最強勇者の物語2

第３章 逃亡生活

迂回路

僕達は峠の頂上付近で休憩をとっていた。

僕は地面に腰を下ろして、一息ついていた。

これから行き先の景色を眺めていると、少し先に大きな川が見えた。

うーん、あの川の名前は何だろうか？

僕は気になって近くに座っていた騎士に指差しながら聞いてみた。

「あの川は何て名前なんですか？」

騎士が立ち上がり答えてくれた。

「あの川はハリーラ川と言う。ちなみにそのハリーラ川沿いに一つ町があるのが見えるだろう。あれがダルカスの町だ。」

僕は騎士が指差した方を見てみる。

確かに一つ町が見えた。

僕は続けて尋ねた。

「この小麦峠もギレート山脈なんですよね？もっと山脈越えは時間がかかるものだと思ってたんですが？」

騎士が更に答えてくれた。

「ああそうだ。だがジール公国側は山の高さがレグナスより低いから、この小麦峠のルートなら半日で越えられる。」

僕は最後に尋ねた。

「この小麦峠のルートがカルヤーンへの最短ルートなんですか？」

騎士が答えてくれた。

「いや距離的には確かに最短ルートだが、リーバートンネルを使うルートが時間的には一番早いんだか、今リーバートンネルは補修工事中で使えなくてな。だから迂回路として小麦峠のルートを使っている訳だ。」

なるほどそっちのルートだったらもっと楽だったのか。

でも工事中では仕方ない。

僕は騎士に礼を言うと、他の騎士が大声をあげた。

「よし、休憩は終了だ！皆集まれ！」

その声を聞いて、皆が荷車の周りに集まった。