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しおりを挟む「やだっ、ハウウェルのおにーさんがなんかちょっと怖いこと言っている!」
不穏な呟きを拾ったのか、テッドが驚きの表情でセディーを見てわたしへ視線を向けた。
そりゃあそうだろう。セディーはハウウェル侯爵家の嫡男だし。おっとりした性格をしていて、見た目にも穏やかそうに見えるけど、わたしよりも幾分貴族らしい。そして、存外情熱的なお祖父様に似てもいるみたいだし・・・怒らせると、怖いと思う。
幸いなことに、わたしはまだセディーを怒らせたことはないけど。
セディーは多分、権力でぶん殴ることをあんまり躊躇うタイプでもなさそうだし。むしろ、使えるモノは色々とバンバン使って行きそうというか・・・
「まぁ、セディーはわたしに甘いから」
「甘いとかそんな感じじゃなくねっ!?」
「ふむ。ハウウェル達兄弟は仲がいいのだな」
「え? この兄弟を見てその感想なのかレザンっ!?」
「うん? 兄弟仲がいいのはいいことだろう? 麗しき兄弟愛というやつだな!」
「ネイトネイト、僕達仲良しだって」
にこにこと嬉しそうに微笑むセディーを、少し引き気味の表情で見やるテッド。
「……ハウウェルのおにーさんは、なにげにハウウェルと同類な感じだったっ……」
なにやら若干失礼な呟きに応えてあげる。
「う~ん……でも実は、セディーの方がわたしよりも容赦なかったりするよ? チェスやカードゲームなんか、結構攻撃的だし」
「マジで? あんな穏和そうな顔しといてっ?」
「まぁ、ほら? 穏和さと苛烈さって、両立しないこともなかったりするから」
「なあ、ハウウェル。俺らってば、要らんことした感じだったりする?」
後悔してそうな顔での質問。
「そうだねぇ。君らが絡んで来なければ、わたしはさっさと帰る予定だったんだけどね」
「引き留めてすんませんでしたっ!? どうぞ今すぐお帰りくださいっ!!」
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