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一章
我が子の為に
しおりを挟むアリスティアは今まで起こった事、産まれた娘が白銀の髪だった事、クリスの現状など全て話した。
「そんな事が…。ならば私の本当の孫娘は…。」
「はい、生きていれば良いのですが…。」
「ああ…。」
皇后は気を失いそうだった。
「白銀の髪とはいえ迫害されておったのは確かじゃが、今ではそれも緩和しつつあると言うに…我息子ながら頭が硬い。すまなかったなアリス辛かっただろう。」
「いいえ、産まれた我が子を見て気を失ったのは事実です。私にも罪がありますわ。」
「だからと言って捨てるなど!正当な我王家の者です!」
皇后は憤慨した。
我が子を捨てられ、愛人の子を育てる苦痛は如何程かアリスのことを思うと胸が張り裂けそうだった。
レオンとカノンは黙って話を聞いていた。
「探すことは出来るがその結果がどうあれアリスは受け入れられるか?」
「はい、私は公爵夫人ですが1人の母です。もう目を逸らす事はありません。」
「ふむ、レオンとカノンもいいんじゃな?」
「はい、俺はクリスが嫌いです!」
「僕達は本当の妹に会いたい!」
「あい分かった。娘の名は?」
「クリスはクリスの母が名付けた名です。本当はルイーザと。」
「ルイーザかいい名だ。暫し待て。」
追跡魔法を使う間誰も話す事は無かった。
暫くして前国王が声を上げた。
「何と酷い!幼子をあんな所へ!良いかアリス、この事は他言無用だ。」
アリスも双子も黙って頷いた。
それを見て前国王は話し始めた。
「結果から言おう、ルイーザは生きておる。」
「本当でございますか⁈」
「「本当?」」
「それにこの世界を作った創世神様の加護を授かっておる。」
「まあ!そんな子を捨てたと言うの!なんて愚かな息子かしら!」
「お祖父様!ルイーザは何処にいるの⁈」
「追跡はチャールズが崖に置いた所までしか出来んかった。そこから忽然と気配がなくなってしまった。」
「そんな…。」
アリスは溢れる涙が止まらなかった。
ルイーザは何処に消えてしまったと言うのか?
「只、生きておるのは間違いない。しかし、儂の追跡魔法で追えないとは…。」
そこに急に眩しい光と共に2人の美しい男女が現れた。
光がなくなるとそこに佇む男女に息を飲んだ、人間離れした美貌だったからだ。
『待てと言ったではないか!』
『だって我慢できなかったんですもの!』
急に始まった痴話喧嘩に一同ポカンとする。
『だからと言って…。』
『好き勝手言って黙っていられて?私は出来ないわ!オーリが可哀想よ!』
そう現れたのはオリジンとそれを追いかけたスルトだった。
水鏡で見ていたオリジンが暴走したのだ。
『すまない、驚こせたな。』
周りの空気を察したスルトが謝罪した。
『失礼しますわ、私オーリの母のオリジンです。こちらは父のスルト。』
「して?そのオーリとやらのご両親が何用か?」
『大有りですわ!勝手に捨てておいて今更探して何がしたいのかしら?あの子の気持ちを考えた事があって?』
一同話が見えず困惑する中、皇后だけが口を開いた。
「失礼致しますわ、高貴な精霊様とお見受け致します。もしやルイーザの事を仰られているのではありませんか?」
皇后の血筋は元々巫女だった、故にオリジン達が人では無いことを本能で感じていた。
『ルイーザ何て呼ばないで頂ける?あの子はオーレリア、私とスルトの娘ですわ。』
『オリジン、ちゃんと話さなければ伝わらん。怒るのはその後で良かろう?』
良くない!とは思ったが2人の席を追加して話が始まった。
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