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 うちに帰ってのんびりと過ごして、お祖父様がいる夕食の時間に切り出す。

「あの、わたしの後輩のエリオット・フィールズから別荘へ招待されているんですけど……その、行ってもいいでしょうか?」
「まあ、あなたっ! ネイトがお友達からのご招待ですってっ!」
「そうか……ネイトがな」

 嬉しそうに笑うおばあ様。うんうんと感慨深げに頷くお祖父様。

 そんなに喜ばれると、なんだか気恥ずかしい。

「よし、行って来なさい」
「そっか・・・ネイトにもお付き合いとかがあるんだよね。うん。行ってらっしゃい」

 口ではそう言いながら、とても寂しそうな顔をするセディー。

「あ、エリオットはセディーもどうぞって言ってたよ」
「本当っ!?」
「うん」
「それじゃあ僕も行く!」

 と、パッと笑顔での即決。

「えっと、スケジュールの調整とかはいいの?」
「大丈夫。どうにかするから。そういうワケですので、おばあ様。ダンスレッスンは」
「そう。それじゃあ、フィールズ家の別荘にお邪魔する前にみっちり取り組みましょうか? セディー」

 にこにことおばあ様へ向けた顔が、遮られた言葉に固まる。

「え?」
「もう少し頑張りましょうねぇ? セディーのダンスはまだまだですもの。ほら? 毎日頑張らないと、動きって鈍っちゃうじゃない?」

 にっこりと、けれどその奥はあまり笑っていないペリドットの瞳がセディーを見詰める。

「ね、ネイト……」

 ギギギと音がしそうな程ぎこちなく首を動かし、わたしへと助けを求めるセディー。でも、残念ながらこればっかりはおばあ様に賛成です。

「セディー。セディーがケイトさんに見劣りするのは仕方ないにしても、せめて二曲は踊れるようになろうね?」
「っ!!」

 ガーン! と、ショックを受けたような顔をされてもねぇ。

「そうよ、セディー。あなたには、ケイトさんをエスコートする義務があるんですからね」
「そうだぞ。自分から婚約を申し込んだ女性に恥を掻かせるな」
「・・・はい」

 ぴしゃりと正論を言われて、しょんぼりとした返事。

「まぁ、おばあ様。筋肉痛がつらいときには、一日置きくらいの間隔の方がいいと思いますよ。そうじゃないと、身体が大変でしょうから」
「そう? 孫がおばあちゃんよりも体力が無いっていうのは、どうなのかしら?」
「セディー。散歩とかして体力付けようか?」
「うん……」

 侯爵邸は、実家の子爵家の方に比べると格段に広いから、歩こうと思えば結構な距離を歩くことができる。ちなみにわたしは、うちの敷地内をよく走ったりしている。

 セディーにわたしと一緒に走ろうと言うのは、少しキツいだろう。散歩なら、多分大丈夫。

 がんばれセディー!

 そんな風に和やか? に話をして、エリオットの家の別荘へ行く許可が下りた。

 それからエリオットに、お祖父様とおばあ様の許可が下りたこと。そしてセディーも参加することの報告と、宜しくお願いしますという手紙を出した。

 返って来たのは、『楽しみにしてますね』という返事。

 そして、ターシャおば様が張り切ってダンスの特訓をしているという報告。なんでも、『うふふ、折角ネイサン様と踊れるのですから、美しく踊りたいですわ~』とのこと。

 まぁ、ターシャおば様が踊れるなら、一緒に踊ると言ったのはわたしですが・・・あまり無理はしないでほしいと思います。

✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰

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