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第四章 アルティメット編開始
第659話 魔術師リアムのアルティメット編・最後の砦攻略、就業開始前
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今日はカフェで朝食を購入し、会社で食すことにした。少し早く出たからか、職場の玄関の扉にはまだ鍵がされている。
祐介は自分の鞄の中から鍵の束を取り出すと、扉を解錠した。両開きの扉を開けると、中からむわっとした空気がリアム達に押し寄せる。
「あっつー」
祐介が背広の前をパタパタとさせながら、壁についているエアコンの電源を入れた。リアムはその間に、電気のスイッチをパチパチと押していく。
壁掛けの時計を見ると、八時十五分。リアムは暖かくなっている自分の椅子に座ると、ぱっと食事を済ますことにした。祐介は背広を自分の椅子に掛けると、木佐ちゃんの席に座ったかと思うと椅子をリアムの椅子にぴったりとくっつけてきた。顔には満面の笑みが浮かんでいる。
「会社で二人っきりって何かいいね」
「何がだ?」
「サツキちゃん、そろそろ映画から一旦離れてドラマを観るのもありかもよ」
「ドラマとは何だ」
リアムがサンドイッチにぱくつきながらそう尋ねると、紙袋からガサゴソとアイスコーヒーとサンドイッチを取り出した祐介が言った。
「こういう場所での恋愛の話とかが多いかも」
「ほう」
「興味ある?」
「他の職場の雰囲気がどういったものなのかには興味がある」
「うん、まあそれでいいや。今日さ、何か借りて帰ろうよ」
リアムは素直に頷いた。祐介の腿がリアムの腿にくっついていて正直暑いと思って足をずらすと、祐介がそれは見事に膨れた。
「折角二人なのに」
「暑いのだ」
そして落ち着かなくなる。祐介はむくれたまま、サンドイッチをぱくりと大きな口で齧り取った。リアムがパソコンの電源を付け、もぐもぐしながら確認していくと、メールの未読の所の一番上に、ユメからのメールが届いていた。
「祐介、ユメからだ」
時間を見ると、つい五分前である。祐介はむくれるのを止めると、画面に顔を近付けてきた。
「読んでよ」
「ああ」
中を開くと、短く一行書いてあるだけだった。
『九時半社長室』
リアムと祐介は顔を見合わせると、全員の予定表を確認する。
「羽田さん、今日また展示場だ」
「橋本さんも一緒の様だな」
「何か書いてある。……金曜日に来た新規顧客との商談だって。状況によるけど、一件だけなら戻ってくるかも?」
リアムは祐介を見ると、急いで残りのサンドイッチを口に詰め込んだ。
「祐介、仕事をさっさと片付けて挑むぞ」
「そうだね、潮崎さんと木佐さんが来たら話しておかないとだし」
祐介もリアムと同じ様にサンドイッチを頬張ると、自分の席に急いで戻るとパソコンの電源を点けた。
リアムの席から見える祐介の表情は、一瞬で働く男のものへと切り替わった。いい顔だ。リアムが見ていることにも気付かない。
リアムは口の端を少し上げると、自分もパソコンに向き直り、木佐ちゃんが来るまでにやるべき内容と確認事項をまとめることにした。
かちゃかちゃと鳴るだけのこの沈黙が心地よい。
リアムと祐介は不思議な絆で繋がっている。時に恋人の様に、時に友人の様になる不思議な縁だ。
だけどこれは、まるで同志だ。同じ目的に向かい、手を取り合い突き進む。
これまでは、リアムは一人で前へと突き進んでいくのが当たり前だった。でも今は隣に祐介という心強い味方がいる。そう思うと、リアムの心は温かさで満ちてくるのだった。
祐介は自分の鞄の中から鍵の束を取り出すと、扉を解錠した。両開きの扉を開けると、中からむわっとした空気がリアム達に押し寄せる。
「あっつー」
祐介が背広の前をパタパタとさせながら、壁についているエアコンの電源を入れた。リアムはその間に、電気のスイッチをパチパチと押していく。
壁掛けの時計を見ると、八時十五分。リアムは暖かくなっている自分の椅子に座ると、ぱっと食事を済ますことにした。祐介は背広を自分の椅子に掛けると、木佐ちゃんの席に座ったかと思うと椅子をリアムの椅子にぴったりとくっつけてきた。顔には満面の笑みが浮かんでいる。
「会社で二人っきりって何かいいね」
「何がだ?」
「サツキちゃん、そろそろ映画から一旦離れてドラマを観るのもありかもよ」
「ドラマとは何だ」
リアムがサンドイッチにぱくつきながらそう尋ねると、紙袋からガサゴソとアイスコーヒーとサンドイッチを取り出した祐介が言った。
「こういう場所での恋愛の話とかが多いかも」
「ほう」
「興味ある?」
「他の職場の雰囲気がどういったものなのかには興味がある」
「うん、まあそれでいいや。今日さ、何か借りて帰ろうよ」
リアムは素直に頷いた。祐介の腿がリアムの腿にくっついていて正直暑いと思って足をずらすと、祐介がそれは見事に膨れた。
「折角二人なのに」
「暑いのだ」
そして落ち着かなくなる。祐介はむくれたまま、サンドイッチをぱくりと大きな口で齧り取った。リアムがパソコンの電源を付け、もぐもぐしながら確認していくと、メールの未読の所の一番上に、ユメからのメールが届いていた。
「祐介、ユメからだ」
時間を見ると、つい五分前である。祐介はむくれるのを止めると、画面に顔を近付けてきた。
「読んでよ」
「ああ」
中を開くと、短く一行書いてあるだけだった。
『九時半社長室』
リアムと祐介は顔を見合わせると、全員の予定表を確認する。
「羽田さん、今日また展示場だ」
「橋本さんも一緒の様だな」
「何か書いてある。……金曜日に来た新規顧客との商談だって。状況によるけど、一件だけなら戻ってくるかも?」
リアムは祐介を見ると、急いで残りのサンドイッチを口に詰め込んだ。
「祐介、仕事をさっさと片付けて挑むぞ」
「そうだね、潮崎さんと木佐さんが来たら話しておかないとだし」
祐介もリアムと同じ様にサンドイッチを頬張ると、自分の席に急いで戻るとパソコンの電源を点けた。
リアムの席から見える祐介の表情は、一瞬で働く男のものへと切り替わった。いい顔だ。リアムが見ていることにも気付かない。
リアムは口の端を少し上げると、自分もパソコンに向き直り、木佐ちゃんが来るまでにやるべき内容と確認事項をまとめることにした。
かちゃかちゃと鳴るだけのこの沈黙が心地よい。
リアムと祐介は不思議な絆で繋がっている。時に恋人の様に、時に友人の様になる不思議な縁だ。
だけどこれは、まるで同志だ。同じ目的に向かい、手を取り合い突き進む。
これまでは、リアムは一人で前へと突き進んでいくのが当たり前だった。でも今は隣に祐介という心強い味方がいる。そう思うと、リアムの心は温かさで満ちてくるのだった。
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