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第四章 アルティメット編開始
第696話 OLサツキのアルティメット編のマグノリア邸・風呂場からの脱走
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ラムは、ユラの横で待機することにした様だ。しっかりとお願いした任務を遂行するその健気さ。堪らないものがあるが、そうも言っていられない。
昨夜は恥ずかしながらユラが遠慮なくあちこちに触れまくっていたし汗も大量にかいたので、身体中がべたべただ。こういうのが当たり前なのかどうかすら分からないが、まあ凄かった。とりあえず完全にサツキの許容範囲を超えていて、終始混乱しっ放しだったことは確かだ。
思い出すだけで、悶える。改めて自分がしてしまったことに強烈な羞恥心を覚えつつ、サツキは、服を脱いで改めて自分の姿を見下ろしてぎょっと驚いた。
「うわ……」
思わず引く程の痣の跡が、身体中のあちこちに残されていた。数えようかと思ったが、後ろ側は見えないだろうから早々に諦めることにした。そして、呆れて笑ってしまった。
「ユラ、やり過ぎだよ……全く」
これじゃあ、まるでサツキが自分の物だと主張している様じゃないか。こんなことをされたら、サツキみたいに経験の浅い人間は勘違いしてしまうだろうに。
「獅子丸、今日はシャワーだけ、少し熱めでお願いね」
獅子丸がニヤリと笑った。黒目のない金属の目玉が一瞬サツキの身体を見て驚いた様に見えたが、気の所為ということにしておこう。
獅子丸の頭を撫でると、シャワー口からお願いした通りの熱めのお湯が降ってきた。まだ少し寝惚けていた頭が、段々としゃっきりしてくる。
後で外に出たら、まずは太陽の位置を確認しよう。どれ位寝ていたかは分からないが、ラムが起こしに来るくらいだから、太陽が昇ってからそこそこ経っているに違いない。
となると、ユラが起き出すのは早ければ夕方。腕の中にサツキがいないと、ふとした瞬間に目を覚ましてしまうかもしれない。
「――急がなくちゃ」
ユラに見つかる前に、バルバイトを出る。風呂の鍵を締めていれば、多分一時間は誤魔化せる。
きっと、ユラに一緒に行って欲しいと言えば、ユラは嫌な顔ひとつせずに付き合ってくれるだろうことは分かっていた。だけど、あの街にはユラの過去がある。サツキがもう元の世界に戻って過去の自分と同じ様には生きたくない様に、ユラだってきっと戻りたくはない筈だ。
だけど今でもギルドにあんな怖い依頼書を送りつけてくる母親がいる街にユラを連れて行ったが最後、ユラが捕まってしまったらそれこそ一大事だし、そうでなくともユラの姿を見られて今後バルバイトでの彼の生活が脅かされる可能性だって高めかねない。
つまり、ユラは連れて行かない。連れて行けない。ユラの安全の為にも、ユラの心の為にも。
サツキは獅子丸を撫でると、シャワーのお湯が止まった。バスタオルを取ると、身体を拭く。
大丈夫、一人でだって出来る。だって、サツキはユラにもう十分といっていい程の勇気をもらったから。呪文についてはまだ覚えないといけないことは沢山あるが、戦闘なら大分慣れたし、こっちの世界のルールだってなんとなくだけど分かってきた。
分からなかったらその辺の人に聞けばいい。引っ込み思案のサツキは、もうこの世界にはいなくなった。全部ユラのお陰だ。もう怖くなんかない。
サツキは自分の頬をパン! と両手で叩くと、服を着て鞄を背負い、窓に向かう。
扉を大きく開けると、窓の縁に乗って外へと飛び出して行った。
昨夜は恥ずかしながらユラが遠慮なくあちこちに触れまくっていたし汗も大量にかいたので、身体中がべたべただ。こういうのが当たり前なのかどうかすら分からないが、まあ凄かった。とりあえず完全にサツキの許容範囲を超えていて、終始混乱しっ放しだったことは確かだ。
思い出すだけで、悶える。改めて自分がしてしまったことに強烈な羞恥心を覚えつつ、サツキは、服を脱いで改めて自分の姿を見下ろしてぎょっと驚いた。
「うわ……」
思わず引く程の痣の跡が、身体中のあちこちに残されていた。数えようかと思ったが、後ろ側は見えないだろうから早々に諦めることにした。そして、呆れて笑ってしまった。
「ユラ、やり過ぎだよ……全く」
これじゃあ、まるでサツキが自分の物だと主張している様じゃないか。こんなことをされたら、サツキみたいに経験の浅い人間は勘違いしてしまうだろうに。
「獅子丸、今日はシャワーだけ、少し熱めでお願いね」
獅子丸がニヤリと笑った。黒目のない金属の目玉が一瞬サツキの身体を見て驚いた様に見えたが、気の所為ということにしておこう。
獅子丸の頭を撫でると、シャワー口からお願いした通りの熱めのお湯が降ってきた。まだ少し寝惚けていた頭が、段々としゃっきりしてくる。
後で外に出たら、まずは太陽の位置を確認しよう。どれ位寝ていたかは分からないが、ラムが起こしに来るくらいだから、太陽が昇ってからそこそこ経っているに違いない。
となると、ユラが起き出すのは早ければ夕方。腕の中にサツキがいないと、ふとした瞬間に目を覚ましてしまうかもしれない。
「――急がなくちゃ」
ユラに見つかる前に、バルバイトを出る。風呂の鍵を締めていれば、多分一時間は誤魔化せる。
きっと、ユラに一緒に行って欲しいと言えば、ユラは嫌な顔ひとつせずに付き合ってくれるだろうことは分かっていた。だけど、あの街にはユラの過去がある。サツキがもう元の世界に戻って過去の自分と同じ様には生きたくない様に、ユラだってきっと戻りたくはない筈だ。
だけど今でもギルドにあんな怖い依頼書を送りつけてくる母親がいる街にユラを連れて行ったが最後、ユラが捕まってしまったらそれこそ一大事だし、そうでなくともユラの姿を見られて今後バルバイトでの彼の生活が脅かされる可能性だって高めかねない。
つまり、ユラは連れて行かない。連れて行けない。ユラの安全の為にも、ユラの心の為にも。
サツキは獅子丸を撫でると、シャワーのお湯が止まった。バスタオルを取ると、身体を拭く。
大丈夫、一人でだって出来る。だって、サツキはユラにもう十分といっていい程の勇気をもらったから。呪文についてはまだ覚えないといけないことは沢山あるが、戦闘なら大分慣れたし、こっちの世界のルールだってなんとなくだけど分かってきた。
分からなかったらその辺の人に聞けばいい。引っ込み思案のサツキは、もうこの世界にはいなくなった。全部ユラのお陰だ。もう怖くなんかない。
サツキは自分の頬をパン! と両手で叩くと、服を着て鞄を背負い、窓に向かう。
扉を大きく開けると、窓の縁に乗って外へと飛び出して行った。
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