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(38)ホルガーの穴
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ホルガーがいないレオンの家は、不思議な感じだった。いつもはテーブルに座って記録を付けているホルガーが、今もそこにいるのではないかと思って、つい時折話しかけようと振り返ってしまう。
それはレオンも同じな様で、「おいホルガー、この前の調合って……」と振り返りながら尋ね、そこに誰もいないことを思い出し、少し肩を落としたりしていた。
「……なんか、二人っきりって変な感じね」
「おい、それを言うな。ちょっと淋しくなるだろうが」
泡立て器姿がすっかり様になるようになったレオンが、泡立て器を使って卵を撹拌しながら、口を尖らせる。私はそんなレオンを見て、くすりと笑った。
「レオン、始めの頃はホルガーと喧嘩ばかりしてたのに、今じゃすっかり仲良くなったわよね」
私の言葉に、レオンが薄く笑った。
「あいつは見た目はちょっと軟弱だが、根性がある。俺はそういう奴は好きなんだ。だからもう今はあいつは俺の友人だ」
「友人か……いいわね、男同士って」
私は素直に羨ましくなって、そう感想を述べた。
「どういう意味だ?」
レオンが不思議そうな表情を浮かべて首を傾げる。私は、ボウルに大さじ一杯の油を垂らしつつ答えた。
「貴族の世界では、身分とか、父親や親戚の役職とかの方が友情よりも大切みたいよ」
かつては私にもあった。女友達を作ろうという気概が。だが、どうしても会話が続かないのだ。どこそこのお店のデザインがいいとか、どこ産の宝石で作ったイヤリングが流行りだとか、別に私だって興味がない訳ではない。だけど、会話に加わろうとすると、公爵家でましてや王太子の婚約者には安物過ぎるとか言われてしまっては、黙るしかないだろう。
「皆、私のことは公爵令嬢で王太子の婚約者としか見てくれなかったから。流行を知りたくても、殆ど王城から出られなかったし、そりゃ疎くもなるわよねえ」
あはは、と私が笑って言うと、レオンの撹拌の手が止まってしまった。
「……俺には、婚約者がいたんだけどな」
「うん?」
急に何の話だろうとは思ったが、折角レオンが珍しく自分のことを語ろうとしてくれているので、私はそのまま聞くことにした。婚約者がいた、ということは、今はいない……のだろうか?
「そいつも、ちょっと変わった奴で」
「ちょっと、も、てどういうことよ、も、て」
「まあいいから聞け」
私の抗議を、レオンはさらっと流してしまった。
「お前と一緒だよ。令嬢達に馴染めなくて、いつもひとりでポツンとしてた」
「まるっきり私じゃない」
「大分違うけどな」
「……まあいいわ、続けて」
いらっとしたが、話の続きは聞きたい。私は、先を促した。
「俺は俺で馬鹿だったから、あいつはひとりが好きなんだと思って特に気にしなかったんだよ」
「うわ……馬鹿ねえ」
私の言葉にも、レオンは少し笑って頷くだけだった。随分としおらしい。
「俺は細やかな気が利かないタイプの人間なんだろうな。だけど、弟は違った」
私は、前にホルガーにレオンが伝えたことを思い出していた。大事だった人を譲った、と。まさか、これはその話だろうか。
「俺は、弟と婚約者だったあいつの距離が近付いていることすら気付かず、呑気に構えていた。その間にも、弟は必死で根回しをしたりしてな、気が付いた時には、あいつの気持ちは完全に弟に向いていた」
「え……」
レオンは、自嘲気味に笑う。
「俺は、それを弟とあいつに目の前で伝えられるまで、全く気付いていなかったんだ。間抜けだろ?」
「確かに」
はは、とレオンが笑うと、ボウルを調理台に置いて私の頭を撫でた。うん?
「お前のそういうところが、俺には分かりやすくていい」
「お陰様で女子の友達は皆無ですけどね」
「その程度でいなくなるようなのは友達なんて言わないから、いいんだよ」
レオンは、何故か私の頭を撫で続けている。これは一体、どうしたのだろうか。
「――でな、婚約相手を俺から弟に変更してほしいと頭を下げられて、その時に俺は初めて知ったんだ」
「……何を?」
「俺と弟とじゃ、好きの意味合いが違ったんだってことをだ」
好きの意味合い。……よく分からない。恋愛経験が乏しい私には、理解不能そうな超難題だ。マヨネーズ愛なら語れるが、恐らくは種類が違う。
私が首を捻っていると、レオンの手が私の胸の前の髪まで降りてきて、撫で続ける。確かに髪の毛は頑張ってサラサラにしてるが、こうも堂々と触られると……照れるのは仕方のないことだろう。なので、つい視線が落ちてしまう。
「なんていうかな、俺にとってあいつは可愛い妹みたいな存在だったんだよな。それよりも、話しやすい友達と言った方が近いかもしれん。好きは好きだったが、弟の好きとは意味が違ったんだな。それにずっと気付いていなかったんだ」
「……それ、生クリームの彼女?」
「そうだ。よく覚えてるな」
レオンが意外そうな顔をする。当然、よく覚えている。だって。
「乳化に関連してたから、よく覚えてるのよ」
「マヨネーズまっしぐらだなあ」
「お陰様で」
レオンの手は、まだずっと私の髪を掴んだままだ。
「弟に言われたんだ。あいつはずっと淋しかったって。俺はあいつのことを女として見てなくて、一所懸命好かれようと努力をしたがうまく出来なくて、落ち込んでいたと」
「レオンは鈍感そうだものねえ」
「うるせえな」
レオンはむすっとした顔でそういった後、少し表情を和らげて続けた。
「……まあ、でもそうだな。気付いた時には遅かった。時間があれば、あいつを女としてちゃんと見ることも出来たかもしれないけどな、もうその時間はなくなっていた」
「ということは、弟と婚約成立しちゃったってこと?」
「まあ、二人の熱量を見ていたら、反対する気にもなれなくてな」
レオンは、ようやく私の髪を離した。
「後は、次から次へと舞い込む縁談話の連続だ。だけど俺は、正直それまでまともに誰かを好きになんてなったことがなかったってことに気付いたからな、今は縁談よりも自由恋愛をしたいと思った訳だ」
「なるほど?」
話の意図が見えない。
「で、その話と私に友人がいない話と、どう関係があるのよ」
レオンが、少しおどけた表情に変わった。
「なに。あいつは、さっきも言った通り変わり者でな。だったらお前と気が合うかもな、と思ったまでだ」
「――はい?」
レオンは、調理台の上に置いたボウルを再び手に取った。
「あんまりやると、ホルガーに怒られる。さ、続きを始めようか」
「え? は?」
「ほら、次の油を入れてくれ」
「わ、分かったわよ!」
私は、一体今何を言われたのだろうか。
もしかして、と思う気持ちと、いやまさかそんな、という気持ちが拮抗する。
尋ねたくとも、勘違いだった時の恥ずかしさを思うと聞くに聞けず。
「……はい、じゃあ次入れるわよ」
「おう」
私は目を伏せながら、レオンの持つボウルの中に再度油を投入したのだった。
それはレオンも同じな様で、「おいホルガー、この前の調合って……」と振り返りながら尋ね、そこに誰もいないことを思い出し、少し肩を落としたりしていた。
「……なんか、二人っきりって変な感じね」
「おい、それを言うな。ちょっと淋しくなるだろうが」
泡立て器姿がすっかり様になるようになったレオンが、泡立て器を使って卵を撹拌しながら、口を尖らせる。私はそんなレオンを見て、くすりと笑った。
「レオン、始めの頃はホルガーと喧嘩ばかりしてたのに、今じゃすっかり仲良くなったわよね」
私の言葉に、レオンが薄く笑った。
「あいつは見た目はちょっと軟弱だが、根性がある。俺はそういう奴は好きなんだ。だからもう今はあいつは俺の友人だ」
「友人か……いいわね、男同士って」
私は素直に羨ましくなって、そう感想を述べた。
「どういう意味だ?」
レオンが不思議そうな表情を浮かべて首を傾げる。私は、ボウルに大さじ一杯の油を垂らしつつ答えた。
「貴族の世界では、身分とか、父親や親戚の役職とかの方が友情よりも大切みたいよ」
かつては私にもあった。女友達を作ろうという気概が。だが、どうしても会話が続かないのだ。どこそこのお店のデザインがいいとか、どこ産の宝石で作ったイヤリングが流行りだとか、別に私だって興味がない訳ではない。だけど、会話に加わろうとすると、公爵家でましてや王太子の婚約者には安物過ぎるとか言われてしまっては、黙るしかないだろう。
「皆、私のことは公爵令嬢で王太子の婚約者としか見てくれなかったから。流行を知りたくても、殆ど王城から出られなかったし、そりゃ疎くもなるわよねえ」
あはは、と私が笑って言うと、レオンの撹拌の手が止まってしまった。
「……俺には、婚約者がいたんだけどな」
「うん?」
急に何の話だろうとは思ったが、折角レオンが珍しく自分のことを語ろうとしてくれているので、私はそのまま聞くことにした。婚約者がいた、ということは、今はいない……のだろうか?
「そいつも、ちょっと変わった奴で」
「ちょっと、も、てどういうことよ、も、て」
「まあいいから聞け」
私の抗議を、レオンはさらっと流してしまった。
「お前と一緒だよ。令嬢達に馴染めなくて、いつもひとりでポツンとしてた」
「まるっきり私じゃない」
「大分違うけどな」
「……まあいいわ、続けて」
いらっとしたが、話の続きは聞きたい。私は、先を促した。
「俺は俺で馬鹿だったから、あいつはひとりが好きなんだと思って特に気にしなかったんだよ」
「うわ……馬鹿ねえ」
私の言葉にも、レオンは少し笑って頷くだけだった。随分としおらしい。
「俺は細やかな気が利かないタイプの人間なんだろうな。だけど、弟は違った」
私は、前にホルガーにレオンが伝えたことを思い出していた。大事だった人を譲った、と。まさか、これはその話だろうか。
「俺は、弟と婚約者だったあいつの距離が近付いていることすら気付かず、呑気に構えていた。その間にも、弟は必死で根回しをしたりしてな、気が付いた時には、あいつの気持ちは完全に弟に向いていた」
「え……」
レオンは、自嘲気味に笑う。
「俺は、それを弟とあいつに目の前で伝えられるまで、全く気付いていなかったんだ。間抜けだろ?」
「確かに」
はは、とレオンが笑うと、ボウルを調理台に置いて私の頭を撫でた。うん?
「お前のそういうところが、俺には分かりやすくていい」
「お陰様で女子の友達は皆無ですけどね」
「その程度でいなくなるようなのは友達なんて言わないから、いいんだよ」
レオンは、何故か私の頭を撫で続けている。これは一体、どうしたのだろうか。
「――でな、婚約相手を俺から弟に変更してほしいと頭を下げられて、その時に俺は初めて知ったんだ」
「……何を?」
「俺と弟とじゃ、好きの意味合いが違ったんだってことをだ」
好きの意味合い。……よく分からない。恋愛経験が乏しい私には、理解不能そうな超難題だ。マヨネーズ愛なら語れるが、恐らくは種類が違う。
私が首を捻っていると、レオンの手が私の胸の前の髪まで降りてきて、撫で続ける。確かに髪の毛は頑張ってサラサラにしてるが、こうも堂々と触られると……照れるのは仕方のないことだろう。なので、つい視線が落ちてしまう。
「なんていうかな、俺にとってあいつは可愛い妹みたいな存在だったんだよな。それよりも、話しやすい友達と言った方が近いかもしれん。好きは好きだったが、弟の好きとは意味が違ったんだな。それにずっと気付いていなかったんだ」
「……それ、生クリームの彼女?」
「そうだ。よく覚えてるな」
レオンが意外そうな顔をする。当然、よく覚えている。だって。
「乳化に関連してたから、よく覚えてるのよ」
「マヨネーズまっしぐらだなあ」
「お陰様で」
レオンの手は、まだずっと私の髪を掴んだままだ。
「弟に言われたんだ。あいつはずっと淋しかったって。俺はあいつのことを女として見てなくて、一所懸命好かれようと努力をしたがうまく出来なくて、落ち込んでいたと」
「レオンは鈍感そうだものねえ」
「うるせえな」
レオンはむすっとした顔でそういった後、少し表情を和らげて続けた。
「……まあ、でもそうだな。気付いた時には遅かった。時間があれば、あいつを女としてちゃんと見ることも出来たかもしれないけどな、もうその時間はなくなっていた」
「ということは、弟と婚約成立しちゃったってこと?」
「まあ、二人の熱量を見ていたら、反対する気にもなれなくてな」
レオンは、ようやく私の髪を離した。
「後は、次から次へと舞い込む縁談話の連続だ。だけど俺は、正直それまでまともに誰かを好きになんてなったことがなかったってことに気付いたからな、今は縁談よりも自由恋愛をしたいと思った訳だ」
「なるほど?」
話の意図が見えない。
「で、その話と私に友人がいない話と、どう関係があるのよ」
レオンが、少しおどけた表情に変わった。
「なに。あいつは、さっきも言った通り変わり者でな。だったらお前と気が合うかもな、と思ったまでだ」
「――はい?」
レオンは、調理台の上に置いたボウルを再び手に取った。
「あんまりやると、ホルガーに怒られる。さ、続きを始めようか」
「え? は?」
「ほら、次の油を入れてくれ」
「わ、分かったわよ!」
私は、一体今何を言われたのだろうか。
もしかして、と思う気持ちと、いやまさかそんな、という気持ちが拮抗する。
尋ねたくとも、勘違いだった時の恥ずかしさを思うと聞くに聞けず。
「……はい、じゃあ次入れるわよ」
「おう」
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