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第四章 アルティメット編開始
第668話 OLサツキのアルティメット編のマグノリア邸の酒盛りへ
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サツキが綺麗に全身を洗った後、一旦お湯を捨ててまた獅子丸に綺麗なお湯を出してもらっていると、ドアがコンコン、とノックされた。
「サツキー? 寝てないか?」
どうやら長風呂をし過ぎて寝ていると思われたらしい。
「起きてるよ! ちょっと待ってて、すぐ上がるから」
「用意出来たから」
「うん!」
ユラは相当お腹を空かせている。しかも寝ていないから、そろそろ色々と我慢の限界なのかもしれない。それでもサツキと話をする為にこうやって起きて待っててくれているのだ。
「獅子丸、ありがと! もう上がるね!」
サツキがそう言って獅子丸の頭をまた撫でた。獅子丸は嬉しそうににやりと笑った。
サツキは急いで身体を拭くと、ブラシで髪の毛を梳かし、タオルでパンパンと叩く。拭き足りなくて風邪は引きたくないが、身体がかなり温まってしまったので、今は乾かすのは後回しにしたかった。
もうユラに会いたかった。
サツキは服を着て首にタオルを掛けつつ風呂場の外へと出た。台所で待っているだろうユラを思うと、僅かな距離だというのに小走りになってしまう。我ながら夢中になり過ぎだとは思うが、だって会いたい。ユラの笑顔を間近で見たい。この家にいる限り、ユラの笑顔はサツキだけが見れるサツキの特権だから。
台所へ駆け込む。落ち着いた青色のシャツをゆったりと着たユラがいる。胸元は大分開いていて、硬そうな胸板がちらちらと覗いていた。ユラはこういう格好がとてもよく似合う。本人もきっとよく分かっているに違いないけど。
「ユラ」
出来るだけはしゃいだ声にならない様に心がけたつもりだったが、台所に立つユラが振り返って笑顔になったのを見た瞬間、もう溶けそうになってしまって駄目だった。
「遅く、なりました」
「風呂、長すぎ」
ユラが笑いながら料理が盛られた皿を持ち、それをテーブルに置く。ユラの指は長くて綺麗で、どちらかと言わなくても小さなサツキの手とは大違いだ。
ユラが、両手を大きく広げてサツキに向き合った。
「サツキ」
これは飛び込んでおいで、ということだろうか。飛び込んでしまっていいのだろうか? サツキが戸惑っていると、ふ、と笑顔になって言った。
「俺は待ってるぞ。ほら来いよ」
「――ユラ!」
サツキは、吸い寄せられる様にユラの胸に飛び込み、抱きついた。ああ、どうしよう。こんなにも好きで好きで仕方ない。ユラはアールに失恋したばかりだというのに。
それにしても、ユラはサツキがユラに好意を抱いていることを、知っているのだろうか。
ふとサツキは気になった。というか、知っていないとこんなことはそもそもしないのが普通じゃないだろうか。だって、ほら来いよなんて、自分が好かれている自信がなければ絶対言える台詞じゃない。
ユラの身体は、少し冷えていた。ぎゅっと抱き締められる腕もややひんやりしている。
「ユラ、髪の毛乾かそうか」
「んー? 大分乾いちゃったけど、サツキが乾かすなら一緒にやろうかな」
ユラに風邪を引かれたくはない。サツキはまだ正直暑かったが、ユラの方が大事だ。サツキは頷くと、二人分まとめて髪を乾かす呪文を唱えた。もう今ではおてのものである。
ほかほかになったユラの髪に触れる。ユラも、サツキの髪をあの綺麗な指で梳く。
ちゅ、と軽くキスをすると、ユラはサツキの肩を抱いてテーブルへと誘導し、椅子を一つ引いてそこにサツキを座らせた。そしてテーブルの反対側にあった椅子をサツキの隣に持ってくると、ユラはそこに座ったのだった。
「サツキー? 寝てないか?」
どうやら長風呂をし過ぎて寝ていると思われたらしい。
「起きてるよ! ちょっと待ってて、すぐ上がるから」
「用意出来たから」
「うん!」
ユラは相当お腹を空かせている。しかも寝ていないから、そろそろ色々と我慢の限界なのかもしれない。それでもサツキと話をする為にこうやって起きて待っててくれているのだ。
「獅子丸、ありがと! もう上がるね!」
サツキがそう言って獅子丸の頭をまた撫でた。獅子丸は嬉しそうににやりと笑った。
サツキは急いで身体を拭くと、ブラシで髪の毛を梳かし、タオルでパンパンと叩く。拭き足りなくて風邪は引きたくないが、身体がかなり温まってしまったので、今は乾かすのは後回しにしたかった。
もうユラに会いたかった。
サツキは服を着て首にタオルを掛けつつ風呂場の外へと出た。台所で待っているだろうユラを思うと、僅かな距離だというのに小走りになってしまう。我ながら夢中になり過ぎだとは思うが、だって会いたい。ユラの笑顔を間近で見たい。この家にいる限り、ユラの笑顔はサツキだけが見れるサツキの特権だから。
台所へ駆け込む。落ち着いた青色のシャツをゆったりと着たユラがいる。胸元は大分開いていて、硬そうな胸板がちらちらと覗いていた。ユラはこういう格好がとてもよく似合う。本人もきっとよく分かっているに違いないけど。
「ユラ」
出来るだけはしゃいだ声にならない様に心がけたつもりだったが、台所に立つユラが振り返って笑顔になったのを見た瞬間、もう溶けそうになってしまって駄目だった。
「遅く、なりました」
「風呂、長すぎ」
ユラが笑いながら料理が盛られた皿を持ち、それをテーブルに置く。ユラの指は長くて綺麗で、どちらかと言わなくても小さなサツキの手とは大違いだ。
ユラが、両手を大きく広げてサツキに向き合った。
「サツキ」
これは飛び込んでおいで、ということだろうか。飛び込んでしまっていいのだろうか? サツキが戸惑っていると、ふ、と笑顔になって言った。
「俺は待ってるぞ。ほら来いよ」
「――ユラ!」
サツキは、吸い寄せられる様にユラの胸に飛び込み、抱きついた。ああ、どうしよう。こんなにも好きで好きで仕方ない。ユラはアールに失恋したばかりだというのに。
それにしても、ユラはサツキがユラに好意を抱いていることを、知っているのだろうか。
ふとサツキは気になった。というか、知っていないとこんなことはそもそもしないのが普通じゃないだろうか。だって、ほら来いよなんて、自分が好かれている自信がなければ絶対言える台詞じゃない。
ユラの身体は、少し冷えていた。ぎゅっと抱き締められる腕もややひんやりしている。
「ユラ、髪の毛乾かそうか」
「んー? 大分乾いちゃったけど、サツキが乾かすなら一緒にやろうかな」
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ちゅ、と軽くキスをすると、ユラはサツキの肩を抱いてテーブルへと誘導し、椅子を一つ引いてそこにサツキを座らせた。そしてテーブルの反対側にあった椅子をサツキの隣に持ってくると、ユラはそこに座ったのだった。
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