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一章
中身は大人、体は赤子の城生活
しおりを挟むそれから私は母のオリジンのお城で暮らす事になった。
私の部屋はママの隣、専属の侍女精霊も着いて部屋の前には護衛まで居る。
まるでお姫様な待遇に生後数ヶ月であろう私は不安にしかならなかった。
「アブゥ~…。」
『あら?どうしたの?』
ママに抱かれて溜息を吐くと私は不安をママに聞いてもらった。
『オーリちゃんは不安なのね?貴女の魂を追って見たのだけど…辛かったわね?私なら耐えられないわ?貴女は頑張った、とても偉いわ。』
そう言って優しく頭を撫でられた私の涙腺は豪快に決壊した。
「ふ…ふぇーーーーーーーーん!」
『お泣きなさい。オーリちゃんは我慢しすぎよ?これからはママとパパに甘えて良いのよ?』
そう、私は労いの言葉が欲しかった。
優しい言葉を掛けて欲しかったんだ。
最後は辛い事ばかり、記憶にあるのも酷い事ばかりだった。
散々泣いた私はママから母乳を貰いながら眠ってしまった。
『オリジン様?姫様はお眠りに?』
『ええ、泣き疲れて眠ったわ。』
『ではベットに。』
『いいえ、もう少しこのまま。』
『畏まりました。』
そういって下がる専属侍女のフィーは風の精霊だ。
『オーリが来てこの城はとても賑やかになったわね?』
『はい、皆姫様が可愛いのです。私もですが守ってあげたいとそう思って居ります。』
『ふふ、毎日が楽しいのもオーリちゃんのお陰ね?フィー?オーリちゃんはとても辛い目にあって来たの。だからね、私はオーリちゃんの為なら何でもしてあげたい。オーリちゃんに害成す者は許さないわ。たとえそれが神でもね?』
『オリジン様、それは我々も同じ事を思って居りますわ。』
『ありがとう。オーリをお願いね?私はスルトと話をしてくるわ。』
『お任せ下さい。』
オリジンはオーリをフィーの任せるとその足でスルトの元へ向かった。
このクリスタルで出来た城はとても大きい、精霊達は転移を使って移動する。
『スルト?ちょっと良いかしら?』
『ああ、問題ない。』
スルトは難しい顔で水鏡を見ていた。
『オーリの事か?』
『そうなの、あの子とても不安みたい。今までが今まででしょう?』
『うむ…。』
スルトも苦い顔をした。
『オーリがここに来てもう40日、もうオーリはこっちの環境に適応して来てるわ。こんな短時間で凄い事よ?』
『やはりか…神は何を考えて居るのか?我はオーリが不憫でならない。』
『大切にしましょう、オーリは私達の宝よ。』
『我はオーリの父に…良いパパになれるだろうか?』
『何言っているのよ?貴方が初めてオーリをここに連れて来た時の貴方の顔、鬼気迫るものがあったわ。必死だったのでしょう?』
確かに必死だった自分を思い出す。
普段なら見向きもしない人の子だった、気まぐれと言えばそれまでだがあの時は助けなければと思った。
『魂に惹かれた、オーリの魂は不思議なのだ。』
『それは私も思ったのよ、でもどうしてかは分からないのよね。オーリの瞳、まるで宝石みたいでしょ?オパールみたいにキラキラして虹色に光るの。それに創世神の加護も気になるわ。前例が無いもの。』
『こんな時にオリジンの姉がいれば良いのだがな。』
『マクスウェル姉様?姉様は奔放だから…。』
無の精霊マクスウェル、無から最初に作ったのが始源の精霊オリジンだった。
それからオリジンはマクスウェルを姉としたって居る。
『呼んだ?』
『マクスウェル姉様!』
『やぁ、面白い話を聞いてね?オリジンに子が出来たって?』
『精霊王まで…暇なんですか?』
『ちょっとスルト辛辣!私はマクスウェルを愛しているからね。どこでも着いて行くよ?で?その子は何処?』
キョロキョロする精霊王にスルトは眉間を押さえた。
精霊に結婚の概念は無いが精霊王ユグドラシルとマクスウェルの相思相愛は精霊界では有名である。
『部屋で眠って居ますわ。』
『では移動しよう。稀有な人の子なのだろう?』
『ええ…過酷な人生を歩んで来た子です。こちらですわ。』
オリジンは全員をオーリの部屋へ転移させた。
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