転生貴族の異世界無双生活

guju

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領地運営と戦争準備⑩

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 パーティーと言うなの見栄張り大会が始まってからしばらくだった頃、門にいるネメスから連絡が入った。

<主様、陛下がご到着致しました。ただいま、スーリヤが前方で案内し、私が後方から護衛しています。馬車は、他のものと同じところでよろしいですか? >
<うん、よろしく。屋敷に着いたらすぐに会場にお連れして。陛下にそう言われてるから>
<了解しました。私共2人はそのまま陛下にお付になりますか? >
<うん、門には屋敷の四天王を向かわせたから、2人はそのままついてきていいよ>
<了解しました。では>

 ネメスとの念話を終えると、俺は今話している貴族との会話を中断して会場を後にした。

 皆はパーティに夢中で俺が退室した事にも気づいていないが、1人だけこちらを見た少女がいた。

 5歳くらいの娘で、透き通った金色の髪が月光を受け輝いて見える。
  一瞬のあいだ目が合うと、彼女はニコッと微笑んだ。

 俺は軽く頭を下げ、陛下の元へ向かった。

 そろそろ陛下が屋敷に到着するであろう頃を見計らって、容姿のいい天使を3名後ろにつけて扉の前で待機する。
 天使は、羽を隠して俺が用意したメイド服に着替えてもらっている。

 スーリヤに従順な天使たちは、その主である俺にも従順なようで嫌な顔一つせずに従ってくれた。

 大きな両開きの扉が開き、陛下が屋敷に入ってくる。
 陛下の側近である宰相は屋敷で仕事をしているのか姿は見えず、恐らく近衛騎士だろうと推測できる初見のものが4人ほど陛下についていた。

その後ろには、ネメスとスーリヤの姿が見える。
 2人は俺に気づくと、軽く頭を下げた。

「久しいな、アルトよ」
「お久しぶりです、陛下。この度は、私のような者のパーティーにの出席頂き感謝の限りでございます」

 胸に手を当て、頭を下げる。
 それに習い、使用人のもの達も皆が深く頭を下げた。

「ほう、よく出来たもの達だな。チャンの時と比べて大違いだ」
「ええ、教育を致しましたので」

 気分が良さそうに笑う陛下に、天使の1人がプレートを差し出す。

「陛下、こちらを」

 そのプレートには、一つの銀の腕輪が乗っていた。

「アルト、これは? 」
「こちら、防御障壁の魔法陣が刻まれた腕輪にございます。陛下の大切な御身、いつ何時でもお守りできるよう、この邸内ではお付けください」
「ふむ、では有難く」

 陛下がその腕輪を手に取る前に、後ろにいた近衛兵がそれを手に取った。

「陛下、このようなものは危のうございます」
「構わん。此奴は信用に足る」
「ですが、我々は彼を知りませぬ」
「ふむ、主の信用では足らぬか? 」
「ええ、御身を守るのが我々の使命ですから」

 近衛兵の食い下がる姿勢に、陛下は申し訳なさそうにこちらを見た。

「陛下、大丈夫です。そちら、一定範囲に効力のあるものですので、そちらの方がお付けになれば、近くにいる陛下もお守り出来ます」
「そうか、ならば頼めるか? ラディ」

 腕輪を持つ兵士――ラディはそれならばと自らの腕に躊躇うことなくそれを付けた。

「それにしても、貴殿の付き人は美しいな。特に、そこの3人は別格だ」
「お褒め頂き光栄の限りです。侍女たちも喜んでいます」
「なにか、特別なルートかね? 」
「いえ、そういう訳では無いのですが。私の右腕のスーリヤが其方の方に通じており」
「ああ、そういう事か。そりゃあ美しいはずだな」

 スーリヤが天使であることを知っている陛下は、当然だと言うように頷く。

 暫く歩いたところで、パーティーの会場に着いた。
 予め配備しておいた天使の侍女たちが大きな2枚扉を開き、陛下が先に会場へとはいる。
 それに続き、俺、近衛兵、スーリヤとネメスが会場に入る。

 扉が開く音は聖歌隊の華やかで美しい音楽にもみ消され、誰も注目しない。
 そもそも陛下を呼ぶことは誰にも知らせていないので、当たり前の対応だ。その事を陛下にも伝えている為、特にこれといった不敬にもあたらない。

 俺は、後ろに控えていた天使に聖歌隊の元へと事情説明に向かわせた。
 天使が指揮者に接触した数秒後に、音楽が止まる。
 
 急に音楽が止まったことで貴族たちは何事かと辺りを見回す。それと同時に、俺が手を2度叩いた。

 周りの視線がこちらに注目される。陛下の姿を見た貴族達は、事情を知っている数名を除いて酷く驚いた顔をしている。
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