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第四章 アルティメット編開始
第637話 魔術師リアムのアルティメット編・病院初日の午後終了へ
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リアムと祐介は、駅前のラーメン屋でラーメンを食べた。店の中は涼しかったが、汁まで啜ってぽかぽかになったリアムは、外に出て一瞬で汗をかき始めた。
「こんな時間に食べたら、夜ご飯は軽めにしないとね」
祐介も暑そうにTシャツをパタパタしながら、そう言って笑った。すると、祐介のスマホが鳴り始めた。祐介が面倒臭そうにそれを尻ポケットから取り出す。そして思い切り顔を顰め、嫌そうに電話に出た。
「はい?」
相手は男の様だ。何を言っているかまでは聞き取れないが、わーわー何かを言っているのは分かる。
「あー、うん、その件は月曜日でもいいかな」
祐介はスマホから少し耳を離した。相手の声がうるさいらしい。というか、この態度に月曜日という言葉から、相手が佐川であることがリアムにも分かってしまった。曲がりなりにも同期入社であろうに、どうもこやつは佐川に対する扱いが雑である。
「こっちも色々あったの。説明はしたいけど、出来ない内容もあるから、その辺りも含めてちょっと検討させて」
成程、早川ユメとの経過を聞きたいのだろうが、確かに弟の話とリアムの魔法の話は絶対に出来ない。今日明日にでも、どういう話にまとめるのかを検討する必要があろう。
「ていうか、デート中だから!」
祐介はそうきっぱりと言うと、ブツッと通話を切ってしまった。
「これがいつからデートになったのだ?」
「今からだよ」
祐介はそう言うと、リアムの手を取りスマホをいじり始めた。何を調べているかと思ったら、こんなことを言い始めた。
「科学博物館、今からでも行こうよ」
「行く!」
幸い時間はまだある。リアムと祐介は、急ぎ向かったのだった。
◇
上野なる駅の近くにその国立科学博物館はあり、リアムは目を輝かせてそれを目一杯楽しんだ。途中リアムが夢中になり過ぎて一瞬迷子になりかけ、祐介が大慌てで探しに来たというおまけ付きのデートであった。
今は帰りの電車内である。
「館内放送で呼び出してもらおうかと思ったよ」
「館内放送?」
「迷子の子の名前を呼んでもらうの」
「……祐介?」
「すみません」
あはは、と祐介が笑った。昨日今日と、全体的に機嫌の悪かった祐介だったが、リアムと二人で外出している間は、非常ににこやかだった。確かに二人での外出はいい。普段の憂いも忘れられ、リアムも好奇心を満たすことが出来るし、何と言っても羽田の心配もなくただ祐介と楽しんでいられる。
「祐介、今日はありがとう」
「何、さっきからありがとうありがとうって」
祐介はこそばゆそうに笑う。
「思ったから言っただけだ。思うに、私はこれまで祐介といることを当たり前に思い過ぎていたのだ」
「当たり前に思ってくれる位の方がいいんだけど」
「祐介は私を当たり前の様に保護してくれているが、これは余程のことなのだとようやく気が付いたのだ」
「そんな大げさな」
「祐介にとって、ここまで人と関わるのは珍しいことなのだろう?」
「……まあね」
祐介の子供の頃の話や、職場での人間関係、ユメが話を聞いた彼女らしき女のこと。それら全てが、祐介が基本人と関わるのを忌避する人間だということを指している様に思えたのだ。
リアムの面倒を見ているのは、恐らくはリアムを助けたことにより生まれた絆の所為であろう。とすると、本来の祐介はしないであろうことを強要していることになるのではないかと思った。
「だからありがとうなのだ、祐介」
「? よく分かんないけど、どう致しまして」
祐介が、笑った。
「こんな時間に食べたら、夜ご飯は軽めにしないとね」
祐介も暑そうにTシャツをパタパタしながら、そう言って笑った。すると、祐介のスマホが鳴り始めた。祐介が面倒臭そうにそれを尻ポケットから取り出す。そして思い切り顔を顰め、嫌そうに電話に出た。
「はい?」
相手は男の様だ。何を言っているかまでは聞き取れないが、わーわー何かを言っているのは分かる。
「あー、うん、その件は月曜日でもいいかな」
祐介はスマホから少し耳を離した。相手の声がうるさいらしい。というか、この態度に月曜日という言葉から、相手が佐川であることがリアムにも分かってしまった。曲がりなりにも同期入社であろうに、どうもこやつは佐川に対する扱いが雑である。
「こっちも色々あったの。説明はしたいけど、出来ない内容もあるから、その辺りも含めてちょっと検討させて」
成程、早川ユメとの経過を聞きたいのだろうが、確かに弟の話とリアムの魔法の話は絶対に出来ない。今日明日にでも、どういう話にまとめるのかを検討する必要があろう。
「ていうか、デート中だから!」
祐介はそうきっぱりと言うと、ブツッと通話を切ってしまった。
「これがいつからデートになったのだ?」
「今からだよ」
祐介はそう言うと、リアムの手を取りスマホをいじり始めた。何を調べているかと思ったら、こんなことを言い始めた。
「科学博物館、今からでも行こうよ」
「行く!」
幸い時間はまだある。リアムと祐介は、急ぎ向かったのだった。
◇
上野なる駅の近くにその国立科学博物館はあり、リアムは目を輝かせてそれを目一杯楽しんだ。途中リアムが夢中になり過ぎて一瞬迷子になりかけ、祐介が大慌てで探しに来たというおまけ付きのデートであった。
今は帰りの電車内である。
「館内放送で呼び出してもらおうかと思ったよ」
「館内放送?」
「迷子の子の名前を呼んでもらうの」
「……祐介?」
「すみません」
あはは、と祐介が笑った。昨日今日と、全体的に機嫌の悪かった祐介だったが、リアムと二人で外出している間は、非常ににこやかだった。確かに二人での外出はいい。普段の憂いも忘れられ、リアムも好奇心を満たすことが出来るし、何と言っても羽田の心配もなくただ祐介と楽しんでいられる。
「祐介、今日はありがとう」
「何、さっきからありがとうありがとうって」
祐介はこそばゆそうに笑う。
「思ったから言っただけだ。思うに、私はこれまで祐介といることを当たり前に思い過ぎていたのだ」
「当たり前に思ってくれる位の方がいいんだけど」
「祐介は私を当たり前の様に保護してくれているが、これは余程のことなのだとようやく気が付いたのだ」
「そんな大げさな」
「祐介にとって、ここまで人と関わるのは珍しいことなのだろう?」
「……まあね」
祐介の子供の頃の話や、職場での人間関係、ユメが話を聞いた彼女らしき女のこと。それら全てが、祐介が基本人と関わるのを忌避する人間だということを指している様に思えたのだ。
リアムの面倒を見ているのは、恐らくはリアムを助けたことにより生まれた絆の所為であろう。とすると、本来の祐介はしないであろうことを強要していることになるのではないかと思った。
「だからありがとうなのだ、祐介」
「? よく分かんないけど、どう致しまして」
祐介が、笑った。
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