段を、魔導灯で照らした。

階段は更に下の階へと続いていた。

するとバルガスが答えた。

「おい、この階はまだ探して無いぞ。」

えっ？でもさっきバルガスは、まず下を見た方がいいって？

ああそういう事か。

オーエンはリリィさんが、失くしたブレスレットを探しに来ているのだ。

となれば、まず階段の周りにブレスレットが無いか調べるはず。

僕はバルガスの意図を理解して、階段周囲にブレスレットが無いかを調べた。

特に何も見つけられなかった。

僕はバルガスに言う。

「駄目だね、こっちは何も無かった。」

少し離れた所を、探していたバルガスが答えた。

「ああ、こっちも何も無かった。それじゃ下に向かおう。」

僕は頷くと、バルガスと共に下の階へと降りて行った。