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第四章 アルティメット編開始
第719話 魔術師リアムのアルティメット編・プロポーズの返事
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祐介が自分で救急車と警察を呼び到着を待つ間、祐介はリアムの手を握ったまま語りかけてくれた。
祐介は、ずっとリアムが好きだったのだと。だが、リアムが男であることに異様に拘っていた為、敢えて女性として接しリアムの中の抵抗感をなくそうとしていたことも。
名前を頑なに呼ばなかったのも、リアムの名を呼ぶと男であることを思い出させてしまう、との考えからの行動だったらしい。蓋を開けてみれば、随分と思い違いをしていたものである。
「僕、正直リアムが男でも女でもどっちでもいいんだよね」
はは、と爽やかに笑いながら、血だらけの祐介が言った。リアムは地面に横たわったままの祐介の脇に座り、祐介の手を握り続けていた。決して祐介の顔色は良くはない。傷口もしっかりとある。笑っている場合ではないのは明白だった。
「そ、そうなのか? 私はてっきり祐介は女子でないと駄目なのかと」
「そりゃまあ身体は女の人の方が好みだけど、中身は君じゃないとやだもん」
祐介はそう言うと、リアムの手を引き寄せて頬に擦り付けた。
「ねえ、僕プロポーズしたんだけど返事は?」
「へ!? え、いや、あのだな、しかしこの身体はサツキのものであって、その」
リアムの一存で婚姻関係を結んでいいものなのか、リアムには咄嗟に判断がつかぬ。すると、祐介がリアムの指にキスしながら言った。
「気にしなくていいと思うよ。だって、僕はもうリアムを元の世界に帰す気はないもん。だからその身体は君のもの」
「だ、だがな……」
すると、祐介が悲しそうな顔になった。
「……僕とは結婚してくれないの?」
「そんなことは言っておらん! 家庭を築くのは祐介以外とは考えられん!」
リアムが慌ててそう言った瞬間、祐介の表情がぱあっと明るいものに変わった。
「あは、ははは……! やった」
しまった、つい正直に答えてしまった。リアムが気恥ずかしさに目を白黒させていると。
「お、お前一体何者なんだよ……!」
ベンチの下から、少し硬度が戻ってきたらしい羽田がズルズルと這いずり出て来ているところだった。フルミネの効果が残っているのか、身体を動かすのが辛そうだ。
「私か? 私は魔術士だ」
「なっ何なんだよ! おかしい、狂ってやがるっ!」
リアムはすっくと立ち上がると、羽田の前に歩みを進めて羽田を見下ろした。
「狂っているのはお前の方であろう」
「うわっ! 近寄るな化け物!!」
羽田はそう言うと、咄嗟に下がろうとしてベンチの下に頭を思い切りぶつけた。痛そうだとは思ったが、憐れむ気持ちはリアムにはなかった。
「もう私達に構うな」
「あ、当たり前だ! 誰がお前みたいな化け物にっ!」
「分かってないなあ。この格好よさが分からないなんて可哀想。ねえリアム?」
祐介がのんびりとそんなことを言って笑う。リアムは祐介に微笑み返すと、段々と近付いてくる救急車とパトカーのサイレンの音に顔を上げた。
「来たようだぞ」
羽田を再び見る。まだ身体は多少緩いらしく、素早く動けないらしい。
「牢獄で反省せよ」
「リアム、こっちでは刑務所って言うんだよ」
祐介がそう教えていると、羽田の顔がどんどん引き攣れていく。
「おっ俺はっ」
羽田はこの後に及んで逃げようと思っていたらしいが、そこへ警官達が駆け寄ってきた。
「犯人はこの男だぞ」
リアムが羽田を指指すと、警官達が一斉に羽田を取り押さえた。「確保!」などという勇ましい声が響く。
救急車がけたたましい音を立て、公園に横付けされた。白いヘルメットを被った者達が、血だらけの祐介とリアムを見て飛んでくる。
「やめろっ離せええええっ」
「うわっこいつぶにょぶにょだぞ!」
「化け物だ! あいつが化け物なんだあああっ」
「薬でもやってるのか!? 大人しくしろ!」
騒ぐ男達を残し、リアムは担架に乗せられた祐介と共に救急車へと乗り込んでいったのだった。
祐介は、ずっとリアムが好きだったのだと。だが、リアムが男であることに異様に拘っていた為、敢えて女性として接しリアムの中の抵抗感をなくそうとしていたことも。
名前を頑なに呼ばなかったのも、リアムの名を呼ぶと男であることを思い出させてしまう、との考えからの行動だったらしい。蓋を開けてみれば、随分と思い違いをしていたものである。
「僕、正直リアムが男でも女でもどっちでもいいんだよね」
はは、と爽やかに笑いながら、血だらけの祐介が言った。リアムは地面に横たわったままの祐介の脇に座り、祐介の手を握り続けていた。決して祐介の顔色は良くはない。傷口もしっかりとある。笑っている場合ではないのは明白だった。
「そ、そうなのか? 私はてっきり祐介は女子でないと駄目なのかと」
「そりゃまあ身体は女の人の方が好みだけど、中身は君じゃないとやだもん」
祐介はそう言うと、リアムの手を引き寄せて頬に擦り付けた。
「ねえ、僕プロポーズしたんだけど返事は?」
「へ!? え、いや、あのだな、しかしこの身体はサツキのものであって、その」
リアムの一存で婚姻関係を結んでいいものなのか、リアムには咄嗟に判断がつかぬ。すると、祐介がリアムの指にキスしながら言った。
「気にしなくていいと思うよ。だって、僕はもうリアムを元の世界に帰す気はないもん。だからその身体は君のもの」
「だ、だがな……」
すると、祐介が悲しそうな顔になった。
「……僕とは結婚してくれないの?」
「そんなことは言っておらん! 家庭を築くのは祐介以外とは考えられん!」
リアムが慌ててそう言った瞬間、祐介の表情がぱあっと明るいものに変わった。
「あは、ははは……! やった」
しまった、つい正直に答えてしまった。リアムが気恥ずかしさに目を白黒させていると。
「お、お前一体何者なんだよ……!」
ベンチの下から、少し硬度が戻ってきたらしい羽田がズルズルと這いずり出て来ているところだった。フルミネの効果が残っているのか、身体を動かすのが辛そうだ。
「私か? 私は魔術士だ」
「なっ何なんだよ! おかしい、狂ってやがるっ!」
リアムはすっくと立ち上がると、羽田の前に歩みを進めて羽田を見下ろした。
「狂っているのはお前の方であろう」
「うわっ! 近寄るな化け物!!」
羽田はそう言うと、咄嗟に下がろうとしてベンチの下に頭を思い切りぶつけた。痛そうだとは思ったが、憐れむ気持ちはリアムにはなかった。
「もう私達に構うな」
「あ、当たり前だ! 誰がお前みたいな化け物にっ!」
「分かってないなあ。この格好よさが分からないなんて可哀想。ねえリアム?」
祐介がのんびりとそんなことを言って笑う。リアムは祐介に微笑み返すと、段々と近付いてくる救急車とパトカーのサイレンの音に顔を上げた。
「来たようだぞ」
羽田を再び見る。まだ身体は多少緩いらしく、素早く動けないらしい。
「牢獄で反省せよ」
「リアム、こっちでは刑務所って言うんだよ」
祐介がそう教えていると、羽田の顔がどんどん引き攣れていく。
「おっ俺はっ」
羽田はこの後に及んで逃げようと思っていたらしいが、そこへ警官達が駆け寄ってきた。
「犯人はこの男だぞ」
リアムが羽田を指指すと、警官達が一斉に羽田を取り押さえた。「確保!」などという勇ましい声が響く。
救急車がけたたましい音を立て、公園に横付けされた。白いヘルメットを被った者達が、血だらけの祐介とリアムを見て飛んでくる。
「やめろっ離せええええっ」
「うわっこいつぶにょぶにょだぞ!」
「化け物だ! あいつが化け物なんだあああっ」
「薬でもやってるのか!? 大人しくしろ!」
騒ぐ男達を残し、リアムは担架に乗せられた祐介と共に救急車へと乗り込んでいったのだった。
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