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第四章 アルティメット編開始
第643話 魔術師リアムのアルティメット編・病院ニ日目の病院へ
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祐介が作ってくれた昼食をささっと食べ終えると、リアムと祐介は本日もまた病院へと赴く為に家を出た。
今日は少し曇っており直射日光はないが、その代わり気温が高く、非常に蒸している。祐介曰く、雲が蓋をしているからだとか。本当だろうかと少し疑っていると、今度は気象予報の社会科見学に行こうと誘われた。
「社会科見学とは何だ」
「小学校の時に、社会科っていう授業の一環で、色んな施設に学びに行くことだよ」
「ほう」
そういえば、テレビでも気象予報士なるものが地図を操り翌日の天気の説明をしている。あれを学ぶことが出来るのであろうか。
リアムは二つ返事で即答した。
「行く」
「でしょでしょ。調べよっと」
ホームに入ってきた電車に乗り込むと、祐介はいそいそとスマホを弄りだした。マメな奴である。そして、リアムの視線に気付くと、リアムの肩を引き寄せつつにっこりと笑って言った。
「君といると、飽きない」
そしてリアムの頭に頬を寄せ、スマホで検索し続けていた祐介であった。
◇
今日は病院のロビーで待ち合わせということで、二人はのんびりと病院まで歩いていた。曇っているから日傘は不要だったが、それでも暑い。じんわりと滲む汗で繋いだ手が滑るが、それでも祐介は手を離そうとはしなかった。
「祐介、この暑さはいつまで続くのだ?」
どうせ手を繋ぐなら、涼しい中で繋ぎたい。
「まだこれからだよ。暑さ寒さも彼岸までっていう言葉があるんだけど、それが大体九月の終わりの方だから」
「まだ八月が始まったばかりではないか」
「あ、でもあと三日頑張ると、夏休みがあるよ」
「夏休み……ああ、そういえばお盆なるものがあるから配送には気を付けるようにと木佐ちゃん殿が言っていたが」
祐介はにこやかに頷いてみせた。
「そうそう、それ。お盆の時期に合わせて田舎に帰省する人が多いから、それでそこがお休みになったんだろうね。あ、お盆っていうのは、ご先祖様の墓参りに行って綺麗にしたりする期間のことね」
「ご先祖様を祀るのか?」
「うん、まあそんな感じ」
この世界には、まだまだ覚えねばならないことが沢山あるようだ。
「あ、夏休みに海に行く?」
「それまでにこの件が片付くのだろうか?」
「……病院もお盆は休みじゃない?」
「患者は年中病人だと思うぞ。それに羽田さんの件も片付けたいが」
「休み中はどうしようもならないでしょ」
それは確かにそうである。片付かない状態で遊びに行くのも何だかスッキリしないが、祐介はそれでもいいのだろうかと思っていると、祐介がにこっと笑って言った。
「熱海なら海も温泉もあるよ」
温泉という言葉に、リアムは反応した。
「……行く」
「だよね! 特急乗らないで鈍行でも行けるし、よし、予約しよう!」
祐介は気が早い。というか、決定から行動までの時間が短い。例の如くスマホを操作すると、あっという間に宿の予約をしてしまった。
「ぎりぎりでもひと部屋なら空いてるもんだね。あ、でも今回は和室は一杯だったから、洋室だって」
「洋室?」
「ベッドってこと。ダブル一個。まあいつも一緒に寝てるしいいよね」
「ダブル?」
「ベッドのサイズ。サツキちゃんちのより少し幅が広い位かな」
「まあ、構わん」
どうせいつも一緒に寝ている。祐介がにこにこで手を振り始めた。随分とご機嫌な様である。
「病院の後、水着買いに行こう。ね?」
もう何が何だかよく分からないので、リアムは祐介に委ねることにしたのだった。
今日は少し曇っており直射日光はないが、その代わり気温が高く、非常に蒸している。祐介曰く、雲が蓋をしているからだとか。本当だろうかと少し疑っていると、今度は気象予報の社会科見学に行こうと誘われた。
「社会科見学とは何だ」
「小学校の時に、社会科っていう授業の一環で、色んな施設に学びに行くことだよ」
「ほう」
そういえば、テレビでも気象予報士なるものが地図を操り翌日の天気の説明をしている。あれを学ぶことが出来るのであろうか。
リアムは二つ返事で即答した。
「行く」
「でしょでしょ。調べよっと」
ホームに入ってきた電車に乗り込むと、祐介はいそいそとスマホを弄りだした。マメな奴である。そして、リアムの視線に気付くと、リアムの肩を引き寄せつつにっこりと笑って言った。
「君といると、飽きない」
そしてリアムの頭に頬を寄せ、スマホで検索し続けていた祐介であった。
◇
今日は病院のロビーで待ち合わせということで、二人はのんびりと病院まで歩いていた。曇っているから日傘は不要だったが、それでも暑い。じんわりと滲む汗で繋いだ手が滑るが、それでも祐介は手を離そうとはしなかった。
「祐介、この暑さはいつまで続くのだ?」
どうせ手を繋ぐなら、涼しい中で繋ぎたい。
「まだこれからだよ。暑さ寒さも彼岸までっていう言葉があるんだけど、それが大体九月の終わりの方だから」
「まだ八月が始まったばかりではないか」
「あ、でもあと三日頑張ると、夏休みがあるよ」
「夏休み……ああ、そういえばお盆なるものがあるから配送には気を付けるようにと木佐ちゃん殿が言っていたが」
祐介はにこやかに頷いてみせた。
「そうそう、それ。お盆の時期に合わせて田舎に帰省する人が多いから、それでそこがお休みになったんだろうね。あ、お盆っていうのは、ご先祖様の墓参りに行って綺麗にしたりする期間のことね」
「ご先祖様を祀るのか?」
「うん、まあそんな感じ」
この世界には、まだまだ覚えねばならないことが沢山あるようだ。
「あ、夏休みに海に行く?」
「それまでにこの件が片付くのだろうか?」
「……病院もお盆は休みじゃない?」
「患者は年中病人だと思うぞ。それに羽田さんの件も片付けたいが」
「休み中はどうしようもならないでしょ」
それは確かにそうである。片付かない状態で遊びに行くのも何だかスッキリしないが、祐介はそれでもいいのだろうかと思っていると、祐介がにこっと笑って言った。
「熱海なら海も温泉もあるよ」
温泉という言葉に、リアムは反応した。
「……行く」
「だよね! 特急乗らないで鈍行でも行けるし、よし、予約しよう!」
祐介は気が早い。というか、決定から行動までの時間が短い。例の如くスマホを操作すると、あっという間に宿の予約をしてしまった。
「ぎりぎりでもひと部屋なら空いてるもんだね。あ、でも今回は和室は一杯だったから、洋室だって」
「洋室?」
「ベッドってこと。ダブル一個。まあいつも一緒に寝てるしいいよね」
「ダブル?」
「ベッドのサイズ。サツキちゃんちのより少し幅が広い位かな」
「まあ、構わん」
どうせいつも一緒に寝ている。祐介がにこにこで手を振り始めた。随分とご機嫌な様である。
「病院の後、水着買いに行こう。ね?」
もう何が何だかよく分からないので、リアムは祐介に委ねることにしたのだった。
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