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第四章 アルティメット編開始

第650話 OLサツキのアルティメット編・フレイのダンジョンのダブルドラゴンスレイヤー誕生

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 サツキとユラが話をしていると、ウルスラとアールが駆け寄ってきた。なんと二人は手を繋いでいる。

 サツキは驚いてウルスラを見ると、ウルスラの笑顔は若干照れくさそうではあるが、もう覚悟を決めた、そういう笑顔であった。

「まさかのドラゴンだとはな!」

 アールがあはは、と笑う。

「ねえ、ドラゴンを二匹倒すと、何か称号変わるの?」

 今は確かドラゴンスレイヤーだった筈だが。サツキがそう尋ねると、ユラがうーん? と首を傾げた。

「ダブルドラゴンスレイヤーの称号だったっけな?」
「確かそうだったかも? 滅多に聞かないから分からないわね」

 ウルスラも首を傾げている。

「いやーしかし、一回目はファイヤードラゴンで二回目はフレイムドラゴンか! なんか俺達、ドラゴンに縁があるのかもなー」

 恋を無事成就させたアールが、幸せそうに微笑みながらそう言った。

「とりあえず、これで今度こそ暫く生活に困らないわね!」
「なあ、そしたら、ウルスラ。そろそろ女子寮から出ないか? 一緒に暮らそう」
「え、い、いきなり? でも同棲ってもっと慎重に……」
「俺は早ければ早い方がいいと思ってる」
 
 爽やかなイケメン顔をキリッとさせて、アールがきっぱりと言った。リアムの様に知的なイケメンが現れる前にゲットするとか言っていたから、その作戦の内の一つだろう。それにしても包み隠さない人だ。

 サツキは二人のイチャイチャ具合にユラが傷付かないかが心配になりユラを盗み見したが、ユラは指を折って何かを数えている真っ最中だ。多分、取り分の計算をしている。もしかして、恋愛より金なタイプなんだろうか。ちょっと安心な様な、それでいいのかという様な。

 そして、ユラがにこっと笑った。

「取らぬ何だっけ?」
「取らぬ狸の皮算用?」
「そうそう、どうだサツキ! 全部取ったぞ! こういうのは何て言うんだ?」

 ユラは実に嬉しそうだ。しかしそういったのって、何て言うんだろうか。

「えーと……継続は力なり……かなあ?」
「継続は力……その言葉いいな!」

 ぱあっと笑顔になったユラは、いつの間にかサツキの腰にしがみついていたラムを笑顔のままべりっと剥がした。ラムが恨めしそうにユラを睨みつける。

「とにかく!」

 ウルスラが拳を握り締め、振り上げた。

「私達はこれで立派な上級冒険者! ダブルドラゴンスレイヤーのパーティーよ!」
「凱旋だな!」
「でもあれだな、ギルドで価格交渉しないとまたぼったくられるんじゃねえか?」

 ユラのその言葉に、ウルスラの目がキランと光る。

「そうよ! 前回はジュリアンにしてやられたから、今度はユラ! あんたも交渉の場に立ち会うわよ!」
「え、俺は帰ったらすぐサツキと……」
「お金の為!」

 ユラは凄く悩んでいる様だ。ウルスラとサツキを見比べ、――肩を落とした。

「……少しお預けか。金は大事だもんな……」

 やってもらいたいという何かのことだと察したサツキは、ユラに微笑みかけた。

「私も待ってるから」

 すると、ユラが真剣な顔で何かを言い始めた。

「サツキ、いいか! 今回はドラゴン退治に向かうって宣言してないからこの前みたいにすぐに囲まれることはないだろうけど、バレた後はきっと色んな奴が今度こそ俺達を囲む。だから、暫くは外出禁止な! お前は男にも女にも絶対近付くんじゃないぞ!」

 何だかユラが怖い。サツキはとりあえずこくこくと頷いてみせた。すると、アールもユラに倣った。

「ウルスラも、俺んちで暫く過ごそうな」
「え、あ、うん」

 ウルスラも何度も頷いてみせると、アールはほっとした様な表情を見せて笑ったのだった。
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