転生貴族の異世界無双生活

guju

文字の大きさ
上 下
108 / 136

領地運営と戦争準備⑤

しおりを挟む
 翌朝、俺の屋敷の前には凡そ30程の魔法士が集まっていた。
 屋敷を管理させている天使の者達の案内を受けながら、受付を済ませて庭に並んで貰う。

 俺は、屋敷の窓からその様子を眺める。

「この調子なら、夕暮れまでには作業が終わりそうだな。スーリヤ、魔力回復魔法薬の準備は整っているか? 」
「はい、ご主人のご要望通り150の魔法薬を用意致しました」
「そうか、ご苦労。じゃあ、それを馬車に積んで一足先にスラムに運んでおいて」
「了解致しました」

 スーリヤは、後ろに控えさせていた自らの部下に積み上げられた魔法薬を担がせ、部屋から退室して行った。

 この魔法薬は、その名の通り魔力を回復させる薬だ。遠慮なく魔法を使ってもらうために、こちらで用意したもの。

 さて、次は……。

 俺は、ネメスに念話を繋ぐ。

<ネメス、様子はどうだ? >
<主様、特に何も無いですね。人もいませんし、罠等も見受けられません>
<そうか、なら、人数を増やしてスラム本拠の見張りを行ってくれ>
<分かりました、中位デーモンを20程を使い、厳重に監視致します>
<よろしく頼む>

 それを最後に、ネメスからの念話は途切れた。

 ネメスには、スラムの者の中に反発したものが居ないかを確認してもらっていた。
 俺の想定では、恐らく何件かの抗議なり暴動が起きると予想していたのだが、当日まで――と言っても1日だが、直ぐに動きがあると踏んでいた。

 だが、それは外れた。もしかすれば、潜伏しているかと思い、当日の冒険者たちの安全確保のためと、作業に影響が出ないようにスラムを詮索させたが……。

「スラムのヒエラルキーはあの首領が絶対なのか? 」

 少しは活気があると思っていたが、どうやらスラムの者達を買いかぶっていたようだ。
 これなら、さほど甘くない飴をやっても成り立つだろうかな。

 あとはキウンか。

<キウン、少しいいか>
<主、どうした? >
<うん、奴隷商に行ってめぼしい人間を買い漁ってきて欲しい。数は、そうだな……。10程、最低でも読み書きを出来るやつにしてくれ>
<了解した。だが主、人に化けるとなれば、主の元には殆ど残せないぞ>
<構わん。今日は街から出るつもりもないし、傍にはスーリヤがいる>
<そうか、ならば安心か>
<頼んだ、値段は気にしなくていいから、これで適当に>

 俺は、相手もボックスから白金貨が2枚入った袋を机の上に置く。

 キウンは、俺の袖から少しづつ現れ、それは段々と人の形を型どる。 

 キウンから聞いていて、服は再現できないと知っていた為、屋敷の人間と分かるように紋章を入れて、それなりの立場と示せるように執事の服を用意しておいた。

 キウンは、そのを通しながら人となった。
 元の毛並みのように白い髪に、元の目のように赤い目。
 背丈は俺と同じ程度だ。

「主、では行ってくる」
「おう、頼んだぞ」

 彼は、転移魔法を発動して、瞬時に部屋から消えた。

 さて、そろそろ冒険者たちの受付は終わっただろうか。
 個人の名前、ランク、使える属性と魔法を確認するために、それらを全て紙に書かせた。

 今回の作業としては、まずは土属性魔法の魔法でスラムにある一角の――と言ってもそこそこに広いが、その1部を解体して貰う。そして、風属性魔法の保持者にはその際の塵や砂埃等を大通りに撒き散らさないようにする役目と、軽いものを吹き飛ばして1箇所にまとめてもらう。
 そして、火属性魔法の使用者には、木製の建物やら、置き去りの布やらを全て燃やしてもらう予定だ。

 そして、その土地に作るのは、恐らく半分 永久的にこの街の資金源となり、街の観光名所ともなる予定の大きなカジノだ。
 以前、カードを用いたゲームを販売しようと考えていたが、世界中にばら撒くよりも、この領内でしか楽しめない。と、そういう希少性を持たせることにした。

 そうすることで、客足も増え賑やかとなり、資金の確保にもなる。
 あとは、ここの管理の1部にスラムのものを参加させ、利益のいくらかをスラムに流す。これが、アメとなる部分だ。

 これで、この街は更に広くなる。
 カジノで手に入れた資金で、更に街を発展させる。

 商業、工業、農業。その全てにおいて、この街が有数の力を持てるまでには、繁栄させる。
 それが、このカジノ計画。

 この計画こそが、この街を王都一、いや世界一にするための、第1歩だ。
しおりを挟む
感想 83

あなたにおすすめの小説

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

異世界営生物語

田島久護
ファンタジー
相良仁は高卒でおもちゃ会社に就職し営業部一筋一五年。 ある日出勤すべく向かっていた途中で事故に遭う。 目覚めた先の森から始まる異世界生活。 戸惑いながらも仁は異世界で生き延びる為に営生していきます。 出会う人々と絆を紡いでいく幸せへの物語。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

チャリに乗ったデブスが勇者パーティの一員として召喚されましたが、捨てられました

鳴澤うた
ファンタジー
私、及川実里はざっくりと言うと、「勇者を助ける仲間の一人として異世界に呼ばれましたが、デブスが原因で捨てられて、しかも元の世界へ帰れません」な身の上になりました。 そこへ定食屋兼宿屋のウェスタンなおじさま拾っていただき、お手伝いをしながら帰れるその日を心待ちにして過ごしている日々です。 「国の危機を救ったら帰れる」というのですが、私を放りなげた勇者のやろー共は、なかなか討伐に行かないで城で遊んでいるようです。 ちょっと腰を据えてやつらと話し合う必要あるんじゃね? という「誰が勇者だ?」的な物語。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

処理中です...