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一章
始源の精霊オリジンと終末の精霊スルト
しおりを挟む『まさか私に子が出来るなんて、夢かしら?』
オリジンは愛しそうに腕の中で眠る赤子をみつめた。
精霊は眷族は居ても子を成すことはない、オリジンは我が子に憧れていたのだった。
『子なら眷属が嫌と言う程おるであろう?』
『あら、眷属と我が子は違くてよ?』
『その赤子もお主の子ではなかろうが…。』
スルトは呆れた顔でオリジンを見た。
しかし、助けた反面何も言えない。
それに古き友人のオリジンの子を見る顔を見てしまっては本当に何も言えなくなってしまった。
『ならば私の加護と名を与えましょう。私は始源の精霊この子との出会い、この子の人生に幸があらん事を願って。スルト?貴方も一緒に考えてくれるかしら?私と終末の精霊の貴方から愛される子なんて最強よ?それにこの子の瞳を見て此処に連れて来たのでしょう?』
『そうだ、このまま人間に見付かればこの赤子は…。』
『わかっているわ、それ以上は言わないで頂戴。胸糞悪いですわ。』
私は始源の精霊オリジンと終末の精霊スルトに育てられる事になった。
『そうですわね…この子の名は…。オーリよ!オーレリア!どうかしら?』
『我は構わん、オリジンが良いなら決まりだ。』
『まぁ!嬉しいわ!オーリ、貴女はオーレリアよ?』
私が寝ている間に名前まで決まった。
何だか今回の転生はいつもと違う?今までは必ず母から生まれる所から始まった。
ー愛しい子、起きなさい。
「ん?」
ー今世は幸多からん事を願っています。
「神!あんた良い加減にしてよ!もううんんざりなのよ!何回転生させるのよ!今回だってどう言うつもり?捨て子?あのまま死んでたらまた転生って訳?冗談じゃないわ!」
ー愛しい子落ち着くのです。
「落ち着けるかあああああああ!」
ー今世は貴女を守護する者が居ます。後は貴女の好きな様に生きるのです。
私も見守っています。
「期待なんかしてないわよ。何回悲惨な死に方をしてきたと思うの?何も信じられないわ!」
ー今世も頼みましたよ、愛しい子。
「人の話聞きなさいよ…。」
ここで私の意識は覚醒し始めたのが分かった。
温かい、凄く綺麗な声が聞こえる。
子守唄?何だろう懐かしい様な…悲しい記憶?
『起きたのオーリ?』
オーリ?
『起きたのか?お主の名はオーリ、オーレリアだ。心で話せるな?』
ー私はオーリ?
『まぁ!可愛らしい声ね!私はオリジン、今日からオーリの母親よ。ママって呼んで頂戴?』
ーママ?私はどうなるんですか?
『他人行儀は嫌よ?敬語なんか使わないで?ね?オーリ?』
うっ!何か笑顔が怖い。
ーうん、ママ。
『今は先の事は考えずにスクスク育ちなさい。ここの事も自分の事もだんだん知って行けば良いわ。』
やっぱり何かあるのか?あの神の事だから何か今世もあるとは思っていたけど。
兎に角!今は赤ちゃん、早く大きくならないと!
そんな決心を密かに決意してると何か騒がしくなってきた。
『何だ?騒がしいな?』
『城の外かしら?』
『オリジン様ー!御子が出来たとは本当ですかー!』
ワラワラと精霊達が入って来た。
私が驚いていると、オリジン事ママが私の紹介を始めた。
『そうよ、子のこが私の子。オーレリアよ?皆んなもオーリを宜しくね?』
『オーリ!』
『『『『オーレリア様!!』』』
ワイのワイのと無数の精霊達がオーレリアを祝福した。
オーレリアはそれはそれは精霊達から可愛がられる事になる。
姫様と呼ばれオリジンとスルトに精霊達に溺愛される事となった。
出だしは捨て子だったが何だかんだ順調な事にオーリは少し不安を覚えたのだった。
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