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第四章 アルティメット編開始
第627話 魔術師リアムのアルティメット編・病院初日、マサくんの病室へ
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ユメが受付を終わらせてリアム達の元に戻って来ると、病室へと案内を始めた。ユメには周りの物に気を取られて迷子になるなと言われたが、雰囲気そのものが見慣れぬもので、リアムはついキョロキョロと辺りを見回した。白衣を着た者達が忙しなく行き交う。
祐介はリアムの手を握っていたが、あまりにもキョロキョロしていた所為か、ぐいっと引っ張ると腰に手を回して身体を密着させてきた。
「本当に迷子になりそうで怖いよ」
「む!? 祐介まで!」
はは、と笑う祐介は、先程までの悔しそうな表情はもう浮かべてはいなかったが、何だか少し元気がない様だ。
「……祐介、大丈夫か?」
「何が?」
祐介はにっこりと笑って答えるが、わざとらしい。無理をして笑顔を作っている感じがしてならない。
「元気がないぞ。暑さにやられたのか?」
「ううん、大丈夫だよ」
やはりおかしい。リアムは祐介の服の手前をツン、と引っ張った。祐介が、え? という表情を見せる。
「祐介、私には無理な笑顔を作る必要はない」
「……僕、無理に笑顔を作ってる様に見える?」
「見える」
「おかしいなあ……」
困った様に笑う祐介は、やはり元気がないのだ。
「済まない、無理やり付き合わせてしまったからだな」
「違うよ。あ、ほら、エレベーターに乗るって」
ユメが、複数のエレベーターがある場所に到着すると、上に行くボタンを押した。振り返り、祐介の手がリアムの腰にあるのを見、次いでリアムの手が祐介の服を掴んでいるのを見て、言った。
「病院でなにいちゃついてんの」
「サツキちゃんがあんまりにもフラフラとしてるから掴まえただけだよ」
祐介が、あまり感情の起伏が感じ取れない声色でそう答えた。
「いや、私はな、祐介が少し疲れた様子なので心配で」
ユメの反応は薄かった。
「へえ」
エレベーターの扉が、チン、と音を立てて開いた。なかなかに広い。会社のエレベーターよりも遥かに人数が乗りそうである。
三人がエレベーターに乗り込むと、ユメは何を思ったか、突然話題を変えた。
「昨日、ショウちゃんから電話があったのよ」
「おお」
そういえば、返事はゆっくりでいいとか言っていたが、ユメは告白の返事はもうしたのだろうか。リアムが続きを待っていると、ユメが何でもなさそうな顔をして言った。
「だからまあ、付き合うことになったわ」
すると、祐介が尋ねた。
「社長はどうするの」
「社長とは、月曜日に話そうと思ってる。もう愛人は辞めたいってことと、愛人手当はもういいってことと、羽田さんとは縁を切る方向ってことも全部。正直今は職まで失うと困るは困るけど、それは社長の回答次第かなと思ってる」
リアムは、ふと気になって聞いてみることにした。
「ユメ、社長はマサくんのことは知っているのか?」
ユメが視線をふい、と逸らした。
「……知らないのか」
「言う必要、ないでしょ」
「話したら、すぐに職を失うことはないのではないか?」
すると、ユメが呆れた風に言った。
「あのねえ、私は脅してた側なのよ? やっていたことは完全に恐喝。分かる? そこにどんな理由があっても、犯罪は犯罪よ。それを見逃して欲しいって言うだけでも図々しいのよ」
「早川さん、世の中には情状酌量があるんだよ。知ってるでしょ?」
祐介が、笑顔は浮かべないままそう言った。
祐介はリアムの手を握っていたが、あまりにもキョロキョロしていた所為か、ぐいっと引っ張ると腰に手を回して身体を密着させてきた。
「本当に迷子になりそうで怖いよ」
「む!? 祐介まで!」
はは、と笑う祐介は、先程までの悔しそうな表情はもう浮かべてはいなかったが、何だか少し元気がない様だ。
「……祐介、大丈夫か?」
「何が?」
祐介はにっこりと笑って答えるが、わざとらしい。無理をして笑顔を作っている感じがしてならない。
「元気がないぞ。暑さにやられたのか?」
「ううん、大丈夫だよ」
やはりおかしい。リアムは祐介の服の手前をツン、と引っ張った。祐介が、え? という表情を見せる。
「祐介、私には無理な笑顔を作る必要はない」
「……僕、無理に笑顔を作ってる様に見える?」
「見える」
「おかしいなあ……」
困った様に笑う祐介は、やはり元気がないのだ。
「済まない、無理やり付き合わせてしまったからだな」
「違うよ。あ、ほら、エレベーターに乗るって」
ユメが、複数のエレベーターがある場所に到着すると、上に行くボタンを押した。振り返り、祐介の手がリアムの腰にあるのを見、次いでリアムの手が祐介の服を掴んでいるのを見て、言った。
「病院でなにいちゃついてんの」
「サツキちゃんがあんまりにもフラフラとしてるから掴まえただけだよ」
祐介が、あまり感情の起伏が感じ取れない声色でそう答えた。
「いや、私はな、祐介が少し疲れた様子なので心配で」
ユメの反応は薄かった。
「へえ」
エレベーターの扉が、チン、と音を立てて開いた。なかなかに広い。会社のエレベーターよりも遥かに人数が乗りそうである。
三人がエレベーターに乗り込むと、ユメは何を思ったか、突然話題を変えた。
「昨日、ショウちゃんから電話があったのよ」
「おお」
そういえば、返事はゆっくりでいいとか言っていたが、ユメは告白の返事はもうしたのだろうか。リアムが続きを待っていると、ユメが何でもなさそうな顔をして言った。
「だからまあ、付き合うことになったわ」
すると、祐介が尋ねた。
「社長はどうするの」
「社長とは、月曜日に話そうと思ってる。もう愛人は辞めたいってことと、愛人手当はもういいってことと、羽田さんとは縁を切る方向ってことも全部。正直今は職まで失うと困るは困るけど、それは社長の回答次第かなと思ってる」
リアムは、ふと気になって聞いてみることにした。
「ユメ、社長はマサくんのことは知っているのか?」
ユメが視線をふい、と逸らした。
「……知らないのか」
「言う必要、ないでしょ」
「話したら、すぐに職を失うことはないのではないか?」
すると、ユメが呆れた風に言った。
「あのねえ、私は脅してた側なのよ? やっていたことは完全に恐喝。分かる? そこにどんな理由があっても、犯罪は犯罪よ。それを見逃して欲しいって言うだけでも図々しいのよ」
「早川さん、世の中には情状酌量があるんだよ。知ってるでしょ?」
祐介が、笑顔は浮かべないままそう言った。
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