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冷える。
しおりを挟むそれは、朝晩に水が冷たくなって来たなぁと思う、秋の頃のことだったという。
Aさんの両親が親類に呼び出されて出掛けたので、Aさんは家で一人で留守番をすることになったそうだ。
Aさんは暑がりな性質で、その日も半袖で過ごしていたという。
そして、ゲームをしていたAさんは、ふと足が冷えていることに気が付いた。
秋だとは言え、Aさんは暑がりで、夜は涼しくなって来た。くらいにしか思わず、特に寒いとは思っていなかったそうだ。
ずっと同じ姿勢で座っているから血流が悪くなっているのか? と思い、Aさんは立ち上がって足をぐるぐる回したりしてみた。
しかし、足は依然として冷たいまま。
Aさんはおかしいとは思ったが、気にせず中断したゲームを再開した。けれど、足の冷えは全然治まらず、とうとう足の感覚が無くなるまで冷たくなってしまったそうだ。
Aさんは冷たくなった足を温めようと風呂場へ向かい、温めのシャワーを足に掛け――――酷く驚いたという。
温めのシャワーが、火傷しそうな程に熱く感じたのだそうだ。シャワーのお湯は、足に当てるととても熱いのに、手で触るとぬるい。
お湯が痛い程に熱く感じるので、Aさんは仕方なく、温かいと思う程の温度にシャワーを下げて足に掛けた。しかしそれは、足でなく手で触ると冷たく感じる、ほぼ水の温度だったそうだ。
つまり、Aさんの足だけが、秋の水の温度よりも低い温度に冷えていたのだろう。
Aさん自身は寒いと感じてないのに、足だけが異様に冷える。おかしいと思い、足を拭いて風呂場から出たAさんは、その日は仕方なく足だけ毛布に包んで過ごしたという。
そして、その翌日。Aさんの両親が帰って来て、親戚が危篤状態だったことを知らされたそうだ。
危篤になったその親戚は、Aさんのことを可愛がってくれていた人だったのだとか・・・
もしかしたらAさんは、その人に縋られていたのかもしれない。
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