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7 南の国の戦争にまき込まれるサムライ

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岸にたれこめた椰子やしの葉の茂みを潜り、一艘いっそうの小舟が出てきた。
波にあおられながら、左右二本のかいが必死に海面を掻く。
小舟は、まっすぐ王の旗艦船きかんせんをめざした。
ラカイン海軍の船団がガワ港に停泊するのをまっていたかのようだった。
その必死のさまが、甲板かんぱんから眺めていた又兵衛には、いつかシリアムから逃れてきたときの副知事、センチョウの慌てふためきぶりと重なった。

「王様に申しあげます。緊急の報告でございます」
旗艦船の下まできた小舟の舳先へさきの一人が叫んだ。
縄梯子なわばしごを登ってきた三人は、魍魎もうりょうにとりつかれたかのごく、落ち着きを失っていた。
三人ともよろいは泥にまみれていた。通常であれば、みな、鮮やかな色の将官の胴着どうぎである。位の上の者だった。
甲板にあがった三人は、のめるように王のまえに跪いた。

王は直接甲板に出て、使者たちをまっていた。
漕ぎ寄せる小舟のただならぬ気配を感じ取り、眉根にしわを刻んでいた。
「申せ」
「やられました。デ・ブリト軍の待ち伏せです。陸軍指揮官のウバイ王子が捕虜ほりょになりました」
「なんだと?」
ダンマ王は身を反らせるように背を伸ばした。

「どういうことだ」
またたき、聞き返した。
「カラダン川から上陸しようとしたとき、奇襲きしゅう攻撃を受けました。砲兵隊です。陸軍大臣は戦死し、我が軍は三分の一がやられました。デ・ブリトの軍は早々に引き上げていきました」
王は青ざめ、からだを硬直こうちょくさせた。

一瞬、船板を打ち寄せる波の音だけが、あたりに響いた。
「デ・ブリトのやつ……」
王の唇がやっと動いた。
やられた、と王の背後にひかえた又兵衛も、稲妻のごとき衝撃を胸にうけた。

同時に、戦争がはじまったのだ、これからは、いかに相手の意表をつくか、だますかの争いだ。
あらためて遠い日本の戦いを思いおこしていた。
デ・ブリトは、ラカイン軍を読んでいた。
カラダン川を船で下ってきて、シリアムにもっともちかい地点に上陸すると察知し、待ち伏せていたのだ。

そして、上陸中の無防備な状態のときを狙い、襲ってきた。
ラカイン陸軍はなすすべもなく、敗れた。
陸軍大臣は戦死し、大将のウバイ王子は捕虜になった。
ラカイン軍を壊滅させたデ・ブリトの軍は、王子を捕えるや、側面に進出でするナッシン王が率いるミャンマー軍から逃れ、すばやく撤退した。
シリアムにもどり、あとは砦に籠っていればよかったのだ。
ダンマ王は言葉を失った。王を囲んでいた家臣たちも、燦々さんさんたる戦果の夢から覚め、立ちすくんだ。

すると、さっきの椰子の葉の茂みからすこし離れたところのマングローブの林のなかから、再び一隻の小舟が姿を見せた。
へさきにラカイン軍の旗を立てている。緑色に仏の像が描かれた旗だ。
奇襲作戦から逃れたラカイン軍は、小高い山をこえて退却し、海岸線に陣地をかまえていたのだ。
小舟でやってきた将官は、ダンマ王のまえでこう告げた。
「いま、デ・ブリトの使者がやってまいりました。使者は、町のなかのパゴダにまたせてあります。王に直接会って話したいといっております。ただしお供の家来は三人だけ、ということです」

「王子も一緒か」
「王子はおられません。みなポルトガル人です」
十名ほどのポルトガル人たちが馬に乗ってやってきたという。
よし、とダンマ王は答えた。
「又兵衛、そこにいるな。ついてこい」
家臣の背後にいた又兵衛を、覗き込むようにふり返った。

護衛兵を一人だけをつけ、交渉にむかおうというのである。常に身近で自分を忠実に護衛する又兵衛が、ポルトガル語に堪能たんのうであることを知っていたのだ。
「わたしもご一緒します」
何人かの家臣たちが申し出た。
「いや、又兵衛がいればよい。王子を人質にし、和平交渉でもしようというのだろう」
王子を捕虜ほりょにされ、ヤカイン陸軍は大打撃を受けたが、ダンマ王は威厳いげんを失っていなかった。


ダンマ王と又兵衛は小舟に乗った。
岸にむかう小舟の中央でダンマ王が仁王立ちになった。
「又兵衛、サムライたちはこんなときどうする」
王が珍しく、ともにひかえた又兵衛に言葉をかけた。
瞬間、又兵衛の喉の空気で詰まった。だが、ありのままを口にした。
「サムライの国では、捕虜になる者はおりません。もし捕まるとわかったときは、捕まるまえに本人が自害いたします」

捕まるのはサムライの恥だから、とはいわなかった。
「人質はつくらぬという意味だな」
「さようです」
又兵衛はかしこまって答えた。

ダンマ王は腕を組んだまま、前方を睨んでいた。
あでやかな飾りのついた胴鎧どうよろいが太陽に光った。
いまさっきの動揺はどこへやら、すっかり覚悟を決めたようで、大柄なからだは微動だにしない。
海岸で、陸軍の将官たちが王の到着をまっていた。すでに馬も用意されていた。
将兵の乗った二頭の馬が人間たちの緊張感を感じとり、いまにも駆けださんとひづめを掻いた。

王は馬に飛び乗った。
「案内いたせい。又兵衛、つづけ」
又兵衛も用意された馬にまたがった。
「どけ、どけ、どけーい」
先頭の馬に乗った将兵が叫ぶ。なにごとかと集まってきていた村人たちが、左右に逃げまどった。
将兵のあとを、王と又兵衛の馬が追った。

颯爽さっそうと馬で駆け抜ける自軍の総大将であり、国のかしらのダンマ王。
野営していた陸軍の兵隊たちが、をおどろいて見送る。
野営地をこえると小さな町にでた。もちろんそこもラカインの国内である。
町の中心に、黄金のパゴダが建っている。

四頭の馬は、パゴダが起立する町の広場にむかった。
パゴダの境内には、自信満々に緑と赤のポルトガルの旗がひらめいていた。
十騎の馬がならび、左右の二騎が旗を高く掲げていた。
全員がポルトガル人だった。

「ダンマ王か。ご足労である」
中央の赤髭あかひげの男が声をあげた。
ポルトガル語だった。一国の主でもあるかのような態度だった。
王の背後の又兵衛が翻訳する。

赤髭は又兵衛を通訳とみなすや、罪人に罪状を申し述べるかのごとく告知した。
「われらシリアムのポルトガル軍はラカイン国の王子、ウバイを捕獲した。返して欲しければ、次の条件を遵守そんしゅせよ」
一枚の紙をひろげ、読みあげた。
「一つ、ラカイン軍とミャンマー軍はただちに撤退すること」
「二つ、金百かん(約四百キロ)を渡すこと」
「三つ、銀百貫を渡すこと」
「四つ、最高級ルビー、サファイアを各百個を渡すこと」
「五つ、すべての約束が守られたとき、われわれは王子を引き渡し、シリアムとラカインとの平和協定結ぶ。十日以内に実行せよ。以上」

馬上のダンマ王は身動きひとつしない。
が、又兵衛は王の背中から、王のおどろきを汲み取っていた。
和平交渉どころか、莫大ばくだいなな金品を要求されたのだ。
インドのゴアのポルトガル総督府から供与された軍装備と兵力に、デ・ブリトは想像以上に自信をもっていたのだ。
「承知したとデ・ブリトに伝えよ」
ダンマ王の返答が、神聖なパゴダの境内に響いた。
答えを聞いた赤髭は、紙を丸め、隣の騎士にわたした。
憤怒ふんぬをおさえるダンマ王の内心を感じ取り、王の馬がいなないた。

ポルトガル人たちは、用が済んだとばかりに、馬をひるがえした。
遠ざかるひづめの轟を聞きながら、ダンマ王ももときた方向に馬を返した。
そのとき、王の怒りのまなこと又兵衛の視線が一瞬、交わった。
「又兵衛、こんなときサムライはどうする」
馬を走らせながら眉を吊りあげ、ダンマ王がまた聞いた。

はい、と答えながら又兵衛は馬上で姿勢を正した。
「平和協定を結んだあとで、復讐を考えます」
自分のとっさの意見だった。
「どんなふうに復讐する」
馬を横にならばせながら、さらに王が聞く。
「平和協定に満足したと見せかけ、奇襲作戦を決行します」
当たり前の答えしかでてこなかった。戦いには常に奇襲作戦しかありません、とつづけたかったが、そっと控えた。
そうか、やり返すのだなとつぶやき、ダンマ王は馬の腹を蹴った。
二人の将兵と又兵衛の馬が、あわてて後を追った。


ラカイン海軍は一戦も交えず、ベンガル湾を引き返した。
船体を連ね、カラダン川をさかのぼり、首都のミャウーに着くと、ダンマ王は王室に籠もった。
王は、陸軍の三分の一を失った。
デ・ブリトは想像以上に強かった。
なめてかかり、油断したのである。そのうえ、大事な世継ぎの王子を捕虜にされてしまった。
表面上、王は強気を装っていたが、かなりの衝撃をうけていた。
王がひきこもると同時に、金銀宝物を積んだ船がシリアムにむかった。

ベンガルの海からもどった又兵衛を、娘のマリと妻のサディがまっていた。
マリは庭に柱を立て、紐の先につけたまきを枝から垂らしていた。
剣術の稽古けいこだった。おそでに教わったという。
着物にたすきをかけた、小さな剣士だった。

「お父さん、わたし毎日れんしゅうしていたから、とても強くなったとおもうけど」
たった半月会わなかっただけで、ずいぶん大きくなったような気がした。
母親は娘を産んで死んだと聞いたが、王妃の娘であったから美しかったのだろう。
マリも血筋を引いているようだった。

「わたしはもう、りっぱなサムライになりました。見てください」
マリは、両手をひろげ、自分の姿を又兵衛に見せた。
「剣術の練習をしたからか、たしかにサムライになってきたような気がするな」
マリの姿を上から下に眺め、又兵衛がうなずいた。
そうでしょう、とマリは微笑んだ。

「おとうさん、せんそうにかったんですか」
マリが訊ねた。その質問に、傍らのサディも又兵衛の答えをまった。
「今度の戦争は、勝ったとも負けたともつかなかった。両方で話し合いをすることになった」
 細かい事柄は省略した。

「それはよかったですね。平和協定なんですね。、わたしの父には会えたのでしょうか」
サディが、シリアムに住む商人の父親について尋ねた。
サディの父親には、部下が陸路をシリアムまでいき、会う手筈になっていた。
今回はまだ戦争になっていないのだから、問題なく会えるだろう。情報収集の意味もあった。
「わたしは行けなかったが、手紙は届いている。部下が返事をもって帰るだろう」

その部下が一人、二人ともどり、又兵衛は情報を組み立てた。
意外にも、デ・ブリトが装備している大砲は旧式のものだった。
弾丸も大量に陸揚げされたようすはなかった。
ゴアのポルトガル総督府から贈られた六隻の船も、ボロ船だった。
増援された三千人の兵のうち、二千人はインド人の砲兵だった。だが、ポルトガル人たちに奴隷どれい扱いされ、志気は低かった。

また、主力兵はシリアムの地域に古くから居住するモン族だった。モン族は、キリスト教に改宗はしてみたものの、ポルトガル人たちが仏陀やパゴダを徹底的に破壊した事実に恐れを抱いていた。
いつか天罰がくだるのではないのか、シリアムの王となったポルトガル人のデ・ブリトたちは、早々に神の怒りをかうのではないのか、そんな不安にかられていた。

デ・ブリトの軍は、長い戦いにはむかない。今回の戦いで勝利をおさめ、金品を要求した高飛車たかびしゃな態度は、相手を恐れさせるための作戦的な見せかけである。
デ・ブリトの狙いは、優位な条件に立ち、平和協定を結ぶことにある。
そうして、シリアムを商業都市として発展させ、周辺諸国に認めさせようとしている。

デ・ブリトは砦を堅牢けんろうにし、まちかまえている。える力はかなりある。当初は、戦力のあるところをしっかり見せつけるだろう。
又兵衛はそんなふうに判断した。
また、ラカイン軍に呼びかけ、シリアムを攻めようとしていたミャンマー軍のナッシン王は、仏陀像やパゴダを破壊し、大砲や金貨に変えてしまったデ・ブリトを、仏教徒の不倶戴天ふぐたいてんの敵として戦い抜く、とミャンマー全土の諸侯に宣言していた。
ミャンマー軍は、デ・ブリトの軍の捕虜ほりょとなったラカイン王子の釈放をまち、新しいミャンマーの都、タウングーに引き返していた。
だが、問題が解決し次第、いつでもシリアムに攻めあがるつもりだった。

ダンマ王は、王室に籠もっていた。ときどき閣僚たちが出入りをしたが、王から離れた場所に立つ、たった一人の警護兵には、ぼそぼそ話す王とその相手がなにを考えているのか分からなかった。
王子のウバイを取りもどしたら、ナッシン王の呼びかけに応じ、シリアムに攻め込むのか。それよりもデ・ブリトは、捕虜にしたウバイ王子を金銀宝石でほんとうに釈放するつもりなのか。
せっかくの捕虜を金銭で釈放してしまう意図はどこにあるのか。漏れてくる言葉からそのような会話の内容が推しはかれた。

廊下に影がさし、お袖の声がした。
「親方様、表玄関に、王宮からのお使いの方がお見えです」
奥屋敷にはお袖しか入れない。
マリを育てて以来、いつのまにかそんな習わしになっていた。

使いの者は表の門の玄関に立っていた。
至急、王の部屋にきて欲しいとのことだった。
又兵衛は護衛のサムライの装いに着替え、王宮にむかった。
渡しの小舟に乗りながら、また赤ん坊が生まれたんじゃないだろうな、とふいに不安にかられた。

王の間の廻廊かいろうには、護衛隊の部下が立っていた。
入り口に、次郎吉がまっていた。
部屋のなかで警護をしていたのだが、出されたという。
又兵衛が参りました、と次郎吉が告げると、入れ、という声が返った。

大柄のタコ入道の総理大臣、ジッタとダンマ王がいた。
「ウバイ王子が釈放された」
王は挨拶代わりに告げた。陸路を使者が早馬で告げてきたのだ。
「おまえはサムライの大将だったから、いろいろ経験しているのだろう。もし復讐するとしたら奇襲作戦だといったな。詳しく話してみろ」
又兵衛は一瞬、躊躇ちゅちょした。ジッタとダンマ王の四つの目が、又兵衛に掴みかかるように据えられた。

ダンマ王は復讐に燃えていた。
平和協定を結んだはずだが、はじめから無視するつもりのようだった。
又兵衛は以前に聞かれたときはなにも考えていなかったが、今度は時間があったので、もしそれなりに質問されたときにはと用意していた。

「ラカイン軍は戦いを放棄ほうきしたと、デ・ブリトに思わせるのです。その上で、陸軍を分散させ、少しずつミャンマー軍と合流させて連合軍をつくります。ミャンマーのナッシン王は、仏教徒の敵のデ・ブリトを許す気はないようですから、シリアムを滅ぼすまで戦うつもりでいるはずです。一方、デ・ブリトは八万の連合軍とはまともに戦えませんから、籠城ろうじょう作戦をとるでしょう。ウバイ王子を釈放したあと、平和協定が破られ、攻めてこられてもいいと考えているのです。防備には
たっぷり自信があるのです。そのときはあり余る戦力を見せつけるため、ときとしては大砲隊や騎兵隊をくりだし、猛攻撃を仕掛

け、相手に大打撃を与えたところで、新たな平和交渉をもちかけてくるでしょう。ですから連合軍は砲兵隊や騎馬隊が進撃してきたら、逃げるがごとく退却すればいいのです。デ・ブリトは深く追ってはきません。何度もそんな戦いを繰り返しているとき、王の海軍が河口から攻めあがるのです。奇襲を成功させるためには、ヤカイン軍の海軍は、他の作戦で出動中と思わせればいいのです。例えばインドのチッタゴン(バングラデッシュ)に海賊行為を働くポルトガル船団の退治にむかい、手間取っている。だから今回のミャンマー軍とのシリアムの討伐には参加できないだろう、と噂をながすのです」
又兵衛は躊躇ちゅうちょしながらも、つい一気に喋った。

事実、ラカインの都、ミャウーにやってくる外国貿易船がインド沿岸でポルトガルの海賊に襲われ、ダンマ王は対応に頭を悩ませていた。
「デ・ブリトには、インド総督から贈られた二千の砲兵軍がいる。ウバイ王子の陸軍はその砲兵隊にやられた。侮っていいのか」
デ・ブリトの砲兵隊は、だれにも強力に見えた。
「幸い我々は商人としても生計をたててきたので、わたしの部下は、見聞きしたものを全部わたしに伝えてきます。わたしも今回は、部下たちに知りたいことを指示しました。また、我々サムライの国でもポルトガル人たちから大砲を買って戦争をしてきましたので、大砲について詳しい者もおります。わたしの部下が、シリアムの城壁じょうへきにならぶデ・ブリトの大砲をたしかめましたが、かなり旧式のものでした。そして砲兵のインド人たちは、ポルトガル人たちから見れば、色の黒い奴隷どれい

と同じ扱いをされ、本気で戦う気はありません。それにシリアムのデ・ブリトは、このままでは多くの国や敵と戦いつづけなければなりませんから、いつか平和協定を結び、商業都市として認めてもらおうとしていますので、戦いのなかでその機をうかがってくるはずです。ようするに、城壁で囲った商業都市がいくら強くても一時的であり、デ・ブリトが自信満々でも、シリアムは長い戦いにはむいていないのです。篭城ろうじょうさせておいて、連合軍で戦い、最後にチッタゴンにむかっているは

ずのラカインの海軍を登場させ、河口から攻めるのです。もしかしたらデ・ブリトは白人ですから、有色人種のわれわれをあなどっているところがあるかもしれません。優秀な白人が土人に負けるわけがないと。油断大敵です」
「又兵衛、チッタゴンを攻める、と言いふらすのはいい案である。ちょうど、ポルトガルの海賊には困っていたところだからな。その海賊たちとデ・ブリトは手を結ぼうとしているところだしな」
ダンマ王は落ち着いた態度だった。怒り狂っているわけではなかった。王もある程度の情報を得ていたのであろう。
「さすがに長い間の戦争で生き抜いてきたサムライである。またなにか聞かせてもらうぞ。わたしの護衛をしながら商いにはげみ、商人たちからの情報をまとめるがよい、」
又兵衛は、嫌でも南の国の戦争に巻きこまれていく自分を感じていた。
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