転生貴族の異世界無双生活

guju

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大進行⑧

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そよ風が朝独特の冷たい空気を洞窟内に送り込む。その風に当てられて、アルトは目を覚ました

洞窟内で夜を過ごすのは今日で2日目、流石に岩場に毛布1枚敷いただけの場所で寝るのは、体が痛くなる

首を横にたおし、ポキポキと音を鳴らす

「あら、ご主人様。おはようございます」

骨を鳴らす音を聞いて、スーリヤ俺が起きてきたことに気がついたようだ

「あぁ、おはよう。2人は?」

「ネメスとキウンは狩りに出掛けてます」

「そうか」

なんとも準備がいい事だ。指示しなくても行動してくれる……優秀な従者に恵まれたな。

「ご主人様、コーヒー、お飲みになりますか?」

「頼むよ」

俺は、被っていた毛布を肩にかけ、焚き火の方へ移動する

「どうぞ」

「ありがと」

淹れたてのコーヒーをスーリヤから受け取り、1口飲む。

あったかいコーヒーは少し甘く、ポカポカと体を芯から温めてくれる

さて、突然だがこれからどうするかを決めなければならない。流石にこのまま洞窟暮らしという訳には行かないだろう

あてが全く無いわけではない。2箇所ほど心当たりがある

まず1つは、フルム魔王国だ。

反魔王派閥を解体させたのだ、こちらがお願いをすれば応じてくれるだろう

だが、正直魔王国に身を寄せるのは本当の最終手段だ

2つ目は陛下を頼る

父様の親友であり、事の経緯も説明し易い。ガイアもいるし、少しは力になってくれるだろう

って……

俺はいつからここまで人を当てにするようになったのか……

ほんの数ヶ月こっちで生活して、本の数週間で色々と大変なことがあって

俺も変わったな

「ご主人様、何かありましたか?」

アルトの頬は自然と緩んでいたようだ

「いや、変わったなと思ってな」

「そうですね、変わりましたね……」

スーリヤは少し悲しんでいるようだが、俺にとっては何も悪いことばっかりじゃ無いんだよな……

いや、悪いことばかりか

「とりあえず、今日は王都に行って陛下に直談判しに行くか」

「火鳥」

アルトが魔法を使うと小さな赤い魔方陣から火の鳥が姿を現した

これは火属性Eランク魔法の火鳥

主に伝書鳩として使用され、炎の鳥が伝書を持ち相手のところまで届ける。

だが、この鳥の便利なところは、少しでも襲撃を食らうと、伝書を燃やして消えてなくなるので、情報が漏れる心配がない。勿論、その鳥が役目を果たさず消滅すれば術者に伝わる。

アルトはアイテムボックスから万年筆と紙を取り出し手紙を書く



ーーーー

拝啓

風に揺れる紅葉に風情を感じる爽秋の候。

陛下におかれましては、ますますご健勝の事とお喜び申し上げます

この度は魔王国への書状、誠にありがとうございます。
陛下より授かった書状あって、何ら問題が生じませんでした。

そして、今回、その件につきまして陛下に直接ご報告をしたく存じますが、現状一家で赴くことが出来かねます。それ故、このような形になってしまいました。何卒、御容赦ください。

つきましては、この手紙に私、アルトの魔力を込めて起きますので、お手数をお掛けしますがお返事を頂けると幸いです。

末筆ながら、陛下のいっそうの御活躍を心よりお祈り申しております。
季節の変わり目ゆえ、くれぐれもご自愛くださいませ。

敬具

トールス王国国王陛下

            バーズ・メン・トールス 様

ーーーー

数十分で手紙を書き終えたアルトは、先程の火鳥に手紙を持たせ、空へ羽ばたかせた


それにしても、前世で父の変わりに色々な会社の人に手紙を書いて送っていた事がここに来て役に立つとは……

ほっと一息ついたアルトは、コーヒーを飲んだ

どうやろその間にネメス、キウンが帰ってきていたようで既にスーリヤが肉を捌き、串に刺して焼いていた。

まさかこのような事になるとは思ってもいなかったアルトは、アイテムボックスにパンなどの食料を保管している訳もなく、ココ最近は山や森から採取した果物や、魔物などを狩って肉をべている

「主様、誰にお手紙を?」

俺が書き終えるのを待っていたのだろう、ネメスが問いかける

「あぁ、流石にこのまま洞窟生活はおくれない。だから陛下へな」

「そうで御座いましたか。では、王都へ?」

「あぁ、飯を食ったらすぐに向かう」

「了解致しました。御用意をしておきますね」

俺達は肉を食べ、直ぐに洞窟を後にした

辺境伯領から王都までは馬車で凡そ2週間程度。徒歩であれば1ヶ月はかかってしまうであろう。

火鳥が陛下の元へ着くのは大体今日の日が沈む頃。最終的には転移で飛ぶのだが、昨日使用した魔法のせいで、まだ体力が完全ではない。恐らく明日にならなければ転移も使えないだろう

それに、距離が離れればそれだけ魔力を使う。せめて今日までに半分とまでは行かずとも、それに近い距離は進んでおきたい

ということで、俺はキウンに跨り、ネメスとスーリヤは以前作った異空間に入り、かなりのスピードで進んでいる

流石キウン、皇狼と言った所だろう。恐らく時速150キロは余裕で出ているだろう。

俺に負担がかからないように、恐らくまだ出るであろうスピードを出していない。

それでもここまで早いのだ。時間については問題ないであろう

その後、特にトラブルが起きることも無く日が傾き始めた頃には、既に王都までの距離は半分を切っていたのであった



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手紙の書き方等については、ネットを使ってなるべくそれっぽく見えるように調べて書いたので、多少、いや、かなり変でも暖かい目で見てください



あと「絶対神のお散歩録」という新作を公開しました。

ぜひ、呼んでください
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