730 / 731
終章 再会
第727話 OLリアムと魔術士サツキのクロスオーバー・世界は再び分かれる
しおりを挟む
ユラがリアムを見て聞いた。
「あのさ、マグノリアの途中だった研究って、一体どこにしまってあるんだ?」
マグノリアの研究。リアムが目にするのが悲しくなり、まとめて屋根裏にしまってしまったものである。だが、丁度いい後継者が目の前にいることに気が付いたリアムは、ユラに託すことにした。
「屋根裏にしまってある。――ユラ、お前が師の研究を引き継いではくれぬか?」
「……いいのか?」
ユラの頬が紅潮してくる。ユラはマグノリア信者だ。きっと全うしてくれるだろうと願っての頼みだった。
「頼む。サツキと二人、師の後を継いでもらえると助かる。それが心残りだったからな」
ユラとサツキは互いを見合うと、にっこりとして頷き合った。
「任せて、リアム!」
「ありがとう、サツキ」
「あ、でもその屋根裏が見つからないんだよ。一体入り口はどこにあるんだ?」
ユラとサツキは散々探したが、結局魔導書に記されていた屋根裏は見つからなかった。すると、リアムはあっさりと言った。
「寝室のベッドの下だ」
「ベッドの下に屋根裏の入り口があるの?」
と祐介が尋ねると、リアムがくそ真面目な顔で頷いた。
「空間魔法で繋がっているのだ。師は年寄りだったからな、はしごを使って登るのは危なかったので私がそうした」
「……道理で見つからなかった筈だよ、はは」
ユラが、実に楽しそうに笑った後、サツキに問いかけた。
「なあサツキ、俺達も結婚しようぜ」
「ブフォッ!」
突然のプロポーズに、サツキが吹いた。しかしユラは至って真面目に言っている様で、瞳は一切揺らがない。
「俺達の世界じゃ形式だけだけどさ、お前さっきリアムが結婚するって聞いたら大はしゃぎだったし。な?」
「え、あ、う、うん。ユラはでも、いいの?」
サツキはタジタジになりながらも、あっさりとプロポーズを了承した。
「サツキの物は俺の物、つまりサツキの幸せは俺の幸せでもある。問題ねえ」
ユラはきっぱりと言い切った。そしてまた不意にリアムの方を向くと、とんでもないことを報告し出した。
「リアム!」
「なんだ?」
「報告が後になって悪かったんだけど、俺はサツキの女の方も抱いたし、男のお前の身体ももう抱いたから! だからそっちはそっちで勝手にやってくれよな!」
「え……?」
リアムがユラの言葉の内容に戦慄を覚えていると、ユラは最高の笑顔になり、更に畳み掛けるように言った。歯が白くて眩しいことこの上ない。
「どっちもなかなかいいもんだぜ! 何事も挑戦だな!」
「ちょ、ちょっとユラ!」
サツキが真っ赤になって大慌てでユラを止めようとし始める。
「なんだよサツキだって毎回気持ちよさそ……むご」
「あはははははっ!! そ、そろそろ戻らないとじゃないかなー!?」
ユラの口を手で封じたサツキは、おかしな笑い声を上げながらリアムと祐介を振り返った。
「また、もっと力がついたら、またいつかこうして会いに来るから!」
サツキの目尻には、涙が光っている。それはリアムも同様だった。それを見た祐介が、後ろからリアムをそっと抱き締めててくれた。
「無理はするな。もう四十路だからな、身体に負担がかからない様、息災で過ごせばそれでいい」
「それに関しては、俺が毎日ヒールライトを掛けるからバッチリだ」
ユラが請け負った。サツキが笑顔のまま、ふ、と横を見た。
「そろそろだよ」
見ると、渦を巻いていた空間が段々と後ろへと引き始めている。これで、本当にお別れなのだ。
サツキはリアムを見ると、心からの笑顔になって言った。
「リアム、大好き!」
リアムは涙に濡れた顔に頑張って笑みを浮かばせると、大きく頷いて言った。
「私もだ! 私も、サツキが大好きだ! 会いに来てくれて、ありがとう!」
リアムが言い切った瞬間。
ふ、と繋がっていた空間が閉じ、リアムと祐介は再び祐介の部屋に立っていたのだった。
「あのさ、マグノリアの途中だった研究って、一体どこにしまってあるんだ?」
マグノリアの研究。リアムが目にするのが悲しくなり、まとめて屋根裏にしまってしまったものである。だが、丁度いい後継者が目の前にいることに気が付いたリアムは、ユラに託すことにした。
「屋根裏にしまってある。――ユラ、お前が師の研究を引き継いではくれぬか?」
「……いいのか?」
ユラの頬が紅潮してくる。ユラはマグノリア信者だ。きっと全うしてくれるだろうと願っての頼みだった。
「頼む。サツキと二人、師の後を継いでもらえると助かる。それが心残りだったからな」
ユラとサツキは互いを見合うと、にっこりとして頷き合った。
「任せて、リアム!」
「ありがとう、サツキ」
「あ、でもその屋根裏が見つからないんだよ。一体入り口はどこにあるんだ?」
ユラとサツキは散々探したが、結局魔導書に記されていた屋根裏は見つからなかった。すると、リアムはあっさりと言った。
「寝室のベッドの下だ」
「ベッドの下に屋根裏の入り口があるの?」
と祐介が尋ねると、リアムがくそ真面目な顔で頷いた。
「空間魔法で繋がっているのだ。師は年寄りだったからな、はしごを使って登るのは危なかったので私がそうした」
「……道理で見つからなかった筈だよ、はは」
ユラが、実に楽しそうに笑った後、サツキに問いかけた。
「なあサツキ、俺達も結婚しようぜ」
「ブフォッ!」
突然のプロポーズに、サツキが吹いた。しかしユラは至って真面目に言っている様で、瞳は一切揺らがない。
「俺達の世界じゃ形式だけだけどさ、お前さっきリアムが結婚するって聞いたら大はしゃぎだったし。な?」
「え、あ、う、うん。ユラはでも、いいの?」
サツキはタジタジになりながらも、あっさりとプロポーズを了承した。
「サツキの物は俺の物、つまりサツキの幸せは俺の幸せでもある。問題ねえ」
ユラはきっぱりと言い切った。そしてまた不意にリアムの方を向くと、とんでもないことを報告し出した。
「リアム!」
「なんだ?」
「報告が後になって悪かったんだけど、俺はサツキの女の方も抱いたし、男のお前の身体ももう抱いたから! だからそっちはそっちで勝手にやってくれよな!」
「え……?」
リアムがユラの言葉の内容に戦慄を覚えていると、ユラは最高の笑顔になり、更に畳み掛けるように言った。歯が白くて眩しいことこの上ない。
「どっちもなかなかいいもんだぜ! 何事も挑戦だな!」
「ちょ、ちょっとユラ!」
サツキが真っ赤になって大慌てでユラを止めようとし始める。
「なんだよサツキだって毎回気持ちよさそ……むご」
「あはははははっ!! そ、そろそろ戻らないとじゃないかなー!?」
ユラの口を手で封じたサツキは、おかしな笑い声を上げながらリアムと祐介を振り返った。
「また、もっと力がついたら、またいつかこうして会いに来るから!」
サツキの目尻には、涙が光っている。それはリアムも同様だった。それを見た祐介が、後ろからリアムをそっと抱き締めててくれた。
「無理はするな。もう四十路だからな、身体に負担がかからない様、息災で過ごせばそれでいい」
「それに関しては、俺が毎日ヒールライトを掛けるからバッチリだ」
ユラが請け負った。サツキが笑顔のまま、ふ、と横を見た。
「そろそろだよ」
見ると、渦を巻いていた空間が段々と後ろへと引き始めている。これで、本当にお別れなのだ。
サツキはリアムを見ると、心からの笑顔になって言った。
「リアム、大好き!」
リアムは涙に濡れた顔に頑張って笑みを浮かばせると、大きく頷いて言った。
「私もだ! 私も、サツキが大好きだ! 会いに来てくれて、ありがとう!」
リアムが言い切った瞬間。
ふ、と繋がっていた空間が閉じ、リアムと祐介は再び祐介の部屋に立っていたのだった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる