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終章 再会

第727話 OLリアムと魔術士サツキのクロスオーバー・世界は再び分かれる

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 ユラがリアムを見て聞いた。

「あのさ、マグノリアの途中だった研究って、一体どこにしまってあるんだ?」

 マグノリアの研究。リアムが目にするのが悲しくなり、まとめて屋根裏にしまってしまったものである。だが、丁度いい後継者が目の前にいることに気が付いたリアムは、ユラに託すことにした。

「屋根裏にしまってある。――ユラ、お前が師の研究を引き継いではくれぬか?」
「……いいのか?」

 ユラの頬が紅潮してくる。ユラはマグノリア信者だ。きっと全うしてくれるだろうと願っての頼みだった。

「頼む。サツキと二人、師の後を継いでもらえると助かる。それが心残りだったからな」

 ユラとサツキは互いを見合うと、にっこりとして頷き合った。

「任せて、リアム!」
「ありがとう、サツキ」
「あ、でもその屋根裏が見つからないんだよ。一体入り口はどこにあるんだ?」

 ユラとサツキは散々探したが、結局魔導書に記されていた屋根裏は見つからなかった。すると、リアムはあっさりと言った。

「寝室のベッドの下だ」
「ベッドの下に屋根裏の入り口があるの?」

 と祐介が尋ねると、リアムがくそ真面目な顔で頷いた。

「空間魔法で繋がっているのだ。師は年寄りだったからな、はしごを使って登るのは危なかったので私がそうした」
「……道理で見つからなかった筈だよ、はは」

 ユラが、実に楽しそうに笑った後、サツキに問いかけた。

「なあサツキ、俺達も結婚しようぜ」
「ブフォッ!」

 突然のプロポーズに、サツキが吹いた。しかしユラは至って真面目に言っている様で、瞳は一切揺らがない。

「俺達の世界じゃ形式だけだけどさ、お前さっきリアムが結婚するって聞いたら大はしゃぎだったし。な?」
「え、あ、う、うん。ユラはでも、いいの?」

 サツキはタジタジになりながらも、あっさりとプロポーズを了承した。

「サツキの物は俺の物、つまりサツキの幸せは俺の幸せでもある。問題ねえ」

 ユラはきっぱりと言い切った。そしてまた不意にリアムの方を向くと、とんでもないことを報告し出した。

「リアム!」
「なんだ?」
「報告が後になって悪かったんだけど、俺はサツキの女の方も抱いたし、男のお前の身体ももう抱いたから! だからそっちはそっちで勝手にやってくれよな!」
「え……?」

 リアムがユラの言葉の内容に戦慄を覚えていると、ユラは最高の笑顔になり、更に畳み掛けるように言った。歯が白くて眩しいことこの上ない。

「どっちもなかなかいいもんだぜ! 何事も挑戦だな!」
「ちょ、ちょっとユラ!」

 サツキが真っ赤になって大慌てでユラを止めようとし始める。

「なんだよサツキだって毎回気持ちよさそ……むご」
「あはははははっ!! そ、そろそろ戻らないとじゃないかなー!?」

 ユラの口を手で封じたサツキは、おかしな笑い声を上げながらリアムと祐介を振り返った。

「また、もっと力がついたら、またいつかこうして会いに来るから!」

 サツキの目尻には、涙が光っている。それはリアムも同様だった。それを見た祐介が、後ろからリアムをそっと抱き締めててくれた。

「無理はするな。もう四十路だからな、身体に負担がかからない様、息災で過ごせばそれでいい」
「それに関しては、俺が毎日ヒールライトを掛けるからバッチリだ」

 ユラが請け負った。サツキが笑顔のまま、ふ、と横を見た。

「そろそろだよ」

 見ると、渦を巻いていた空間が段々と後ろへと引き始めている。これで、本当にお別れなのだ。

 サツキはリアムを見ると、心からの笑顔になって言った。

「リアム、大好き!」

 リアムは涙に濡れた顔に頑張って笑みを浮かばせると、大きく頷いて言った。

「私もだ! 私も、サツキが大好きだ! 会いに来てくれて、ありがとう!」

 リアムが言い切った瞬間。

 ふ、と繋がっていた空間が閉じ、リアムと祐介は再び祐介の部屋に立っていたのだった。
 
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