最強勇者の物語2

しまうま弁当

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第3章 逃亡生活

野次馬

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すでに日が沈み空は暗くなり始めていた。

マルディーヤの西側の出入口から少し出た所の草むらで、二人が大声で言い合いをしていた。

そしてその周囲には十数人の見物人が集まっていた。

長身の男性が大声を張り上げる。

「根性少しはあるみたいだな!てっきり逃げ出すと思ったぜ!」

小柄な男性が答えた。

「お前こそ、逃げ出すなら今の内だぞ!」

長身の男性が大声で答える。

「俺はお前らみたいな逃げるなんて、恥知らずな真似する訳ねーだろ!」

次の瞬間小柄な男性が走り出し、一気に長身の男性との距離をつめた。そして小柄な男性の右手が長身の男性の顔面を力強く殴りつけた。

長身の男性は後ろに二三歩のけ反った。口から少し血を出していた。

殴られた箇所を擦りながら、大声をあげた。

「やってくれたな!これはお返しだ!」

そう言い終わると、今度は長身の男性がかがんで、体勢を低くして左手の拳で、小柄な男性の脇腹を力強く殴りつけた。

今度は小柄な男性が腹部を押さえて膝を崩した。

十数人の見物人達は仲裁に入る様子は無かった。

僕はようやく二人を見つけ、二人の所へ走り出した。

あの野次馬達は何なんだ?止めようとか思わないのか?

すると別の方向から、大声が聞こえてきた。

「コラ!お前達そこで何をしている!」

声がした方向を向くと、騎士達が数人走ってきた。

どうやら騒動を聞きつけ駆けつけてきたようだった。

騎士達の姿を見るや野次馬達は一目散に逃げていった。

騎士達がやって来てくれて助かった。喧嘩を止めてくれたのだから。

すぐに騎士が十人ぐらい集まってきて、二人から事情を聞くのだった。

さてそろそろ戻ろうかと思った時、バルガスがやって来た。

僕はバルガスに話かけたが、悪い少し待ってくれと言って騎士達の方に歩いていってしまった。

バルガスが騎士達と何か話し込んでいた。

しばらくするとバルガスはこちらに戻ってきた。

僕はバルガスに尋ねた。

「一体どうしたの?」

バルガスが答えた。

「ほらさっき言っただろう、オーエンを探しに行ってくるって。」

僕が答える。

「ああ、そうだったね。それでオーエンさんは見つかったの?」

バルガスが指を指しながら答えた。

「ああ、あいつがオーエンだ。」

バルガスは先ほど喧嘩をしていた、小柄な男性を指差していた。

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