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「ほな、遠慮なく行かせてもらいますで」

赤髪の男は1歩で数メートルの距離を詰めると、その勢いのままその大きな鎌を上から振り下ろす。

絶対神はそれを後ろに反って避ける。

鎌の刃が地面に到達すると、そこを中心として半径30センチほどの大きなクレーターができた。

「ほぉ、これは凄いな。馬鹿げた威力だ」

「だろぉ? この鎌の重さは500キロあるんでなぁ、所持者以外は持てんのや」

得意げな顔でそう言うと、更に踏み込み、上から、下から、横からと連続で切りかかってくる。

本来鎌の刃が大きく切りかえそうにも重くて少し遅くなるはずだが、流石といえばいいのかその馬鹿力と鎌の特性により、目にも止まらぬ早さで鎌を扱えている。

「速いな。これ程までに強いとは驚いた」

「勘弁してくれや、この鎌を余裕で躱しきる兄ちゃんの方が強いですやろ。俺じゃ勝てんですわ」

あっさりと降参した彼は、鎌を背中に背負う。

「やけど、こっちも兄ちゃんみたいなやつタダで野放しには出来んのですわ。悪いですけど、うちのギルドまで来てくれんですかな?」

ふむ、ギルドはおそらく街の近く、少なくともその付近にはあるだろうな。
このままわからぬ道をのんびり進むのもいいが、素直に着いて行った方が面倒事にならなくても済みそうだ。

「分かった。其方に着いていこうぞ」

「そうか、助かります。では早速、向かいましょか」

そう言って歩き始めた男に俺はついていく。

暫く歩いただろうか、道中特に問題なく他愛のない話をしながら歩く。
そんな時、ふと彼は言う。

「そういや、自己紹介してなかったな。俺はルーシェ・アルトリアだ。兄ちゃんは?」

名前か……何も考えていなかったな。

我は絶対神であり、他のものからもそう呼ばれていた。
そもそも神に名前など無い。

「なんや兄ちゃん、名前教えてくれんのですかい?」

「あぁ、いや。我の名前はな……我はゼロ。
ゼロ・ルシフェルだ。」

「ゼロ・ルシフェル。俺に圧勝したものの名前。一生忘れへん。よろしくな、ゼロ」

そう言って差し出された右手を、絶対神……いや、ゼロは握り返した。
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