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序章 私は日下桜。
落ちた先に…、
しおりを挟む「公爵閣下!!こ、これは…。」
「騒ぐな。」
私はルイス=ディ=リシャールこのウェールズ王国が四公が一人。
王国第一騎士団団長を務めている。
因みに独身だ。
今の状況は…私の腕に急に幼女が降ってきた…と言う表現が正しいのだろう。
「兎に角、この子は私が預かる。」
今日は王都の外れの村に魔物の群れが出たと討伐に来ていたが、まさかこんな事が起こるとは。
この娘、見たところ4.5歳位か?
不思議な服を着ていて…正に言い伝え通りだな。
「アルフ。」
「はい、閣下。」
「直ぐに王都に連絡を、神の落とし人が我が国に降臨されたと内密に伝えるのだ。」
「お!おと…ゴホンっ!承知致しました。」
流石のアルフも動揺したな。
アルフレッドは私の側近、信頼出来るやつだ。
さて、どうしたものか…他国の落とし人の噂は聞いた事があるが、皆成人していたと聞く。
◆
神の落とし人…。
数百年に一度何処かに現れる不思議な存在。
神に愛され、この世に存在する数多のものに愛された存在。
落とし人が降臨した国は栄えると聞く。
落とし人の存在自体が国を繁栄に導く。
我が国に降臨された落とし子様がまさかこんな小さな子だとは…。
問題は、聖教だ…聖女を崇め奉る宗教。
落とし人の事を知れば何としても聖女として欲するだろう。
守らねば…聖教はきな臭い噂も聞く。
「落とし人様、粗末なベットですが暫し此処でお休み下さい。」
落とし人様を寝かせるとその小さな手が私のマントを掴んだ。
「ママ…。」
夢を見ているのか、長い睫毛の隙間から涙が落ちた。
こんなに小さな子、自分の置かれた状況を知ったらどう思うのだろうか…。
まだまだ親が恋しい事だろう、私はこの子に何をしてやれる?
「はっ!」
此処で我に返った。
俺は今何を考えた?
この子の為に何が出来るか…?
氷血の公爵と呼ばれる俺が?
「陛下のお許しが出れば、養女に向かえては如何でございますか?」
「ビューズ、気配を消して私の心を読むな。」
こいつはビューズ、私の専属執事だ。
「大体、私が子供など…。」
「そうでございます。公爵様はもう27だと言うのに嫁も娶らず、社交界では氷血の公爵などと不名誉な字名まで付くけられる始末。もう貴方様の代でリシャール公爵家は終わりなのではと心を痛める私共の気持ち…。」
「わ、わ、分かった!もう止めてくれ!!」
確かに27にもなって浮いた話の一つも無いわたしだが!!
「いいえ、言わせて頂きます!余りに女性に興味を示さない旦那様に、使用人達から旦那様は男色ではと噂が立つ始末…私は悲しくて悲しくてオヨヨ…。」
「わ、私とて女性に興味が無いわけでは無い!!」
「ん…」
「馬鹿者!!起きてしまわれたでは無いか!!」
落とし人様は目を擦りむにゃむにゃすると私のマントを掴んだま私を見上げた瞳に目を奪われた。
「パパ?」
パパああああああああぁぁぁ?!
可愛い!実に愛らしい!!
何だあの瞳は、この世界には無い色…漆黒の大きな瞳。
「旦那様、盛大に悶えている所失礼致します。何かお声掛けを。」
はっ!こいつ…何故俺が内心悶えていた事が分かるんだ!!
「ゴホンっ!お目覚めですか?」
「ふぇ?お兄さん誰?」
ふおぉぉおおお!!そんなに見詰めないでくれぇぇえ!!
「私はウェールズ王国第一騎士団団長のルイスと申します。お名前を伺っても宜しいですか?」
「お名前?」
う~んと悩み出す落とし人様。
「どうかされましたか?」
「ママに…知らない人にお名前教えちゃ駄目よって言われてるの。」
シュンっとする落とし人様…ああああああああぁぁぁ可愛い!!
「それでは、私はルイスと名乗りましたのでもう知らない人ではありませんよ?」
「本当に?」
「はい、騎士の誇りに誓って。」
「私は桜!日下桜!」
「サクラ様、可愛らしいお名前ですね?」
名前まで可愛らしいとは!
落とし人とはこの様なものなのか!
「ここどこ?ママは?お兄ちゃんは?」
「ここは…。」
家族の事か…事実を伝えるには幼過ぎで酷だ。
落とし人は他の世界からやって来て戻る事は叶わないと聞く。
この子はもう家族とは…。
「旦那様、おそらく事実を話しても…。」
「理解は出来ないか…。」
私は出来る限り分かりやすく今の状況を話して聞かせた。
とても聡明な子の様で私の言う事を理解して行った。
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