上 下
27 / 37
第1章 出会い

25. 説得失敗 ※

しおりを挟む
「ねぇ、オレの子を孕んでよ」

「…それは、どういう…」

「そのままの意味だよ。オレの子供はさ、同じ白髪を持って産まれてきそうじゃん。でもさ、相手がアンタみたいな黒髪だったらどうなるかな?白黒の頭して生まれてきたら面白いよね」

この男は何を言っているんだろう。
面白いって何が?冗談みたいな話だ。
でも、この男は本気だ。今も俺の服を着々と脱がしている。

「…っ、いやだ…」

アンタがその気にさせたんだよ?さっき、オレのこの忌々しい白い髪を綺麗って言ったじゃん。それでオレ、これは運命だと思ったんだ」

それで何故子供を作るなんて発想になるんだ。この男、普通じゃない。

「あの騎士団長とはもうシたの?窓の外からキスしてるとこ見えてたよ。そういう仲なんでしょ?」

「リベルトとは…そういうのじゃない」

まだ、付き合ってない。俺が気持ちを伝えてないから。あの時、もっと早く自分の気持ちに気づいていればこんなことにはならなかったかもしれないけど、今そんなことを考えてももう遅い。

「あ、そうなの?あの騎士団長はさ、金髪で魔法もろくに使えないくせに強くてズルいよね~やたらチヤホヤされてるのもムカつく」

始めはこれまで虐げられてきて、今も危険な仕事をしてる可哀想な人だと思った。でも、そうじゃなかった。

「リベルトのこと、何も知らないのにそんなこと言うな」

リベルトは騎士団長としての仕事が忙しいのに、毎日朝早くに起きて団員達と一緒に鍛錬してる。それに、リベルトがみんなに慕われているのは、リベルト自身が強くて優しい、頼りになる騎士団長だからだ。

「リベルトは、あなたと違って自分を卑下したりしない。欠点があったとしても、それを隠してもまだ有り余るくらいの長所があって、努力も怠らない」

「へ~そんな風に庇うんだ。面白くないな」

この男からずっと感じていた違和感。
恨んでいるという割にはそんな感じがしなかったのは、この男自身、全てを諦めてしまっているからだ。こうなると、いくら周りに良い人が居たとしても、気づくことすら出来なくなる。

俺も、これまで自分に恋愛なんか出来ないと思いこんでいたせいで、自分からチャンスを逃していたと今になって気づいた。最初から決めつけて諦めていたら、幸せは逃げてしまうんだ。

「…1番差別をしているのは、あなた自身じゃないか」

これを自覚しないと、この人はずっとこのまま変わることが出来ないだろう。

「…………」

「まだやり直せる、だから…」

こんなことはやめて、もっとちゃんとした仕事をした方がいい。そう言いかけて、自分の考えが甘かったことを思い知らされた。

「…はは、そんなにやめてほしい?オレにそんな風に言ってくれた人はアンタが初めてだよ。でも、だからってやめないよ?」

「…っ、どうして…」

「むしろ、ますます興味が湧いちゃった。」

男はそう言って、キスをしてきた。
俺はすぐに顔を離そうとしたが、男が頭の後ろを掴んで固定してきて、逃れられない。

「…っ!」

さらに、驚いて口を開けてしまった隙に、男の口の中から錠剤のようなものが入ってきて、そのまま飲み込んでしまった。

毒だったらどうしようと、顔面蒼白になった俺に、男は淡々と告げた。

「安心してよ、ただの気持ちよくなれる薬だから。即効性だからもう効いてくるよ」

そう言われすぐに、身体が異常に熱くなってきた。それにアソコがじんじんして痛くて、何だかお尻もムズムズしてきた。

「…はぁはぁ…なに、これ…」

「めちゃくちゃデカいおっさんにも効くやつだから、アンタにはちょっと強すぎたかもね~」

男が慣れた手つきで俺の胸元を指で撫でると、全身に電流が走ったようにビクビクと勝手に身体が跳ねた。

「……っ、ぅあ!」


「おお、すごいね~じゃあ、次ここ触ったらどうなっちゃうんだろうね?」

そう言って男は、胸元で既に硬く立ち上がってしまっているピンク色の突起へと手を近づけてきた。



ーーーーーーー
次回しっかりR18です。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移したら豊穣の神でした ~イケメン王子たちが僕の夫の座を奪い合っています~

奈織
BL
勉強も運動もまるでダメなポンコツの僕が階段で足を滑らせると、そこは異世界でした。 どうやら僕は数十年に一度降臨する豊穣の神様らしくて、僕が幸せだと恵みの雨が降るらしい。 しかも豊穣神は男でも妊娠できて、生まれた子が次代の王になるってマジですか…? 才色兼備な3人の王子様が僕の夫候補らしい。 あの手この手でアプローチされても、ポンコツの僕が誰かを選ぶなんて出来ないです…。 そんな呑気で天然な豊穣神(受け)と、色々な事情を抱えながら豊穣神の夫になりたい3人の王子様(攻め)の物語。 ハーレムものです。

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

モブに転生したはずが、推しに熱烈に愛されています

奈織
BL
腐男子だった僕は、大好きだったBLゲームの世界に転生した。 生まれ変わったのは『王子ルートの悪役令嬢の取り巻き、の婚約者』 ゲームでは名前すら登場しない、明らかなモブである。 顔も地味な僕が主人公たちに関わることはないだろうと思ってたのに、なぜか推しだった公爵子息から熱烈に愛されてしまって…? 自分は地味モブだと思い込んでる上品お色気お兄さん(攻)×クーデレで隠れМな武闘派後輩(受)のお話。 ※エロは後半です ※ムーンライトノベルにも掲載しています

親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺

toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染) ※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。 pixivでも同タイトルで投稿しています。 https://www.pixiv.net/users/3179376 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/98346398

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️ 第12回BL小説大賞に参加中! よろしくお願いします🙇‍♀️

モブ男子ですが、生徒会長の一軍イケメンに捕まったもんで

天災
BL
 モブ男子なのに…

処理中です...