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41 憎悪の根源
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怒りを抑え切れない様子で立ち上がった秋川さんは、挙動不審な様子の社長に向かって言った。
「社長。いつまで真山に好き勝手させてるんですか」
「秋川……」
ツカツカと社長の前まで進むと、それでも必死に歯を食いしばりながら激情に耐えている様子を見せる。握り締めた拳は爪が白く食い込み、ブルブルと小刻みに震えていた。
「社長が真山と出来てようが、僕は会社を愛していたから目を瞑ろうと思っていました。だけど社長は真山を野放しにして」
そう言いながら、私の方を見る。
「本当に立川さんが月島に追い詰められて休職したと思ってるんだったら、貴方の目は節穴だ」
すると、これまでずっと遠目から見ているだけだった女性先輩社員たちも立ち上がった。
「そうですよ社長! 月島さんはいつも業務時間中は真山さんのお喋りに邪魔されて、朝早くきて何とか業務をこなしてたんですよ!」
「真山さんがまともに仕事してるのなんて、見たことないですよ! 全部立川さんと片山さんが被ってたじゃないですか!」
女性社員たちの勢いにタジタジになった社長は、目を更に泳がせる。すると、それまで静観していた片山さんが、ビールをぐびりと呑んだ後に言った。
「真山さんの仕事を全てカバーする様に俺に指示したのは、社長ですよ」
途端、他の社員も色めき立つ。口々に社長を問い詰めていくけど、社長はあたふたしてろくに答えなかった。
秋川さんがスッと手を横に伸ばすと、騒いでいた社員たちが静かになる。
「社長。言いたいことがあるなら何か仰って下さい。ないなら、僕も今日この場でこちらを提出したいと思います」
秋川さんは胸元から封筒を取り出すと、社長の前にバン、と叩きつけた。
「ちょ……っ」
封筒には、達筆な字で「退職願」と書いてある。その瞬間、社長が椅子から立ち上がり、椅子が後ろに音を立てて倒れた。
「だ、駄目だ駄目だ! 秋川がいなくなったら、回らなくなる!」
「立川さんも月島さんもいなくなると回らないんですよね。真山さんはいなくても支障はありませんが」
冷めた目で社長を見据える秋川さんの前に、とうとう社長は屈した。
「さ……っ最初はほんの出来心だったんだ! 女子高生が、整形費用を貯めたいからって出会い系で援助交際を持ちかけてきたから、調子に乗って……!」
初回にラブホテルに行った時、写真を撮られていたのだという。シャワーを浴びている内に免許の写真も撮られて、名刺も盗られていた。それに気付いたのは、何度も会って少しずつ整形をして綺麗になっていくのを喜んでいる梨花に、そろそろ火遊びは止めておこうと関係の終了を告げた時だったそうだ。
奥さんに写真送ってもいい? おうちの住所も知ってるんだよ。そう笑って言われた社長は、自分の軽はずみな行動がとんでもない自体を招いたことをその時に悟った。
それからは、ひたすら搾り取られる日々が続いた。もうそんなにお金を出せないよ。そう泣きつくと、梨花は就職先を斡旋しろと要求してきた。もう、断れる時期はとっくに過ぎていた。
「妻にばらされたら、子供に軽蔑されたら……そう思うと、怖くて」
「結果、貴方の会社は滅茶苦茶になってますけどね」
「……すまない」
では、と秋川さんが怒りを抑えた声で尋ねる。
「このまま会社を傾けさせますか? それとも真山を解雇しますか」
秋川さんが、社長に選択を突きつけた。
「カズくん……! 嘘でしょ!」
涙を美しく輝かせた梨花が、艶かしく泣きつく。
「……会社は、潰れさせない」
「そんな……! 酷い、酷いよお!」
わああっと突っ伏して泣く梨花に、大川さんがぺらりと書類をめくりながら言った。
「――真山。僕をそんなに恨むのは、何で?」
大川さんが聞いた瞬間。
梨花の表情が、憎悪剥き出しのものに変わった。
「全部あんたの所為だ……! 持ってる奴が偉そうに同情顔で私に言う言葉の全部が、全部が憎かったんだよ!」
歯を剥いた梨花が、叫ぶ。もうそこには、着飾り作り上げた可愛い梨花の姿はどこにも残っていなかった。
あるのは、ただひたすら激しい憎悪と深い悲しみだ。梨花はずっと、大川さんに嫉妬していた。だけど嫉妬する自分が許せなくて、それを必死で憎悪に切り替えてきたんじゃないだろうか。
「あんたの偽善者ぶった顔も声も、全部反吐が出るほど嫌いなんだよ! 正論さえ言えば世の中通るとでも思ってんのかよ! 通らねえよ! お前の正義感なんか全部偽物だってぶっ壊してやるって思ったら、近付いた奴は全部お前より私を選んだ! ああ、楽しい! きゃははは!」
梨花は、気が狂った様に大声で笑い始めた。皆、梨花が気が触れたのかと隣同士で不安げに顔を見合わせる。
「……僕に言っていた、母親に援交を強要されたっていうのも嘘だったね」
「母親なんていねえよ! 騙されやがって、馬鹿じゃねえのか!」
ギャハハと笑う梨花の目尻には、涙が流れていた。
「その、真山を捨てたっていう母親だけど」
大川さんが、静かな表情で真っ直ぐに梨花を見つめる。梨花の下まぶたが、ピクピクと痙攣していた。
「そもそも後妻なんだよ。真山の本当のお母さんは、真山を生んで数週間後に産後の肥立ちが悪くて亡くなった」
「は……? 何言って」
動揺を隠せない梨花。大川さんは、淡々と報告をする様に続ける。
「真山のお父さんは、真山が自分が母親を殺したと思ってほしくなくて、それでずっと黙っていたんだそうだよ。後妻に迎えた人は、初めはちゃんとした人だったと思っていたんだけど、ちっとも真山を可愛がってくれなくて、それで離婚を切り出したんだって」
「う、嘘だ……っそんなデタラメ、誰が」
梨花の顎が、ガクガクと震えていた。首を横に振ると、綺麗な涙があちこちに散らばり落ちる。
「後妻の人は、浪費癖があったらしくて。それで離婚は嫌がったらしいんだけど、お父さんが譲らないと怒って、それで真山を傷つける様な捨て台詞を吐いて出ていったって教えてくれたよ」
梨花が、信じられないといった表情で大川さんを凝視した。
「あんた……お父さんに会ったの……」
大川さんは、コクリと頷く。
「理由はどうあれ、最初に真山に嘘をつかせたのが僕が押し付けた下手な同情や偽善の所為だったのなら、ちゃんと知っておかないといけないと思って」
でもね、そう大川さんは続けた。
「どんな理由や恨みがあっても、真山が傷つけた人たちの傷は消えはしないんだよ」
大川さんが、私の肩を抱く。
「僕の恋人を傷つけた真山を、僕は許す気はない」
「え……恋人?」
梨花が目を見開いた。え、え、と梨花は私と大川さんを混乱した様子で見比べる。
「私が好きなのは大川さんだよ、梨花」
きっと私は甘いんだろう。だけど、梨花がいつも寂しい寂しいと周りに牙を剥いている姿が、あまりにもディーン・クーンツの『ウォッチャーズ』に出てくるアウトサイダーの孤独の様に思えて、悲しくて。
「梨花。梨花に必要なのは、本当の梨花を許してあげることだと思う」
「何言って……」
「皆、そんなに怖くないよ。強がらなくても、ありのままの梨花を見てくれる人はいるよ」
私が視線を皆の方に向けると、山田さんも社長も他の人の背後に隠れる。すると、梨花を中心に出来た空間に、するりと出てきた人物がいた。
「片山さん……」
梨花が、化粧が流れた黒い筋を頬に浮かばせながら、片山さんを見上げる。
「君って本当性格悪いし頭も悪いし、節操ないし最低だよね」
片山さんが、薄く笑いながら梨花に言った。
「散々人に仕事を押し付けても、俺のことは便利な道具にしか見てなかったし」
「か、片山さ」
でも、と片山さんが梨花の腕を掴む。
「見てて飽きない」
それを聞いた瞬間、秋川さんが「うわあ……」と素直な感想を述べた。
片山さんが、にっこりと笑う。
「うちの実家って農家なんだけど、母親が過干渉で性格がきつい人でね。君くらい気が強い人ならやっていけそうだなあと思ってたんだ」
「は……?」
梨花は、ただぽかんとして片山さんを見ている。
「どうする? これまで君が傷つけてきた人たちに心から謝罪して回る気があるなら、僕も一緒に謝ってあげてもいいけど」
その言葉を聞いた梨花は。
「う……うあああああああん……っ!」
子供に返ってしまったみたいな泣き声を上げると、床に突っ伏してごめんなさい、ごめんなさいと謝り続けたのだった。
「社長。いつまで真山に好き勝手させてるんですか」
「秋川……」
ツカツカと社長の前まで進むと、それでも必死に歯を食いしばりながら激情に耐えている様子を見せる。握り締めた拳は爪が白く食い込み、ブルブルと小刻みに震えていた。
「社長が真山と出来てようが、僕は会社を愛していたから目を瞑ろうと思っていました。だけど社長は真山を野放しにして」
そう言いながら、私の方を見る。
「本当に立川さんが月島に追い詰められて休職したと思ってるんだったら、貴方の目は節穴だ」
すると、これまでずっと遠目から見ているだけだった女性先輩社員たちも立ち上がった。
「そうですよ社長! 月島さんはいつも業務時間中は真山さんのお喋りに邪魔されて、朝早くきて何とか業務をこなしてたんですよ!」
「真山さんがまともに仕事してるのなんて、見たことないですよ! 全部立川さんと片山さんが被ってたじゃないですか!」
女性社員たちの勢いにタジタジになった社長は、目を更に泳がせる。すると、それまで静観していた片山さんが、ビールをぐびりと呑んだ後に言った。
「真山さんの仕事を全てカバーする様に俺に指示したのは、社長ですよ」
途端、他の社員も色めき立つ。口々に社長を問い詰めていくけど、社長はあたふたしてろくに答えなかった。
秋川さんがスッと手を横に伸ばすと、騒いでいた社員たちが静かになる。
「社長。言いたいことがあるなら何か仰って下さい。ないなら、僕も今日この場でこちらを提出したいと思います」
秋川さんは胸元から封筒を取り出すと、社長の前にバン、と叩きつけた。
「ちょ……っ」
封筒には、達筆な字で「退職願」と書いてある。その瞬間、社長が椅子から立ち上がり、椅子が後ろに音を立てて倒れた。
「だ、駄目だ駄目だ! 秋川がいなくなったら、回らなくなる!」
「立川さんも月島さんもいなくなると回らないんですよね。真山さんはいなくても支障はありませんが」
冷めた目で社長を見据える秋川さんの前に、とうとう社長は屈した。
「さ……っ最初はほんの出来心だったんだ! 女子高生が、整形費用を貯めたいからって出会い系で援助交際を持ちかけてきたから、調子に乗って……!」
初回にラブホテルに行った時、写真を撮られていたのだという。シャワーを浴びている内に免許の写真も撮られて、名刺も盗られていた。それに気付いたのは、何度も会って少しずつ整形をして綺麗になっていくのを喜んでいる梨花に、そろそろ火遊びは止めておこうと関係の終了を告げた時だったそうだ。
奥さんに写真送ってもいい? おうちの住所も知ってるんだよ。そう笑って言われた社長は、自分の軽はずみな行動がとんでもない自体を招いたことをその時に悟った。
それからは、ひたすら搾り取られる日々が続いた。もうそんなにお金を出せないよ。そう泣きつくと、梨花は就職先を斡旋しろと要求してきた。もう、断れる時期はとっくに過ぎていた。
「妻にばらされたら、子供に軽蔑されたら……そう思うと、怖くて」
「結果、貴方の会社は滅茶苦茶になってますけどね」
「……すまない」
では、と秋川さんが怒りを抑えた声で尋ねる。
「このまま会社を傾けさせますか? それとも真山を解雇しますか」
秋川さんが、社長に選択を突きつけた。
「カズくん……! 嘘でしょ!」
涙を美しく輝かせた梨花が、艶かしく泣きつく。
「……会社は、潰れさせない」
「そんな……! 酷い、酷いよお!」
わああっと突っ伏して泣く梨花に、大川さんがぺらりと書類をめくりながら言った。
「――真山。僕をそんなに恨むのは、何で?」
大川さんが聞いた瞬間。
梨花の表情が、憎悪剥き出しのものに変わった。
「全部あんたの所為だ……! 持ってる奴が偉そうに同情顔で私に言う言葉の全部が、全部が憎かったんだよ!」
歯を剥いた梨花が、叫ぶ。もうそこには、着飾り作り上げた可愛い梨花の姿はどこにも残っていなかった。
あるのは、ただひたすら激しい憎悪と深い悲しみだ。梨花はずっと、大川さんに嫉妬していた。だけど嫉妬する自分が許せなくて、それを必死で憎悪に切り替えてきたんじゃないだろうか。
「あんたの偽善者ぶった顔も声も、全部反吐が出るほど嫌いなんだよ! 正論さえ言えば世の中通るとでも思ってんのかよ! 通らねえよ! お前の正義感なんか全部偽物だってぶっ壊してやるって思ったら、近付いた奴は全部お前より私を選んだ! ああ、楽しい! きゃははは!」
梨花は、気が狂った様に大声で笑い始めた。皆、梨花が気が触れたのかと隣同士で不安げに顔を見合わせる。
「……僕に言っていた、母親に援交を強要されたっていうのも嘘だったね」
「母親なんていねえよ! 騙されやがって、馬鹿じゃねえのか!」
ギャハハと笑う梨花の目尻には、涙が流れていた。
「その、真山を捨てたっていう母親だけど」
大川さんが、静かな表情で真っ直ぐに梨花を見つめる。梨花の下まぶたが、ピクピクと痙攣していた。
「そもそも後妻なんだよ。真山の本当のお母さんは、真山を生んで数週間後に産後の肥立ちが悪くて亡くなった」
「は……? 何言って」
動揺を隠せない梨花。大川さんは、淡々と報告をする様に続ける。
「真山のお父さんは、真山が自分が母親を殺したと思ってほしくなくて、それでずっと黙っていたんだそうだよ。後妻に迎えた人は、初めはちゃんとした人だったと思っていたんだけど、ちっとも真山を可愛がってくれなくて、それで離婚を切り出したんだって」
「う、嘘だ……っそんなデタラメ、誰が」
梨花の顎が、ガクガクと震えていた。首を横に振ると、綺麗な涙があちこちに散らばり落ちる。
「後妻の人は、浪費癖があったらしくて。それで離婚は嫌がったらしいんだけど、お父さんが譲らないと怒って、それで真山を傷つける様な捨て台詞を吐いて出ていったって教えてくれたよ」
梨花が、信じられないといった表情で大川さんを凝視した。
「あんた……お父さんに会ったの……」
大川さんは、コクリと頷く。
「理由はどうあれ、最初に真山に嘘をつかせたのが僕が押し付けた下手な同情や偽善の所為だったのなら、ちゃんと知っておかないといけないと思って」
でもね、そう大川さんは続けた。
「どんな理由や恨みがあっても、真山が傷つけた人たちの傷は消えはしないんだよ」
大川さんが、私の肩を抱く。
「僕の恋人を傷つけた真山を、僕は許す気はない」
「え……恋人?」
梨花が目を見開いた。え、え、と梨花は私と大川さんを混乱した様子で見比べる。
「私が好きなのは大川さんだよ、梨花」
きっと私は甘いんだろう。だけど、梨花がいつも寂しい寂しいと周りに牙を剥いている姿が、あまりにもディーン・クーンツの『ウォッチャーズ』に出てくるアウトサイダーの孤独の様に思えて、悲しくて。
「梨花。梨花に必要なのは、本当の梨花を許してあげることだと思う」
「何言って……」
「皆、そんなに怖くないよ。強がらなくても、ありのままの梨花を見てくれる人はいるよ」
私が視線を皆の方に向けると、山田さんも社長も他の人の背後に隠れる。すると、梨花を中心に出来た空間に、するりと出てきた人物がいた。
「片山さん……」
梨花が、化粧が流れた黒い筋を頬に浮かばせながら、片山さんを見上げる。
「君って本当性格悪いし頭も悪いし、節操ないし最低だよね」
片山さんが、薄く笑いながら梨花に言った。
「散々人に仕事を押し付けても、俺のことは便利な道具にしか見てなかったし」
「か、片山さ」
でも、と片山さんが梨花の腕を掴む。
「見てて飽きない」
それを聞いた瞬間、秋川さんが「うわあ……」と素直な感想を述べた。
片山さんが、にっこりと笑う。
「うちの実家って農家なんだけど、母親が過干渉で性格がきつい人でね。君くらい気が強い人ならやっていけそうだなあと思ってたんだ」
「は……?」
梨花は、ただぽかんとして片山さんを見ている。
「どうする? これまで君が傷つけてきた人たちに心から謝罪して回る気があるなら、僕も一緒に謝ってあげてもいいけど」
その言葉を聞いた梨花は。
「う……うあああああああん……っ!」
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