騎士団長の秘密

交際31日目 嘘はすぐわかります

「おせぇ！！！
おいっ！ケンキ！3時間もなにやってた。」


普段、リオーネ団長の無茶ぶりを「まぁまぁ」と諌めてくれる優しいポーラールは一体どこへ……

駆けつけた３人の部下たちは、その剣幕にポカンとマヌケ面を晒している。


「えー？おせえと言われましても……僕ら見回りしてたらポーラール副団長と複数の男の匂いがしたんで、何事だろうとこちらへ来た次第でして……。」


「はっ？男からここに来るよう言われたんじゃないのか？」


「いや、言われてないですね。」


どういうことだ？
見回りの騎士がどこにいるかなんて、そこらの奴に聞けばすぐ分かるはずだ。


(じゃあ、あいつは一体どこいったんだ？)


怪しい……
めちゃくちゃ怪しい……

よくよく考えれば、ミーシャみたいな貴族のお嬢様が男の従者と二人で出かけるわけがない。
最低でも侍女を伴うはずだ。

(なんで気が付かなかったのか……)


「……ミーシャさん、この賊どもとグルでしょ。」

射殺さんばかりの強い視線でミーシャを見やる。

「なっ、なに言ってるのよ！
そんなわけないでしょ！」

「じゃあ、こんな時間に隣町に何のようだったんすか？
男の従者と二人きりで。」


「っ、違うわ！
と、隣町から帰って来るとこだったのよ。
そうよ!!侍女は具合が悪そうだったから隣町の医者のところに置いてきたの。」


ミーシャは見るからに焦っている様子だったが、その口からもっともらしい言い訳を告げる。


「えっ、でも僕今日あなたのこと見回り中見ましたよ？
大通りにある貴族御用達のカフェでお茶飲んでましたよね？」


ケンキと言う名の犬獣人の部下は、状況がイマイチ掴めてないのか、「なぜそんな嘘を」と不思議そうに言った。