上 下
58 / 135
一章

同じ行動

しおりを挟む
二実は運転席に座ると何か考え事をしているようだった。

すると後ろに座っている三緒が声をかけてきた。

「ねえ二実?さっきの久美子さんの話どう思う?色々と気になる事を言ってたでしょ?」

二実が三緒に言った。

「ええ、まさか里穂ちゃんまで行方不明になってるなんて。」

すると運転席の近くに座っていた冬湖が二実に言った。

「二実さん?里穂さんもきっと無事に帰ってきます。」

二実が冬湖に言った。

「ええありがとう冬湖ちゃん。」

すると二実がみんなに尋ねた。

「ねえみんなはさっきの話を聞いてどう思う?」

晃太が二実に言った。

「その里穂さんが行方不明になってる状況って柚羽の状況とそっくりですよね?」

麻衣子がこれに賛同した。

「うんそうよねそれは私も思った。」

麻衣子が二実に尋ねた。

「里穂さんと柚羽って面識はなかったんですよね?」

二実が麻衣子に言った。

「うん面識はないはずだよ。里穂ちゃんに柚羽ちゃんを紹介した事は無いし。」

美咲が言った。

「柚羽からその里穂って人の事を聞いた事もないわ。」

晴南がみんなに言った。

「たまたま同じ状況になっただけじゃないの?」

麻衣子が晴南に言った。

「たまたまで片付けられるレベルじゃないと思うわ。柚羽と里穂さんはほぼ同じ行動を取ってるのよ?さすがに不自然すぎるでしょ。二人には面識はなかったみたいだからなおさらでしょ?」

拓也がみんなに言った。

「そういえば久美子さん他にもかなりの数の子が里穂さんみたいに行方不明になってるとも言ってたな。」

麻衣子がみんなに尋ねた。

「本当なのかな?里穂さんみたいに行方不明になってる子がたくさんいるって話?」

晃太が麻衣子に言った。

「どうだろうな?久美子さん自身が噂話だって言ってたしな。」

二実が晃太に言った。

「いや久美子さんの情報網ってすごいのよね。私は信憑性の高い話だと思ってるわ。」

優斗がみんなに言った。

「僕もさっきの久美子さんの話は信憑性は高いと思うんだ。」

晃太が優斗に尋ねた。

「どういう事だ?優斗?」

優斗が晃太に言った。

「学校が来週も休校になったよね?」

拓也が優斗に言った。

「そういえば今日の朝に来週も休校だって連絡があったな。」

麻衣子が優斗に言った。

「なんで来週も休校なのかしらね?避難指示が解除されてから避難してきている人たちも徐々に戻り始めてるのに?」

優斗が麻衣子に言った。

「たぶん先生達の都合がつかないんだよ。武藤先生も鳥岩先生も明井田中学も受け持ってるでしょ?」

麻衣子が優斗に言った。

「つまり先生達が受け持っている明井田中学のクラスの生徒が行方不明になっていてとてもじゃないけど九木礼中学に授業をしに来られる状況じゃないって事?」

優斗が麻衣子に言った。

「うん、そう考えれば筋は通るよね。明井田中学は市の中心部からは少し離れた所にあるから火災の被害はほとんど受けてないみたいだし。昨日まで避難指示が出てたから明井田中学に避難してきている人はほんとんどいないはずだから、九木礼中学みたいに建物が使えない状況ではないと思うんだ。そうなると先生達は何か大きな問題を抱えてる事になるよね。」

すると晴南が晃太に尋ねた。

「ねえ晃太?つまりどういう事なの?里穂さんはなんでいなくなったの?」

晃太が晴南に言った。

「悪いがまだ答えを出せる状況じゃない。情報が少なすぎる。」

晴南が晃太に言った。

「何よ?頼りないわね?」

すると二実は考え込んでいるようだった。

少しして二実がみんなに言った。

「ねえみんな?午後からよりたい所があるんだけどいいかな?」

冬湖が二実に尋ねた。

「午後もどこかにいくんですか?」

二実が冬湖に言った。

「ちょっと久美子さんの話を聞いて確認しておきたい事ができたの。」

冬湖が二実に言った。

「確認しておきたい事ですか?」

すると晴南が二実に言った。

「もちろんいいですよ、どこでも連れてってください。」

晃太が二実に尋ねた。

「その確認しておきたい事というのは?」

二実がみんなに言った。

「ええ実はさ大学で親しくなった友達がいるんだけど?」

すると三緒が会話に割り込んできた。

「二実?敏子(としこ)達の事をみんなに話すつもりなの?」

二実が三緒に言った。

「うん、柚羽(ゆずは)ちゃんや里穂(りほ)ちゃんの話を聞いてたら敏子(としこ)達も無関係と思えなくなってきたのよね。」

二実がみんなに言った。

「名前は柿枝敏子(かきえだとしこ)と白焼昭洋(しらやきあきひろ)っていうんだけど?二人は私達と同じ大学に通ってて同じサークルの仲間なの、それで二人ともこの明井田市の出身なのよ。二人の実家も明井田市にあるんだけど、今二人と連絡がつかなくなってるのよ?」

晃太が二実に尋ねた。

「連絡がつかないっていつからですか?」

二実が晃太に言った。

「これは敏子(としこ)と明洋(あきひろ)のご両親からの話になるんだけど、二人とも6月11日の午前5時頃に実家から出かけたきり行方不明になってるらしいわ。そしてご両親には何も伝えずに大きなリュックを背負って出かけたらしいの。」

晃太が二実に言った。

「6月11日の午前五時頃にですか?」

麻衣子が二実に言った。

「柚羽やさっきの里穂さんと行動が同じですね?」

二実が麻衣子に言った。

「うん私もそう思ってさ。それで今から二人の実家に行ってみようと思うのよ?敏子(としこ)と明洋(あきひろ)のご両親から直接話を聞こうと思ってね。」

優斗が二実に尋ねた。

「僕達も一緒に行っていいんですか?敏子(としこ)さんや明洋(あきひろ)さんとは面識がありませんが?」

二実が優斗に言った。

「私から話をするからそれは心配しないで。みんなだって何が起こってるのか知りたいでしょう?」

晴南が二実に言った。

「はい、もちろんです。」

晴南が大きな声で言った。

「という事で午後からも二実さんに付き合うわよ!!」

すると優斗が二実に尋ねた。

「二実さん一つ聞いてもいいですか?」

二実が優斗に聞いた。

「何?」

優斗が二実に言った。

「二実さんと同じ大学って事はその敏子(としこ)さんと明洋(あきひろ)さんは普段は明井田にいないんじゃないですか?」

二実が優斗に言った。

「うん、二人とも私と同じ神奈川県にある栗野原学院(くりのはらがくいん)大学の神道部だから平日は大体神奈川県にいるわ。二人とも6月10日の夕方まで大学の部室で一緒にサークル活動をしてたわよ。」

優斗が二実に尋ねた。

「それじゃあ二実さん達は敏子(としこ)さん達と一緒に北海道に戻ってきたんですか?」

二実が優斗に言った。

「ううん、三緒とは一緒に帰ってきたけど敏子達とは一緒じゃなかったわ。」

優斗が二実に言った。

「つまり敏子さん達とは別々に戻ってきたんですね。」

二実が自信のない様子で優斗に言った。

「う~ん多分ね。」

歯切れの悪い返答に晃太が尋ねた。

「二実さん?歯切れが悪いですね?」

二実が晃太に言った。

「う~ん実はさ二人がこっちに戻ってきてるって知らなかったのよ。」

晃太が二実に尋ねた。

「知らなかったってどういう事ですか??」

すると二実が晃太に言った。

「二人とも金欠だから今週は神奈川に残るって言ってたのよ。まさかこっちに戻ってきてるなんて思ってなかったの。」

麻衣子が二実に尋ねた。

「えっ?それじゃあなんで敏子さんと明洋さんは戻ってきたんですか?」

二実が麻衣子に言った。

「それが全然分からないのよ。敏子と明洋が戻ってきてるって知らなかったから、こっちに戻ってるって聞いた時はびっくりしたわ。」

三緒がうなずきながら言った。

「私もそれを聞いた時に驚いたわ。私も二人が神奈川に残ってるって思ってたから。」

麻衣子が二実に尋ねた。

「戻らないって言ってたのに敏子さんと明洋さんは明井田に戻ってきてたんですか?」

二実が麻衣子に言った。

「そうそれで次の日の朝に二人ともどっかに出かけちゃったらしいの。」

すると三緒が二実に言った。

「ちょっと二実?二人の自宅に行くにしても一旦このバスを置いてきた方がいいんじゃない?引っ越し荷物も積みぱなしでしょ?」

二実が三緒に言った。

「確かにそうね。じゃあ一旦封木神社に戻りましょうか。」

三緒が二実に言った。

「その方がいいと思うわ。」

二実が三緒に言った。

「それなら二手に分かれましょうか?三緒は敏子の自宅に行ってきて、私は明洋の家に行ってくるから。」

三緒が二実に尋ねた。

「それは構わないけど、叔母さん達は戻ってきてるの?」

二実が三緒に言った。

「それなら大丈夫よ、もう戻ってきてるらしいわ。いつでも自宅に寄っていいって言ってたわ。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

捨てられた転生幼女は無自重無双する

紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。 アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。 ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。 アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。 去ろうとしている人物は父と母だった。 ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。 朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。 クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。 しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。 アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。 王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。 アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。 ※諸事情によりしばらく連載休止致します。 ※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。

彼を愛したふたりの女

豆狸
恋愛
「エドアルド殿下が愛していらっしゃるのはドローレ様でしょう?」 「……彼女は死んだ」

円満婚約破棄をしたらゆるい王妃様生活を送ることになりました

ごろごろみかん。
恋愛
死霊を祓うことのできる霊媒師・ミシェラは皇太子から婚約破棄を告げられた。だけどそれは皇太子の優しさだと知っているミシェラは彼に恩返しの手紙を送る。 そのまま新興国の王妃となったミシェラは夫となった皇帝が優しい人で安心する。しかもゆるい王妃様ライフを送ってもいいと言う。 破格の条件だとにこにこするミシェラはとてつもないポジティブ思考の持ち主だった。 勘違いものです ゆるゆる更新で気が向いた時に更新します

処理中です...