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旅と料理と……

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「ルーシェ、料理出来るか? 」

唐突に聞かれたルーシェは少し反応が遅れた。
何故そんな事を聞くのだろうか。そんな事を思っているのだろう。

「いや、俺はできんです」
「そうか」

ゼロはそれだけ言うと、手に持っていた本に視線を戻した。

「でも、なんでそんな事を? 」
「旅の途中で誰が料理するんだ。出来なければ困るだろう」

そう言ってゼロはルーシェに視線を写す。ルーシェはなにか不思議そうな顔をしていた。

「ま、マスター? 旅では普通料理なんてしませんよ。干し肉や乾燥パンを食べるのが普通です」
「何故だ? そんな旅等面白くなかろう」
「鍋とか、生物とか持ち運べねぇからですよ。そりゃ皆料理の方が食べたいでしょうが」

そうか、そう言って納得したかのように本に視線を戻した。

ルーシェは、何がんなのかまだよく分かってはいないようであったが、直ぐに切り替えて1人小さな版で何かの続きを始めた。


「奴隷……か」

ゼロは小さく呟く。その声は、ベッドを1つほど開けて何かをしているルーシェにも届かない。

ゼロが手に持っている本にはこう書かれていた。

<亜人種の奴隷差別>


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