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第四章 アルティメット編開始
第652話 OLサツキのアルティメット編・フレイのダンジョンからの凱旋
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氷漬けだったドラゴンは、暫くするとサラサラと砂状になって散っていった。すると、その跡にブン、と音を立てて、転移魔法陣が地面の上に現れる。
ウルスラが辺りを見回して、肩をしょんぼりと落とした。
「今回はお宝はなかったわね」
「ドラゴンのお宝ドロップ率は極端に低いっていうからな」
ユラも少し残念そうだ。
「まあ、ないもんは仕方ないよ! さ、皆、帰ろうぜ! 俺腹減っちゃったよ!」
アールが笑いながらそう言うと、サツキも急に空腹を覚えた。
「昨日何も食べてないもんね。ユラ達はご飯食べられた?」
サツキの質問に、ユラは首を横に振った。
「寝ずにここまで来たから、正直クタクタ」
「……本当に、ありがとう」
「何だよありがとうって」
はは、とユラが笑った。サツキの肩に手を乗せると、魔法陣へと一歩踏み出す。ウルスラ達も二匹のスライムも、皆魔法陣の上に乗った。
ウルスラが高々と宣言する様に言った。
「フルール!」
そしてその一瞬後、一行は数日前に訪れたフレイのダンジョンの地上入り口へと転移された。外には爽やかな風が吹いている。
ユラは寒くなったのか、急にあの冷やし効果のあるタンクトップを脱ぎ出した。見ると、腹部にも血の線が幾つも付いていた。
「ユラ……怪我、いっぱいしたんだね」
「だから気にするなって」
ユラがサツキの頭をぽんと撫でた。
「にしても、やっぱりあのドラゴンの所為であんなに暑かったのね」
「とりあえず風呂に入りたい」
アールがそう言ったが、ウルスラはそれに待ったをかけた。
「価格交渉が先」
「分かったよ」
アールはそう言って笑うと、ウルスラと須藤さんと手を繋ぐ。ウルスラはユラと手を繋ぎ、ユラはサツキの手を取った。ラムは急いで須藤さんの空いている方の手を握った。
サツキが杖を構え、唱えた。
「フルール! バルバイト!」
そして一行は、懐かしのバルバイトの街の入り口に辿り着いたのだった。
◇
「だーかーら! 前回の金額は明らかに少なかったと思うのよね!? で、今回は前回以上の大物だった訳だし、それにこれ! これにもちゃんと記録取ってあるんでしょ!?」
ウルスラが、腰にぶら下げていた懐中時計を取ると、ジュリアンの目の前にそれを突きつけた。どうやらこの懐中時計は、何のモンスターを倒したかも記憶しているらしい。
ウルスラの勢いは凄いものがあったが、ジュリアンも負けてはいない。
「まずは記録を確認してからだ。だけどなあ、最近は資金難で」
「前回よりも多くないと、納得いかないわよ! どれだけ苦労したと思ってるのよ!」
ウルスラの剣幕に、ジュリアンは一歩後ろに引いた。そしてユラとウルスラをジロジロと上から下まで眺めた。
「……血だらけじゃないか」
「だから大変だったんだってば!」
「でもなあ」
すると、ユラがボソリと小声で言った。
「まあ、他のギルドに行ってもいいんだけど? サツキが世界のダンジョンの秘密を知ったらしいんだよな。それにファイヤースパイダーの習性とかも結構分かったんだけど、他のギルドの手柄にしたいならそれでも」
すると、ジュリアンが慌ててユラのボロボロの法衣を掴んだ。
「ちょっと待て、ダンジョンの秘密!? 何だそれ!」
「さあて?」
ユラがニヤリと笑う。ジュリアンが、後ろにいるサツキを「本当か?」という目で見てきたので、サツキは大きく頷いてみせた。
「分かった。――まずは依頼の精算から始めようか」
「一つずつ、じっくりとね」
ウルスラの目が、妖しく光った。
ウルスラが辺りを見回して、肩をしょんぼりと落とした。
「今回はお宝はなかったわね」
「ドラゴンのお宝ドロップ率は極端に低いっていうからな」
ユラも少し残念そうだ。
「まあ、ないもんは仕方ないよ! さ、皆、帰ろうぜ! 俺腹減っちゃったよ!」
アールが笑いながらそう言うと、サツキも急に空腹を覚えた。
「昨日何も食べてないもんね。ユラ達はご飯食べられた?」
サツキの質問に、ユラは首を横に振った。
「寝ずにここまで来たから、正直クタクタ」
「……本当に、ありがとう」
「何だよありがとうって」
はは、とユラが笑った。サツキの肩に手を乗せると、魔法陣へと一歩踏み出す。ウルスラ達も二匹のスライムも、皆魔法陣の上に乗った。
ウルスラが高々と宣言する様に言った。
「フルール!」
そしてその一瞬後、一行は数日前に訪れたフレイのダンジョンの地上入り口へと転移された。外には爽やかな風が吹いている。
ユラは寒くなったのか、急にあの冷やし効果のあるタンクトップを脱ぎ出した。見ると、腹部にも血の線が幾つも付いていた。
「ユラ……怪我、いっぱいしたんだね」
「だから気にするなって」
ユラがサツキの頭をぽんと撫でた。
「にしても、やっぱりあのドラゴンの所為であんなに暑かったのね」
「とりあえず風呂に入りたい」
アールがそう言ったが、ウルスラはそれに待ったをかけた。
「価格交渉が先」
「分かったよ」
アールはそう言って笑うと、ウルスラと須藤さんと手を繋ぐ。ウルスラはユラと手を繋ぎ、ユラはサツキの手を取った。ラムは急いで須藤さんの空いている方の手を握った。
サツキが杖を構え、唱えた。
「フルール! バルバイト!」
そして一行は、懐かしのバルバイトの街の入り口に辿り着いたのだった。
◇
「だーかーら! 前回の金額は明らかに少なかったと思うのよね!? で、今回は前回以上の大物だった訳だし、それにこれ! これにもちゃんと記録取ってあるんでしょ!?」
ウルスラが、腰にぶら下げていた懐中時計を取ると、ジュリアンの目の前にそれを突きつけた。どうやらこの懐中時計は、何のモンスターを倒したかも記憶しているらしい。
ウルスラの勢いは凄いものがあったが、ジュリアンも負けてはいない。
「まずは記録を確認してからだ。だけどなあ、最近は資金難で」
「前回よりも多くないと、納得いかないわよ! どれだけ苦労したと思ってるのよ!」
ウルスラの剣幕に、ジュリアンは一歩後ろに引いた。そしてユラとウルスラをジロジロと上から下まで眺めた。
「……血だらけじゃないか」
「だから大変だったんだってば!」
「でもなあ」
すると、ユラがボソリと小声で言った。
「まあ、他のギルドに行ってもいいんだけど? サツキが世界のダンジョンの秘密を知ったらしいんだよな。それにファイヤースパイダーの習性とかも結構分かったんだけど、他のギルドの手柄にしたいならそれでも」
すると、ジュリアンが慌ててユラのボロボロの法衣を掴んだ。
「ちょっと待て、ダンジョンの秘密!? 何だそれ!」
「さあて?」
ユラがニヤリと笑う。ジュリアンが、後ろにいるサツキを「本当か?」という目で見てきたので、サツキは大きく頷いてみせた。
「分かった。――まずは依頼の精算から始めようか」
「一つずつ、じっくりとね」
ウルスラの目が、妖しく光った。
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