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第四章 アルティメット編開始
第642話 OLサツキのアルティメット編・フレイのダンジョンのフレイムドラゴン戦後半の続き
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どんどん減っていく自身の魔力を感じ取り、サツキは焦っていた。ドラゴンの体内の溶岩はほぼ尽きかけてはいたが、まだなくなってはいない。今ここで先にサツキの魔力の方が尽きて倒れてしまったら、確実に死ぬ。
さっきまでユラを死なせたくないと必死で自分にドラゴンの注意を引きつけたのに、急に怖くなった。死ぬのが、じゃない。
ユラに会えなくなるのが。
サツキは少しだけ魔力の放出を抑えた。すると案の定、雪崩の壁が少しずつ押し返されてきてしまった。焦りがサツキを襲う。
お願い、保って。もう一度だけでいい、ユラに触れたい。焼かれて死んで元の世界に戻ってしまう前に、ユラに抱き締めてもらいたい。あの人の強引な腕の中に納まって、幸せに包まれたい。
サツキの頬を、涙が伝った。どんどん押される。アールは無事だろうか? ユラは僧侶の適正はばっちりだけど、かなりボロボロの状態だった。彼にも魔力は残ってるんだろうか。須藤さんもいた筈だけど、無事だろうか。大好きなラムと、ようやく会えているだろうか。サツキがメルトを唱えた所為で、須藤さんにも大分迷惑をかけた。ごめんね須藤さん。
もう、炎は目の前に迫っていた。身体の中の魔力は、もうほぼない。
サツキは目の前に広がる炎を見つめた。熱いし、目の前が真っ赤で他に何も見えない。最後に全力で押し返して、その隙に横に逃げ切れないだろうか。でも、今全力を注ぎ込んだら、多分もう動けない。
リアムは、これに焼かれて死んだんだ。
「……ラ」
嗚咽が漏れ出た。
助けて、助けて、助けて。
「――ユラ! ユラ!!」
すると。
ドオオオオンンッッ!! という轟音と共に、真っ白に輝く雷が嵐と共にドラゴンを襲った。それと同時に、サツキの魔力が全て尽きた。ふ、と意識が遠のいていく。
――たす、かった?
あれは、もしかしてラムの魔法だろうか。まだ雷雨は続いている。凄い、凄いよラムちゃん。
身体中の力が抜けていく。ダンジョンの天井が見える。赤い石が、雷を反射して輝いていて、いつかユラと見たマグノリアの星空みたいだと思った。
すると、ガッとサツキを抱き止める手があった。今はリアムの身体だから、重いよ。そんなことを思う。誰かな。もう見えない。
「エレ・イリカ・ヴェール!!」
呪文を唱える声が聞こえたかと思うと、口が塞がれた。
サツキの目から、涙が次から次へと溢れ出る。ああ、だってこれは知ってる。サツキがよく知っている人の唇だから。身体にどんどん魔力が満ちてくるのが分かった。
ぷは、と息継ぎをすると、その人は言った。
「少し貰うぞ! エレ・ドレイン!」
そしてまた口づける。ぐん、とまた魔力が減るが、でも今度は最後までなくなりはしない。口が離れていった。
サツキは目を開けた。雷はまだ続いている。目の前には、焦った顔のユラ。薄汚れているのに、やっぱり悔しいくらいのイケメンだ。
「――馬鹿サツキ」
また言われた。でも今回は、サツキはボロボロと泣きながら頷いた。頷きながら、ユラの首に腕を回した。リアムの姿だって何だっていい。今すぐにユラを抱き締めたかった。
「バリアーラ」
ユラがドラゴンの方向に手を翳し、防御魔法を唱えた。そして手を戻してサツキを支え直すと、言った。
「……エレ・イリカ・ヴェール」
固く抱き合った二人は、ゆっくりと唇を合わせた。
さっきまでユラを死なせたくないと必死で自分にドラゴンの注意を引きつけたのに、急に怖くなった。死ぬのが、じゃない。
ユラに会えなくなるのが。
サツキは少しだけ魔力の放出を抑えた。すると案の定、雪崩の壁が少しずつ押し返されてきてしまった。焦りがサツキを襲う。
お願い、保って。もう一度だけでいい、ユラに触れたい。焼かれて死んで元の世界に戻ってしまう前に、ユラに抱き締めてもらいたい。あの人の強引な腕の中に納まって、幸せに包まれたい。
サツキの頬を、涙が伝った。どんどん押される。アールは無事だろうか? ユラは僧侶の適正はばっちりだけど、かなりボロボロの状態だった。彼にも魔力は残ってるんだろうか。須藤さんもいた筈だけど、無事だろうか。大好きなラムと、ようやく会えているだろうか。サツキがメルトを唱えた所為で、須藤さんにも大分迷惑をかけた。ごめんね須藤さん。
もう、炎は目の前に迫っていた。身体の中の魔力は、もうほぼない。
サツキは目の前に広がる炎を見つめた。熱いし、目の前が真っ赤で他に何も見えない。最後に全力で押し返して、その隙に横に逃げ切れないだろうか。でも、今全力を注ぎ込んだら、多分もう動けない。
リアムは、これに焼かれて死んだんだ。
「……ラ」
嗚咽が漏れ出た。
助けて、助けて、助けて。
「――ユラ! ユラ!!」
すると。
ドオオオオンンッッ!! という轟音と共に、真っ白に輝く雷が嵐と共にドラゴンを襲った。それと同時に、サツキの魔力が全て尽きた。ふ、と意識が遠のいていく。
――たす、かった?
あれは、もしかしてラムの魔法だろうか。まだ雷雨は続いている。凄い、凄いよラムちゃん。
身体中の力が抜けていく。ダンジョンの天井が見える。赤い石が、雷を反射して輝いていて、いつかユラと見たマグノリアの星空みたいだと思った。
すると、ガッとサツキを抱き止める手があった。今はリアムの身体だから、重いよ。そんなことを思う。誰かな。もう見えない。
「エレ・イリカ・ヴェール!!」
呪文を唱える声が聞こえたかと思うと、口が塞がれた。
サツキの目から、涙が次から次へと溢れ出る。ああ、だってこれは知ってる。サツキがよく知っている人の唇だから。身体にどんどん魔力が満ちてくるのが分かった。
ぷは、と息継ぎをすると、その人は言った。
「少し貰うぞ! エレ・ドレイン!」
そしてまた口づける。ぐん、とまた魔力が減るが、でも今度は最後までなくなりはしない。口が離れていった。
サツキは目を開けた。雷はまだ続いている。目の前には、焦った顔のユラ。薄汚れているのに、やっぱり悔しいくらいのイケメンだ。
「――馬鹿サツキ」
また言われた。でも今回は、サツキはボロボロと泣きながら頷いた。頷きながら、ユラの首に腕を回した。リアムの姿だって何だっていい。今すぐにユラを抱き締めたかった。
「バリアーラ」
ユラがドラゴンの方向に手を翳し、防御魔法を唱えた。そして手を戻してサツキを支え直すと、言った。
「……エレ・イリカ・ヴェール」
固く抱き合った二人は、ゆっくりと唇を合わせた。
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