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クラウン・ラプソディー♪

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 十数匹の子猫達がにゃーにゃーと溢れていた最中の騎士団へ、幾つかの要請があった。

 王立プラウナ学園に通う貴族子息達の護衛。

 王立騎士団訓練所でのペット自慢大会。

 騎士団訓練所の見学申し込みが数件。

「団長、このような要請が来ていますが」
「これは・・・まあ、王立学園の貴族子息、令嬢達の要請は断ると後でごちゃごちゃと面倒だ。出世やら逆玉狙ってる連中の有志を募りゃ、それなりに集まるだろ。募集掛けとけ。早い者勝ち、定員に達し次第応募を締め切るってな」

 とある騎士団長は、要請を安請け合いした。

「ハッ、了解しました」

※※※※※※※※※※※※※※※

 ベアトリス卿襲来より数日後。

 晴れ渡る麗らかな午前中。

 子猫達に癒され、どんよりした通夜雰囲気からある程度脱却した騎士団訓練所付近へ、わらわらと十数名の子供達を引き連れた女性がやって来た。

「はーい、みなさんいいですかー? これから、青空課外授業で絵本の読み聞かせをしまーす」

「「「「はーい、せんせー」」」」

 元気よく返事をする子供達は、プラウナ王立学園の幼等部の制服を着ている。

 どうやら、見学の事前申請のあった・・・・・・・・幼等部の課外授業ピクニックのようだ。

 騎士達には、通常通り訓練を続けるよう通達がされていたが、小さい子供達に優しい笑みを浮かべる騎士達もいた。

「むかしむかし、あるところに・・・」

 そして、絵本の読み聞かせが始まった。

 絵本のチョイスは、白鳥になる呪いを掛けられた姫が、その呪いを解いて幸せになるまでの物語。

 先生と呼ばれた妙齢の女性は、絵本の読み聞かせがとても、とても上手かった。

 呪いを掛けられた姫の苦悩、そして王子との運命の出会い、王子が悪魔に騙されたことへの絶望、手に汗握る悪魔との戦い、そして姫が呪いに打ち勝って無事に人間へと戻り、幸せになった。

 そんな内容を、訓練に励む騎士達が思わず手を止めて聞き入り、涙を流して感動してしまう程には・・・

「めでたしめでたし・・・」

 パタン、と絵本が閉じられると、先生の読み聞かせへと幾つもの拍手が鳴り響いた。

「あーっ!? きしさまないてるーっ!?」
「おじさまたち、かおあかーいっ!?」

 先生の上手過ぎる読み聞かせに落涙する程まで感動してしまった騎士達は、

「こ、これは汗だっ!?」

 そう言って恥ずかしげに顔を拭い、慌てて訓練へと戻って行ったという。

※※※※※※※※※※※※※※※

「感動に震えていたそうです」
「いや~、感動だねっ☆感涙だねっ☆ボクもあの話は大好きさっ☆アハハハっ!!」

__________

 絵本のモデルは白鳥の湖です。
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