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しおりを挟む「いつでも帰って来ていいからね? 誰かにいじめられたらすぐに言うんだよ?」
「もう、大丈夫だって」
心配そうな顔でぎゅ~っとハグをして来るセディーの背中を、ぽんぽんと叩く。
「セディーは心配性ねぇ。ほら、もう放しなさい。ネイトが困っちゃうでしょ」
「はい……」
「それじゃあ、行って来ます」
「いってらっしゃいませ、ネイサン様」
いつものようにセディーとおばあ様。そしてそこに、微笑ましいという顔をしたライアンさんがプラスされて、三人に見送られて馬車へ乗り込むと……
「麗しき兄弟愛だな」
「相変わらず、ブラコンっぷりは健在だなー」
「……今生の別れでもあるまいし」
うんうんと頷くレザン、ニヤニヤと笑うテッド、呆れ顔のリールと三者三様の反応。それぞれに微妙にムカついてイラッとする。
「ウルサいな。四年前は、学園寮で会う筈だったのに、一年以上会えなかったんだよ」
「ああ……騎士学校は二年に進級して、更に成績優秀者でないと外泊の許可が下りなかったからな」
「うわ、それマジで学校?」
「うむ。軍事関係者の多く通う、厳しい騎士学校というのが有名になってな。それで、やらかした貴族子弟を更生させる為に入学させることも増えたそうだ。更に、なかなか生徒を外に出さない寮制ということもあり、ワケ有りの者も結構いたぞ」
「・・・わー、一応お前らが通ってたとこヤバそうだとは思ってたけど、なんか想像よりヤバそうなとこ通ってたんだな」
「まあね」
「もしかして、ハウウェルが喧嘩っ早いのってその影響か?」
「うむ。そうだろうな」
「や、なんで君が答える。というかわたし、そんなに喧嘩っ早い方じゃないと」
「いーや、ハウウェルは怒りっぽい。なんだったら、レザンより気が荒い」
わたしの言葉を遮って断言するテッド。
「いやいや、そんなことはない」
否定するも、
「……短気な自覚が無いのか」
リールがぼそりと呟く。
「見た目は強面イケメンだけど、なんだかんだレザンは案外鷹揚だかんなー」
「うん? そうか?」
「おう。見た目の割に取っ付きやすいぞ。ま、それはハウウェルもなんだけどなー」
そんなことを話しながら馬車に揺られて学園へ。
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰
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