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一章
奇妙な反応
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洋菓子専門店の店内ではたくさんの人達が首吊り自殺をしていた。
首を吊っていた人々は恨めしそうな顔で死んでいた。
かつて訪れた時のようなオシャレな雰囲気は影も形もなくなっていた。
ベリエの店内はどこを見渡しても首を吊った自殺者で溢れかえっていた。
拓也が困惑しながら言った。
「一体何人が首を吊ってるんだ???」
晃太が冷静な様子で拓也に言った。
「正確な数はまでは分からないがおそらく50人ぐらいだろうな。」
晴南が鼻をつまみながら言った。
「ひどい臭いね。」
二実がため息をつきながら言った。
「やっぱりか。」
優斗が二実に尋ねた。
「二実さん達はこれが分かってたんですか?」
二実が優斗に言った。
「やけに浮遊霊の数が多いから何か起こってるんじゃないかって思ったのよ。」
三緒が優斗に言った。
「近くに霊道もないから何か起こってるかもしれないぐらいだけどね。」
拓也が慌てた様子でみんなに尋ねた。
「どうする??」
晴南が拓也に言った。
「とにかく助けを呼びましょ!!」
拓也が晴南に言った。
「分かった、すぐに救急車を呼ぶ!!!」
晃太が晴南に言った。
「なら俺が警察に連絡しよう。」
拓也と晃太が自分のスマホを取り出して操作した。
だが残念そうな顔で二人が言った。
「ダメだ、つながらない???」
「どういう事だ?圏外になってるぞ??」
晃太が二実に言った。
「すいません、俺のスマホは使えないみたいです。二実さんのスマホで通報してもらえませんか?」
二実が手に持ったスマホを晃太に見せた。
二実のスマホの画面も圏外表示になっていた。
二実が晃太に言った。
「ごめん、私のもダメみたい??」
二実が三緒に尋ねた。
「三緒のスマホは使えそう?」
三緒が自分のスマホを確認しながら二実に言った。
「ダメ、圏外になってる。」
二実が優斗に言った。
「優斗君はどう?」
優斗が自分のスマホを見ながら二実に言った。
「すいません、僕のもダメみたいです。」
晃太が晴南に言った。
「晴南はスマホを持ってきてないよな?」
晴南が晃太に言った。
「持ってきてないわ。」
晃太がみんなに言った。
「こうなったら道路を歩いてる人に伝えて警察に通報してもらう。」
拓也が晃太に言った。
「そうしよう。」
すぐに晴南達はベルガの建物の外に出た。
洋菓子専門店ベルガは幹線道路沿いにあり、周囲にはドラッグストアや大型家電店やコンビニなどが営業していた。
さらに夕暮れ時という事もあり歩行者などの通行量は多かった。
晴南達は手分けして通行人を呼んでくる事にした。
晴南が近くを歩いてた年配の女性に声をかけた。
「すいません??救急車を呼んでもらえませんか??」
年配の女性は驚いた様子で晴南に尋ねた。
「救急車??あなた怪我でもしてるの??」
晴南がその年配の女性に言った。
「自殺してる人がいるんです。」
年配の女性が晴南に言った。
「なんですって??どこにいるの??」
晴南はすぐに年配の女性をベリエの店内に連れてきた。
「見てください。たくさんの人が首を吊ってるんです。」
年配の女性がベリエの店内をキョロキョロと見渡した。
その年配の女性が晴南に尋ねた。
「ねえ??自殺してる人はどこにいるの??」
晴南がその年配の女性に言った。
「自殺してる人がいっぱいいるじゃないですか??」
年配の女性が晴南に言った。
「ただ首を吊って死んでるだけじゃないの!!お嬢さんあんまり大人をからかっちゃだめよ。」
年配の女性はそう言うと店の外にでてそのまま隣にあるドラッグストアへと歩いていった。
この不思議な状況は他のメンバーにも起こっていた。
拓也が中年の男性を連れてきて言った。
「見てください。首吊りで死んでいる人がいるんです。救急車を呼んでくれませんか?」
その中年の男性が拓也に言った。
「人が死んでるって聞いたから慌てて来たのに、ただの首吊りか。首吊りぐらいで呼ばないでくれ!!緊急事態かと思ったじゃないか。」
二実が若い女性に言った。
「見てください。人が首を吊って死んでるんです。救急車をお願いします。」
若い女性が二実に言った。
「もう何事かと思って来てみればただの首吊りじゃない??そんな事で私を連れて来た訳??」
晴南達はベルガの店内に何人もの通行人を連れてきて助けを求めた。
だが店内の惨状を見ても誰も気にする様子がなく、全員が通報する事もなくそのまま店の外に出て行ってしまった。
晴南が困惑した様子で言った。
「どうして誰も気づいてくれないの?」
優斗が晴南に言った。
「気づかないっていうより大した事じゃないって判断されちゃうね。」
二実が優斗に言った。
「ありえないでしょう、こんなにたくさんの人が首吊って死んでるのに気にならないなんて??」
三緒が二実に言った。
「どうすればいいの??電話はつながらないし、通行人に助けを求めても取り合ってくれない。」
二実が三緒に言った。
「近くの交番に助けを求めにいきましょう。西寄子交番ならここの近くにあるわ。」
晴南達は二実に案内されて走り出した。
二実の言うとおり西寄子交番はベリエの近くにありすぐに晴南達は到着した。
西寄子交番には二人の警察官が詰めていた。
晴南達が交番の扉をガラッと開けて交番に飛び込んだ。
「すいません。」
年配の男性警察官が晴南達に気がついて声をかけてきた。
「どうかされましたか??」
二実がその警察官に言った。
「たくさんの人が死んでるんです。」
その警察官が驚いて二実に尋ねた。
「なんですって??人が死んでる??詳しく教えてもらえますか?」
二実がその警察官に言った。
「さっきベルガに行ったらたくさんの人が首を吊って死んでいたんです。」
その警察官が二実に聞き返した。
「ベルガというと洋菓子専門店のベルガの事ですか?」
二実がその警察官に言った。
「はい、そうです。」
その警察官が二実に言った。
「つまり洋菓子専門店ベルガで大勢が人が首を吊って死んでいたという事ですか?」
二実がその警察官に言った。
「はい、そうです!!だから救急車とパトカーをお願いします。」
二人の警察官は顔を見合わせると首をかしげた。
そして年配の警察官が二実に言った。
「なるほど、あなたにとっては一大事なんでしょう。そういう価値観を否定は致しません。ですが我々からすると取るに足らない事に思えて仕方がないのです。」
もう一人の若い男性警察官も二実に言った。
「そうですね、話を聞く限り緊急出動が必要な状況とはとても思えません。ベルガで大勢が首を吊って死んでいるだけですからね。」
二実が警察官に言った。
「えっ???だけって???たくさんの人が首を吊ってるんですよ?大変じゃないですか?」
若い男性警察官が言った。
「ええ自分の価値観を大切にする事はいい事だと思います。ただ緊急出動はする必要がないと思います。」
三緒が二実に言った。
「この人達も気がついてくれないの?」
年配の警察官が二実に尋ねた。
「他に何か用件はありますか??」
二実がその警察官に言った。
「だったら電話を貸してください。」
二実はその警察官からスマホを借りて119番に掛けてみた。
二実はスピーカーモードにしており交番内にオペレーターの声が響いていた。
「消防ですか救急ですか?」
二実がスマホ越しに言った。
「救急です。たくさんの人が首を吊ってるんです。」
オペレーターの人の声が響いた。
「なんですって??すぐに住所を教えてください。」
二実がスマホ越しに言った。
「住所を言います。明井田市西寄戸5丁目38-4洋菓子専門店ベルガです。自殺してる人がたくさんいるんです。」
オペレーターの人の声が響いた。
「えっともう一度お願いできますか。」
二実がスマホ越しに言った。
「明井田市西寄戸5丁目38-4洋菓子専門店ベルガです。」
オペレーターの人の声が響いた。
「なんだ、そんな事で電話かけてきたんですか?」
二実がスマホ越しに言った。
「そんな事ってどういう事ですか?」
オペレーターの人の声が響いた。
「そういう些細な事で呼ばれたら困るんですよ。救急車が無限にあるとでも思ってるんですか?」
二実がスマホ越しに言った。
「人が死んでるんですよ?大変な事でしょう!!」
オペレーターの人の声が響いた。
「人が死んでいたら一大事です。もちろんそういう状況であればいの一番で駆けつけます。」
二実がスマホ越しに言った。
「だったらきてくださいよ!!ベルガで人が死んでるんですよ。」
オペレーターの人の声が響いた。
「あなたも聞き分けが悪いですね。ベルガで人が死んでるだけでしょう!!我々が出動する必要性がないじゃないですか。」
二実がスマホ越しに言った。
「とにかく来てください。」
オペレーターの人の声が響いた。
「ベルガに行く必要はないんです。」
二実がスマホ越しに言った。
「ベルガが分からないんですか?」
オペレーターの人の声が響いた。
「知ってますよ。ベルガは有名ですからね。」
二実がスマホ越しに言った。
「なんで来てくれないんですか?」
オペレーターの人の声が響いた。
「何を言ってるんです。我々は通報があればどんな所にで向かいますしどんな場所でも救急活動をします。」
二実がスマホ越しに言った。
「だったらベルガに来てください。」
オペレータの人の声が響いた。
「だから行く必要がないって言ってるだろうが!!」
二実が大声で言った。
「もういいです!!」
二実はイラつきながらスマホを警察官に返した。
すると交番に若い男性が駆け込んできた。
「大変です、そこの交差点で酔っ払いが殴り合いの喧嘩をしています!!」
年配の警察官が大きな声で言った。
「なんだと!!何をやってるんだ全く!!」
年配の警察官が若い警察官に言った。
「すぐに仲裁に行くぞ!!」
若い警察官が年配の警察官に言った。
「はい。」
そして駆け込んできた男性と警察官の二人は二実達を残して慌てて外に出ていった。
二実達は茫然としながら交番を後にした。
時間は午後8時を過ぎておりすでに外は暗くなっていた。
結局誰にも通報できないまま時間だけが経っていった。
晴南が晃太に尋ねた。
「ねえ晃太??一体どういう事よ??なんでみんな首吊りを無視するわけ??」
晃太が晴南に言った。
「こっちが聞きたい。首を吊ってる人を放置する理由なんてあるわけがない。」
晴南が二実に尋ねた。
「ねえ二実さん?これってもしかして黒輪(こくりん)の仕業じゃないんですか?」
二実が考え込みながら言った。
「黒輪(こくりん)か?」
しばらくして二実は首を横に振った。
「たぶん違うと思う。あいつが来てたら禍々(まがまが)しい気配ですぐに分かるから。」
晴南が二実に尋ねた。
「それじゃあ他の幽霊って事ですか。」
二実が晴南に言った。
「たしかに浮遊霊はいっぱいいるけど悪さをしそうな禍々しい奴はいないわ。」
二実が三緒に尋ねた。
「ねえ三緒?この辺りに嫌な気配を感じてる??」
三緒が首を横に振った。
「ほとんど感じてない。」
二実が三緒に言った。
「そうよね。何十人も首を吊らすようなヤバイ奴がいたら気配ですぐに分かるよね。」
三緒が二実に言った。
「でもなおさらおかしいよね。それなら今起きてるこの状況はなんなんだろう?」
二実が言った。
「なぜか洋菓子専門店ベルガでたくさんの首吊りをしていた。」
優斗が言った。
「それなのにみんなベルガの首吊り死体を見ても全然気にしない。」
拓也が尋ねた。
「通行人や交番に助けを求めても取り合ってくれないとなると、一体どうすればいいんだ?」
二実が拓也に言った。
「そうね。私達だけじゃあれだけの人数を床に降ろしてあげる事もできないし、かと言って首吊りしてる人を放置してそのまま帰る訳にもいかないし。」
すると晴南がみんなに言った。
「ねえ?勇雄さんを呼べばいいんじゃない?」
首を吊っていた人々は恨めしそうな顔で死んでいた。
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「正確な数はまでは分からないがおそらく50人ぐらいだろうな。」
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「ひどい臭いね。」
二実がため息をつきながら言った。
「やっぱりか。」
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「二実さん達はこれが分かってたんですか?」
二実が優斗に言った。
「やけに浮遊霊の数が多いから何か起こってるんじゃないかって思ったのよ。」
三緒が優斗に言った。
「近くに霊道もないから何か起こってるかもしれないぐらいだけどね。」
拓也が慌てた様子でみんなに尋ねた。
「どうする??」
晴南が拓也に言った。
「とにかく助けを呼びましょ!!」
拓也が晴南に言った。
「分かった、すぐに救急車を呼ぶ!!!」
晃太が晴南に言った。
「なら俺が警察に連絡しよう。」
拓也と晃太が自分のスマホを取り出して操作した。
だが残念そうな顔で二人が言った。
「ダメだ、つながらない???」
「どういう事だ?圏外になってるぞ??」
晃太が二実に言った。
「すいません、俺のスマホは使えないみたいです。二実さんのスマホで通報してもらえませんか?」
二実が手に持ったスマホを晃太に見せた。
二実のスマホの画面も圏外表示になっていた。
二実が晃太に言った。
「ごめん、私のもダメみたい??」
二実が三緒に尋ねた。
「三緒のスマホは使えそう?」
三緒が自分のスマホを確認しながら二実に言った。
「ダメ、圏外になってる。」
二実が優斗に言った。
「優斗君はどう?」
優斗が自分のスマホを見ながら二実に言った。
「すいません、僕のもダメみたいです。」
晃太が晴南に言った。
「晴南はスマホを持ってきてないよな?」
晴南が晃太に言った。
「持ってきてないわ。」
晃太がみんなに言った。
「こうなったら道路を歩いてる人に伝えて警察に通報してもらう。」
拓也が晃太に言った。
「そうしよう。」
すぐに晴南達はベルガの建物の外に出た。
洋菓子専門店ベルガは幹線道路沿いにあり、周囲にはドラッグストアや大型家電店やコンビニなどが営業していた。
さらに夕暮れ時という事もあり歩行者などの通行量は多かった。
晴南達は手分けして通行人を呼んでくる事にした。
晴南が近くを歩いてた年配の女性に声をかけた。
「すいません??救急車を呼んでもらえませんか??」
年配の女性は驚いた様子で晴南に尋ねた。
「救急車??あなた怪我でもしてるの??」
晴南がその年配の女性に言った。
「自殺してる人がいるんです。」
年配の女性が晴南に言った。
「なんですって??どこにいるの??」
晴南はすぐに年配の女性をベリエの店内に連れてきた。
「見てください。たくさんの人が首を吊ってるんです。」
年配の女性がベリエの店内をキョロキョロと見渡した。
その年配の女性が晴南に尋ねた。
「ねえ??自殺してる人はどこにいるの??」
晴南がその年配の女性に言った。
「自殺してる人がいっぱいいるじゃないですか??」
年配の女性が晴南に言った。
「ただ首を吊って死んでるだけじゃないの!!お嬢さんあんまり大人をからかっちゃだめよ。」
年配の女性はそう言うと店の外にでてそのまま隣にあるドラッグストアへと歩いていった。
この不思議な状況は他のメンバーにも起こっていた。
拓也が中年の男性を連れてきて言った。
「見てください。首吊りで死んでいる人がいるんです。救急車を呼んでくれませんか?」
その中年の男性が拓也に言った。
「人が死んでるって聞いたから慌てて来たのに、ただの首吊りか。首吊りぐらいで呼ばないでくれ!!緊急事態かと思ったじゃないか。」
二実が若い女性に言った。
「見てください。人が首を吊って死んでるんです。救急車をお願いします。」
若い女性が二実に言った。
「もう何事かと思って来てみればただの首吊りじゃない??そんな事で私を連れて来た訳??」
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だが店内の惨状を見ても誰も気にする様子がなく、全員が通報する事もなくそのまま店の外に出て行ってしまった。
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「どうして誰も気づいてくれないの?」
優斗が晴南に言った。
「気づかないっていうより大した事じゃないって判断されちゃうね。」
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「ありえないでしょう、こんなにたくさんの人が首吊って死んでるのに気にならないなんて??」
三緒が二実に言った。
「どうすればいいの??電話はつながらないし、通行人に助けを求めても取り合ってくれない。」
二実が三緒に言った。
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「すいません。」
年配の男性警察官が晴南達に気がついて声をかけてきた。
「どうかされましたか??」
二実がその警察官に言った。
「たくさんの人が死んでるんです。」
その警察官が驚いて二実に尋ねた。
「なんですって??人が死んでる??詳しく教えてもらえますか?」
二実がその警察官に言った。
「さっきベルガに行ったらたくさんの人が首を吊って死んでいたんです。」
その警察官が二実に聞き返した。
「ベルガというと洋菓子専門店のベルガの事ですか?」
二実がその警察官に言った。
「はい、そうです。」
その警察官が二実に言った。
「つまり洋菓子専門店ベルガで大勢が人が首を吊って死んでいたという事ですか?」
二実がその警察官に言った。
「はい、そうです!!だから救急車とパトカーをお願いします。」
二人の警察官は顔を見合わせると首をかしげた。
そして年配の警察官が二実に言った。
「なるほど、あなたにとっては一大事なんでしょう。そういう価値観を否定は致しません。ですが我々からすると取るに足らない事に思えて仕方がないのです。」
もう一人の若い男性警察官も二実に言った。
「そうですね、話を聞く限り緊急出動が必要な状況とはとても思えません。ベルガで大勢が首を吊って死んでいるだけですからね。」
二実が警察官に言った。
「えっ???だけって???たくさんの人が首を吊ってるんですよ?大変じゃないですか?」
若い男性警察官が言った。
「ええ自分の価値観を大切にする事はいい事だと思います。ただ緊急出動はする必要がないと思います。」
三緒が二実に言った。
「この人達も気がついてくれないの?」
年配の警察官が二実に尋ねた。
「他に何か用件はありますか??」
二実がその警察官に言った。
「だったら電話を貸してください。」
二実はその警察官からスマホを借りて119番に掛けてみた。
二実はスピーカーモードにしており交番内にオペレーターの声が響いていた。
「消防ですか救急ですか?」
二実がスマホ越しに言った。
「救急です。たくさんの人が首を吊ってるんです。」
オペレーターの人の声が響いた。
「なんですって??すぐに住所を教えてください。」
二実がスマホ越しに言った。
「住所を言います。明井田市西寄戸5丁目38-4洋菓子専門店ベルガです。自殺してる人がたくさんいるんです。」
オペレーターの人の声が響いた。
「えっともう一度お願いできますか。」
二実がスマホ越しに言った。
「明井田市西寄戸5丁目38-4洋菓子専門店ベルガです。」
オペレーターの人の声が響いた。
「なんだ、そんな事で電話かけてきたんですか?」
二実がスマホ越しに言った。
「そんな事ってどういう事ですか?」
オペレーターの人の声が響いた。
「そういう些細な事で呼ばれたら困るんですよ。救急車が無限にあるとでも思ってるんですか?」
二実がスマホ越しに言った。
「人が死んでるんですよ?大変な事でしょう!!」
オペレーターの人の声が響いた。
「人が死んでいたら一大事です。もちろんそういう状況であればいの一番で駆けつけます。」
二実がスマホ越しに言った。
「だったらきてくださいよ!!ベルガで人が死んでるんですよ。」
オペレーターの人の声が響いた。
「あなたも聞き分けが悪いですね。ベルガで人が死んでるだけでしょう!!我々が出動する必要性がないじゃないですか。」
二実がスマホ越しに言った。
「とにかく来てください。」
オペレーターの人の声が響いた。
「ベルガに行く必要はないんです。」
二実がスマホ越しに言った。
「ベルガが分からないんですか?」
オペレーターの人の声が響いた。
「知ってますよ。ベルガは有名ですからね。」
二実がスマホ越しに言った。
「なんで来てくれないんですか?」
オペレーターの人の声が響いた。
「何を言ってるんです。我々は通報があればどんな所にで向かいますしどんな場所でも救急活動をします。」
二実がスマホ越しに言った。
「だったらベルガに来てください。」
オペレータの人の声が響いた。
「だから行く必要がないって言ってるだろうが!!」
二実が大声で言った。
「もういいです!!」
二実はイラつきながらスマホを警察官に返した。
すると交番に若い男性が駆け込んできた。
「大変です、そこの交差点で酔っ払いが殴り合いの喧嘩をしています!!」
年配の警察官が大きな声で言った。
「なんだと!!何をやってるんだ全く!!」
年配の警察官が若い警察官に言った。
「すぐに仲裁に行くぞ!!」
若い警察官が年配の警察官に言った。
「はい。」
そして駆け込んできた男性と警察官の二人は二実達を残して慌てて外に出ていった。
二実達は茫然としながら交番を後にした。
時間は午後8時を過ぎておりすでに外は暗くなっていた。
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晴南が晃太に尋ねた。
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晃太が晴南に言った。
「こっちが聞きたい。首を吊ってる人を放置する理由なんてあるわけがない。」
晴南が二実に尋ねた。
「ねえ二実さん?これってもしかして黒輪(こくりん)の仕業じゃないんですか?」
二実が考え込みながら言った。
「黒輪(こくりん)か?」
しばらくして二実は首を横に振った。
「たぶん違うと思う。あいつが来てたら禍々(まがまが)しい気配ですぐに分かるから。」
晴南が二実に尋ねた。
「それじゃあ他の幽霊って事ですか。」
二実が晴南に言った。
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二実が三緒に尋ねた。
「ねえ三緒?この辺りに嫌な気配を感じてる??」
三緒が首を横に振った。
「ほとんど感じてない。」
二実が三緒に言った。
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三緒が二実に言った。
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二実が言った。
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「それなのにみんなベルガの首吊り死体を見ても全然気にしない。」
拓也が尋ねた。
「通行人や交番に助けを求めても取り合ってくれないとなると、一体どうすればいいんだ?」
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「そうね。私達だけじゃあれだけの人数を床に降ろしてあげる事もできないし、かと言って首吊りしてる人を放置してそのまま帰る訳にもいかないし。」
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